第1話、今後の方針
毎日投稿を目指します。
卒業式を終えた。雄太と少し話してから早々に帰宅した。
始まるのは楽しい楽しい開封タイムだ。
開けるのは、封筒に「卒業したら開けよ」と書かれている祖父の遺言と、主席を称える褒賞品。
まずは褒賞品から。
例年通りであれば、主席の褒賞品はスキルルーンが与えられることになっている。
ワクワクする気持ちを抑え、厳かな黒箱を開けると10円玉程度の大きさの緑色の宝石に金の文字が彫られたルーンと、鑑定書が入っていた。
嬉しさのあまり思わず叫びそうになった。ルーンに刻まれたスキルは<回復力向上>であった。
体力や怪我の回復力が向上する、探索者にとっては必須級のスキル。
比較的リーズナブルなルーンではあるが、学生風情ではどうやっても手に入らないような高価なものだ。
金がたまったら買おうと決めたいたので実にありがたい。
感謝しながらルーンを飲み込んだ。
体が熱く、まるで自分の体が作り変えられるような感覚が30秒間続いた。
これでスキルの取得は完了だ。劇的に変わったことはないが、どこか元気になった気がした。
「気のせいか、、」
お次にやたらと重い祖父の遺言を開封する。
両親を早くに無くした俺にとって祖父は、親代わりのようなものだった。
半年ほど前にこれを俺に渡してすぐ、息を引き取った。
封筒を開けると手紙と鍵が入っていた。
手紙には祖父の部屋の金庫をその鍵で開け中の物を好きにしろ、と書いてあった。
木造二階建ての和風な屋敷には多くの部屋があるが、一階の最奥に祖父の部屋はあった。
高そうなデスクの下にその金庫はあった。
「すごい厳重だなぁ」
重たそうな金庫を開けると中には、地図と手紙、高そうなプリぺードカードが入っていた。
裏を見ると、1000万円と書いてあった。
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心臓がバクバクしている。黒いお金じゃないよね。
「あの人何者だよ、、」
とてつもない金額でまるで実感がわかない。
ルーンなんて目じゃない。これだけあれば自分の”装甲車”を買うことだって出来る。
落ち着け、まだ手紙と地図が残っている。金について考えるのはこれを読んだ後だ。どれどれ。
「慧へ
まずは卒業おめでとう。君はあまりの大金に驚いていることだろう。
悪いお金ではないので君の自由にしてくれて構わない。
さて本題に入るが、その地図にはお宝のありかが示している。
君がさらなる力を求め、この残酷な世界で戦い続ける覚悟があるのなら、
そこに行ってほしい。
君の両親もきっとそれを望んでいる。
祖父より」
「あの人まじで何者だよぉぉ!」
俺は地図を食い入るように見た。
地図は復興都市東京の北に位置する特定危険区域を示していた。。
地理の成績はいい方ではあったが、この場所には全く心当たりがない。
どこにでもある危険区域っといったところだ。いったいここに何があるというのか。
そして、俺の両親の望とはいったい何なのだろうか。
どちらにせよそこに行ってみないとわからない。
まあいい、とりあえずは今後の方針を決めよう。鉄は熱いうちに打てだ。
第一に、特定危険区域に入るには探索者ライセンスを持っている必要がある。
高専入学時に発行しているのでこれは問題ない。
第二に、復興都市東京に行くには二つの方法がある。要塞道路を使うか、
危険区域を突っ切るかだ。
後者は論外なのだが、前者もなかなかに厳しいものがある。
要塞道路を走る装甲バスは、常に予約でいっぱいだ。2、3年前から予約する必要がある。
だが自分の装甲車を持ていれば話は別だ。学生時代に免許自体はとっているし、幸いにも1000万円という資金があるので、こちらも問題なしだ。
(じいちゃんありがと~!)
色々疑問も残るがまあいい。やることは決まった。
両親と祖父の願もあるが、力なんて欲しいに決まっている。
「さぁ準備開始だ」
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