プロローグ
自分自身ヒーローとか、ありきたりな物語、王道って言っていいのか分からないけど、いい歳してそんな童心に轢かれるような物語を空想したりするクソガキなんですが。みんなの心に響くヒーローを描けたらなと思っています。趣味の延長線上ってか、妄想の行きすぎみたいなものなので、最初見て合わなければ、そっと閉じて構いません(笑)
ぜひ楽しんでいってください。因みに設定はきつすぎで難しいかもです。
いつの間にか俺は白い世界に立っていた。
そこには四人の西洋風の美男美女がたたずんで、会話をしていた。
「おい…こいつ…大丈夫か?」
「わしは反対したんじゃがの。」
「そう心配するでない。妾が選んだのじゃから。この年代くらいが勢いもあり、血気盛ん過ぎず、人生経験も乏しくない瑞々しいタイプじゃぞ。」
「そうかのう。ワシからしたら縁起よく米寿過ぎの人生の峠を乗り越えた屈強な勇者を召喚した方が良いと思ったのじゃが。」
「いや…。あやつらは、転生したら前回の苦労からか堕落した人間になるか、勢いがありすぎて文明や世界を破滅させかねん勢いであったろう…。お主ら…今まで何人召喚して失敗したのか思い出せんのか。」
「「おっ…おう…そうだった(じゃったのう)なぁ…。」」
なんか裏でボロクソ不愉快なこと聞かされてる気がするが…。なんだ、ここは…?あのなろうとかで有名な異世界転生勇者召喚イベントか?
しかも、発言からしてダメダメな神様ズに召喚された可哀想な主人公みたいな立場なんだが…。こりゃ、来世のおいらに期待大ってか?…うん…。無茶しよう。
ってか、そもそも主人公なのかも分からないし、かませ犬パティーンかも…。いやいや…。創作物の読みすぎだな。明晰夢なのかな。
すると、こっちに意識があるのが気付いたのか、一人の美女が話しかけてきた。
「おや。意識はあるかのぉ?目覚めたか?ここがどこで何が起きたか分かるかの?」
分かるわけ無いだろ。夢か?最近こんなのばっか読んでたからな。
明晰夢でこんなに自由なら最高なイベントだぜ。
こういうのは最初の発言に気を付けないとな…。
「分からない…。俺はどうなっちまったんだ?」
「…。」
「なんじゃそのメタ発言…。まぁよい。お主の思考の若干の間は気になったが、お主は死んだのじゃ。ここは死んだ者が来る世界じゃ。」
「なんだとっ!?俺が死んだ?」
…だろうな。覚えてるよ。
あんな運命という事象が殺意丸出しの生命体に見えた出来事なんて…。忘れる訳がない。
その日俺は任〇堂プリペイドカード1500円分を買う為に家から近場のコンビニに外出。
そしたら、異世界転生名物の暴走トラックに出くわし、しかもそれが一人の少女を助けるために犠牲に…はならなかったな。間一髪で避けて一安心も束の間、自転車に横切られて自分の足がおぼつかない所に空中から降り注ぐ一筋の流星群…野球ボール……からのぉ。
異世界転生第二名物…暴走通り魔。そのまま前世の運動神経もあって、横っ腹少しえぐられただけで済んだが、その後がゆるせん。
なんと二度目の暴走トラック…、これに関しては殺意丸出しで少々運命というものを呪い殺してやろうと誓ったほどだ。まぁ、回避はできたが、俺は運がいいんだろう。しかし積み荷の丸太に押し潰され俺の意識はそこで途絶える。
そう考えたら俺は今…。三途の川でも渡ろうとしているのか?異世界転生と張り切った俺が恥ずかしい。
これが異世界転生物だったらなんて執念深い殺され方なんだ。これがこいつ等のやり口なら相当狂ってやがる。
俺の出方返答次第で本当にやばいことに巻き込まれそうだ。
「そうじゃ。お主は死んだのじゃ。お前は一人の女の子を助けるためにトラックに轢かれ不運な最期を遂げたのじゃ。」
こいつ…。俺の武勇伝をはしょりやがった。
「不運な事故でこちら側も予期せぬ運命であった…。その為、妾達が地球の神にお主の魂を預けるよう頼み、来世では剣と魔法が交差する異世界に生まれ変わり、幸せなスローライフを送れるようにさせると提案したのじゃ。じゃからお主は今、この白の間という世界のはざまにいるのじゃ。」
ええ?まじで?幸せのスローライフ?ちょっと心揺れるわ・・・。
いやいや。騙されるな。なんてスジの通らない説明だ。あんな明確な殺意で俺が気付かないわけ無いだろ。明らかにダメ神ズの陰謀を感じるぞ。よし…。決めたこいつら殺す。無理だけど…。
「そうかよ…。てか、そもそも、異世界じゃなくてもいいよ。幸せなスローライフなら…。あの世界で蘇らせてくれ。」
「ハッハッハッ。それは無理な提案じゃの。もうこちらの世界と契約をまじ合わせておる。それに、あんな0と1の数字の羅列と言霊で形成された緻密で高度な世界に対して、妾達の干渉程度でお主の運命を変えることなど出来ん。それにお主らの地球の神は下界に一切干渉などせん。
見捨てられたのじゃよお主は。…それを考えたら妾達に拾われるほうが得かと思うがの。というよりさっきからお主、失礼なのじゃ。しかも神に向かって“殺す”とは…。大それたものじゃの。」
「やはり、失敗ではないか」
「やっぱ僕たちには人選のセンス無いんじゃない?(笑)」
「…不安。」
…えっ?こいつら心読めるの?…こわ。
