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アベノミクスで日本はウハウハ!? 積極財政の罪と罰!! その二

 アベノミクス第一の矢「大胆な金融政策」をひと言でいうと、「紙幣無限印刷」である。


 グローバルな商取引が可能なった現代、一国の経済危機は単に一国の問題では済まなくなってきている。

 そんな時代にあって、管理通貨制の精神を没却するような危険行為「紙幣無限印刷」が日本にだけ許され、いちおう今も円が(かなり地位を落としたとはいえ)国際的に信用を得ている所以は、これを実施するにあたり

「赤字国債は消費増税によって必ず償還する」

 という国際公約を掲げたからに他ならない。

「これから日本国は日銀に言って紙幣をじゃんじゃん印刷させます。そのために発行した国債は増税で償還するので、ちょっとのあいだルール違反するけど許してね」

 というわけである。


 安倍氏は日銀総裁人事に首を突っ込み、政府の意のままに操ることのできる人物を総裁に据えた。中央銀行の独立性を無視した暴挙であった。

 それでもなんとかやってこれたのは、国際公約もさることながら、日本円が過去営々と築いてきた信用性の賜物である。


 しかしそれもそろそろ限界のように思われる。


 先の参院選では、野党各党は減税を掲げたが、日本が置かれている立場から考えれば減税などあり得ない。そんなことをすれば、国際社会から「日本は国債を償還する気がない」と信用を失い、円はそれこそ工場で無限に印刷される紙くずと見なされてしまうからである。


 話がすこし脇道にそれるが、よく「自国通貨建て国債でデフォルトはあり得ない」などと言われる。

 印刷した日本円を国債の償還に充てればそれで済むから、というのが主張の骨子であって、理論上は正しいのだろう。

 しかしこの方法でデフォルトを回避できたとしても無傷で済むとはとても思えない。やってることは、禁断の「紙幣無限印刷」と同じだからである。ルール違反を犯してやっとこさデフォルトを回避できたところで、日本円が価値や信用性を大きく損なう事態は避けられまい。

 こうなれば海外は、いやそれどころか日本人自身ですら、日本円での商取引を嫌うようになるだろう。大事な商品や、労働の対価として紙くずを欲しがる人間などいるはずがない。


 減税が無理ならば増税分を上回る給料を、と言いたいところだがこれも難しい。

 これまでほしいまま紙幣を印刷してきた日本は、赤字国債の発行量を減らして緊縮財政に転じなければならないフェーズに入ってきている。国債の発行量を減らさなければならないのだから、紙幣の発行量も減る。そうなると、個々人が入手できる紙幣の量も当然減っていくことになる。

 増税分以上に給料があがることはあり得ないと考えた方がよい。


 できもしない(やってはならない)減税や給料増額などを公約に掲げ、国民に甘い幻想を抱かせる政治は政治ではない。

 真に求められるのは、苦い真実を受け入れ、これからさき長くつづくであろう撤退戦を戦い抜こうという国民自身の覚悟と粘り強さなのである。

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