薔薇の橋 崩壊
1. 事件の概要
薔薇の橋事件とは、領内において建設された大型吊橋
《薔薇の橋》が、完成から短期間のうちに崩落した事故である。
2. 薔薇の橋の建設背景
当時の国家は、
秩序・統一・合理性を国家理念の中核に据えていた。
設計思想の中心にあったのは、
「統一性、秩序」ことであった。
3. 完成直後からの異常
薔薇の橋は、完成直後から
風による揺動が確認されていた。
4. 崩壊当日の状況
崩壊当日の天候は、穏やかであった。
強風ではない。
暴風雨ではない。
観測史上、特異な気象条件でもない。
しかし、風は
一定の強さと方向を保ったまま、長時間吹き続けていた。
橋は次第に、
上下動を主体とした振動から、
ねじれを伴う複合振動へと移行する。
揺動は止まらず、
むしろ時間の経過とともに増幅した。
そして、中央支間部から破断が発生し、
薔薇の橋は連鎖的に崩落した。
5. 原因の再検証
事故当初、原因は
「想定外の風」
「局地的な気象条件」
と説明された。
本質的な原因があると唱えられている
それは、以下の三要素が同時に成立したことである。
構造物固有の振動周期
風による周期的かつ持続的な刺激
揺れを減衰させにくい設計思想
薔薇の橋は、軽量かつ均質な構造であったため、
固有振動周期が明確で、かつ揃いすぎていた。
そこに、ほぼ同周期の風による刺激が、
長時間、一定のリズムで加えられた。
その結果、揺れは相殺されず、
一回ごとに上書きされ、構造内部に蓄積されていった。
これは、いわゆる
共振的構造崩壊と呼ばれる現象である。
重要なのは、外力そのものは致命的な強度ではなかった点である。
橋を破壊したのは「強い風」ではなく、
橋自身の固有リズムと一致した刺激が、途切れなかったことであった。
薔薇の橋は、
想定外の力に敗れたのではない。
想定内の条件が、
過度に整合した結果、破壊条件へ転化したのである。
秩序
均一
合理性
弱点のない構造は、弱点となる。




