努力ゼロの愛国心――「日本スゴい系」という集金システム
アニメなどのサブカルチャー、和食文化、生活習慣、トイレ機能など、自国文化を礼讃する「日本スゴい系」コンテンツは巷にあふれている。
これらコンテンツは
・コンテンツ消費者に高揚感を与える点
・その際、コンテンツ消費者に一切の負荷を求め
ない点
・多くの場合、外国人に日本文化等を礼讃させて
いる点
等を特徴としている。ひとつずつ確認していこう。
一、コンテンツ消費者に高揚感を与える点
たとえば「太平洋戦争で日本が戦ったことが、アジアの人々を勇気づけた」などとする言説がこれに当たる。
本稿ではかかる言説の当否についてはあえて論じないが、これを聞いて気持ちよくなれる人が一定数いることは事実だ。なんの努力もなしに、日本人であるというだけで「勝ち馬に乗れる」仕組みになっているのである。
二、その際、コンテンツ消費者に負荷を求めない点
これは当たり前と言えば当たり前の話なのだが、たとえば映画鑑賞や読書がこれにあたる。コンテンツ消費者には、チケット代あるいは本の購入費用以上の負荷は求められない。
一と二が相乗した結果、「コンテンツ消費者は、他人の成果に依拠して、一切の犠牲を払うことなく高揚感を得られる」構図ができあがる。
要は商売として成立するのである。
三、多くの場合、外国人に日本文化等を礼讃させている点
たとえば、外国人旅行者にアニメや和食文化、充実したトイレ機能を語らせたり、「日本が戦ってくれたおかげで自国が独立できた」などと語らせるのがこれだ。
外国人の言葉を借りることで客観性を偽装し、自国文化の権威づけに利用するのである。
「日本スゴい系」コンテンツには歴史や思想が入り込む余地があるが、とどのつまりは商売だ。
作り手は売れるから作り出すし、消費するに努力の必要がないからニーズもある。
結局エンタメなので、内容の正確性は二の次にされがちだ。
消費するなとまでは言わないが、するにしても
「自分以外の誰かが、お金を稼ぐために売れるコンテンツを作り出しているだけ」
これくらいの距離を保ちつつ、冷めた目で眺める方が健全といえるだろう。




