間話 春の風
「いやあぁ!!ハッハ!!昨日は楽しかったなぁ!!」
「故郷のメープルの酒もあればより楽しかったけどな」
「隣町なんだから置いてあるかなと思ったんだけどね」
昨日の宴に参加したアレン含んだ新兵達は軒並み自室でダウンしているというのに、特に激しかったこの3人は二日酔いに苦しむ事もなくピンピンしている。
嘘か誠か宴に出された酒の4割はこの3人の腹に消えたとか
こいつらの酒の強さは尋常ではない。
「しかし3日も空くとなると…また暇になるな」
「武器と防具は向こうが構えてくれるらしいし、いよいよ何すんのよ、って感じね」
「一応今一度目的を見失わないように確認しとくけど、
俺らが騎士団で働くのは世界を変えるのにはここで働くのが一番の近道だと思ったからであって、俺達の目的は騎士として働く事じゃない」
騎士団に入ったのもエボミーを倒せるだけの実力をつけるというのと、世界を変える為にはどうしてもそれ相応の地位が必要だった。
その地位を手に入れるのに一番早そうなのが、騎士団で手柄を上げるという事だった。
ある程度手柄を上げれば国外にも名は広がるし、ある程度世間から注目を浴びてしまえば発言する権利位は得られる。
「分かってる分かってる。そんな気持ち悪い事を何度も言うなよ」
「気持ち悪いとはなんだ!レダに謝れ!!」
「今レダは関係ないだろーが!!」
懲りずに取っ組み合う二人にまたベガは頭が痛くなる。
二日酔いのせいにしてしまいたいものだ。
それにしても……
(・・・レダ。私達のこと、見守ってくれてるのかな)
ベガは柄にもなく、辛気臭い事を思ってしまった。
あの日の後悔の念は今も消えていない。
多分一生付き合う事になる感情だ、これからも消える事はないと思う。
でも、それでも私達は前を向く。
後ろを振り返りたくなっても、死んで楽になってしまいたくても私たちは、生きて前を向く。
だからレダ。
もしも私たちのことを見守ってくれてるのなら、どうか安心してほしい。
レダの後を追うなんて、バカな真似はしないからさ
天に向かってニコリと笑うベガの背中を柔らかな風が包んだような気がした。




