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年三億円が破格の安さ!? 俺たちは一体なにを見せられてるんだ!?

 二〇二四年、大谷翔平選手は一〇年七億ドル(約一〇五〇億円)でドジャースと入団契約を交わした。年平均一〇五億円ということになるが、一年目の支払いは三億円にとどめ、残りは後払い契約にしたという。巨額な支払いを猶予することで、球団の戦力拡充を容易にする大谷選手の気づかいであり、彼ほどの選手が、一時的とはいえ年三億円でプレーするのは「破格」だというのである。


 ところで昨今の日本ではいわゆる街頭犯罪が激減している。特にひったくりは、最多を記録した平成一四年(二〇〇二)に全国で約五万三〇〇〇件を記録したものが、令和三年(二〇二一)には五四四件まで激減している。

 いっぽう特殊詐欺は平成一六年(二〇〇四)に約二万六〇〇〇件(被害額約二八四億円)、令和六年(二〇二四)は約二万一〇〇〇件(被害額約七二一億円)と、件数こそ減らしているものの被害額は跳ね上がっていることが分かる。


 治安は国民の豊かさの指標である。

 日本では、給与水準が二〇年前から据え置かれたまま物価だけが上昇しており、エンゲル係数も過去最高に達するなど、明らかに貧しくなっているが、それでもひったくり件数が減っているのは街のあちこちに防犯カメラが設置されたからだ。一時的に成功しても後で捕まる「コスパの悪い仕事」として誰もやらなくなったにすぎない。その点、特殊詐欺で防犯カメラに写って捕まるのは末端の駒だけで、首魁に追及の手が伸びてくることはほとんどない。

 貧困が拡大し犯罪の温床が解消されないまま、防犯カメラの効果により、街頭犯罪だけは力ずくで押さえ込んでいるのが現状だ。


 アメリカでは、二〇二四年にホームレスが過去最高に達した一方、野球選手として技量が優れているというたったそれだけのことで、一個人に一〇〇〇億円超もの給与が支払われるほどのバカげた格差がまかり通っている。

 あまつさえ「年三億円は破格の安さ」などとするのは感覚がマヒしているとしか思えない。

 その不公平感を裏付けるように、アメリカでは有名セレブを狙った犯罪が多発している。格差が行き過ぎて、富める者が犯罪の標的になっているのである。

 

 犯罪が容認されないことなど当たり前だ。しかしどう理屈をこねくり回しても正当化できないほどの格差は犯罪者に口実を与える。大名屋敷専門に盗みを働いたねずみ小僧は庶民の喝采を得た。実際には、ねずみ小僧が盗んだ金品を貧者に分け与えたような事実はなく、大名屋敷に侵入を繰り返したのも、警備が意外に手薄だったからというだけのことらしい。

 富める者に対する憎悪が義賊伝説を生んだのである。


 いま我々の目の前で繰り広げられているほどの格差を、当たり前のものとして受け入れてはならない。暴力や犯罪によらず是正を求めるには、たとえ場末にあっても声を上げ続ける必要がある。

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