「まぁ、そう距離を取ろうとするでないぞ地球人。ワシらはもう三度も世界を壊してしまっているんじゃからな。“お前らが”期待の戦士じゃ。ガッハッハッハッハッハ。」
何を誇らしげに三度も破滅を繰り返したことを自慢してるんだ?この歴戦を超えたような屈強な顔をしたドワーフのおじさんは。
…やっぱダメ神じゃねぇか。とんだ災難だ…。
来世は平和に畑耕して暮らしたいと願ってたのに叶わぬ夢なのであろうか。
「こんな上昇志向も持ち合わせてない途中ですぐ飽きちゃう中途半端な人間転生させてもろくなこと起きねぇぞ?」
「それがいいのじゃ。今までは血気盛んな戦国武将やらエリート大富豪やら、未来ある若い子、上昇志向高めのスポーツマンやら格闘家と色々な者を起用したがことごとく妾達の思惑通りには行かなかった。それで最後に選んだのが一番平均的で、一番平凡なお主じゃ。というかさっきからお主ダメ神とは失礼な。」
平凡って…。否定はしないけどそちらこそ失礼な。
てかさっきこいつら、“お前ら”って言ってたな。そんなに地球人拉致して問題にならんのかこのブラック異世界事情は。地球の神は何してるんだ。
「確かにじゃ・・・・。お主、ダイヤよ。さっき“お前ら”といったのう?」
「はにゃ…?言った…?かのぉ?ワシ…。」
「何をとぼけておる。その発言は見逃せぬなぁ。お主…妾が今回は転生者を選ぶ権利を得たではずじゃったが…。どうしたことかのう…?というか裏でやっておるなその顔…。何人なのじゃ?」
「あ…いや。ワシはぁ…何もぉ…しと…らんぞ?それよりハートのやつが怪しいぞ!この前先に裏で動いておったのを見たがのぉ~…。」
「へにゃ~!?おっ…お前見てたのか?ってか売るなよな!?」
「お・ぬ・し・らっ!!!!!」
「貴方達だけズルい…。私も一人ほしい。」
「スペードは駄目だろ。これ以上やって地球の神に知られたらどうするんだ。てか、ほしい云々にペットじゃないんだから。」
「今回のクラブの転生は陰湿。どうせ失敗する…。しかも私もう昨日この白の間に来るように契約させちゃったし明日にでもぶっ飛んで意識が芽生える…。」
「「「えっ?まじでっ?」」」
ダメ神ズが口論を始めやがった。こりゃ駄目だ。
ハートとダイヤとクラブとスペード。トランプかよ。
今の神事情は、各々異なる神が四体と地球の神が一体。ん-。わからん。ファンタジーすぎるぜ。
とりあえずこの無口で、昨日悲劇の同胞を転生させた問題発言しちゃった子がスペードか。見た目は陰キャJKっぽい女神だな。
そして、一番老けてる歴戦のドワーフっぽいおっさんがダイヤか。
で、一番若くていたずら好きそうな青髪の少年がハートか。
あとは、俺を転生させたこいつ。諸悪の根源…。見た目はこっちの世界じゃ俺みたいな平凡な奴が関わることないくらい絶世の美女だな。濃紺色の胸開きチャイナドレスっぽい衣装に身を包んだ女神がクラブってのか。
「おい。お前ら。それで俺を転生させた本来の目的は何なんだ?」
「「「あっ!!!?なんだよっ(何よっ)!!?」」」
・・・はぁ。どうでもいいからマカロンたべった~い。
俺がため息をつくと、ダメ神ズが察したのか、一息ついて話しかけてきた。
「いや。そうじゃったな。喧嘩している場合ではない。それにお主には隠していても見抜かれるじゃろうな…。お主を呼んだのはスローライフ送らせる為ではない。この世界を救ってほしいからじゃ。いわばお主は救世主じゃ。…ほれほれ。好きじゃろ?この言葉。」
…まじか。無理だろ。なぜ俺?
「なんじゃ意外と臆病者じゃのう。まぁ、そう悲観的になるでない。話も聞いとらんじゃろう。それに失敗してもリスクはない。お主の魂は救済し、世界ごと妾が消滅させてやるわい。」
…おい~~~~~っ!!?なんか今変なこと聞いちゃったよ俺?
聞き捨てならんよっ?今の発言、びっくりして銀ちゃんナマリでちゃったよ。
見かけによらず物騒なこと言うよこの女神・・・。
「いやいや無理だろ・・・。あんたら世界三度も破滅させられてんだろ。しかも優秀な転生者起用しても解決に至らずして・・・。そんな中その危機的状況をこの平凡な一般人にどう解決せろって言ってんだよ…。チート能力でも授けてくれんのか?」
「チートか。全然良いぞ。むしろ好都合じゃ。しかし、妾の力はそこまで強くない。神界でも下位のレベルの神じゃからな。」
神界?…なら、こんな神がいっぱいいるのか?世も末だな。
「お主…。一言余計なのじゃ。それはさておき…、お主は今世ではラノベやらアニメなど空想話に戯れておってよく知っているようじゃが、あれは実話じゃ。」
えっ?何言ってんの?このおば…おっと思考読まれてるんだった。
てか、そんなに地球の異世界拉致監禁問題は進んでたんだな。
「今不愉快なことを言われそうになってピリッと来たが、話が進まんのでスルーじゃ。
それより、実話といったが実話に基づいた若干改変のある話じゃな。
それは異世界での地球の話であったり、異なる世界、又その世界で本来起こった事象等…様々なのじゃが、異世界で起きた事象はある一定の節目を迎えると、人々の脳に思考として変換されて、優れたものは空想物語として世に変換される。特に…作家とかクリエーターなる者の脳に刻まれる。」
…それは面白いな。実に興味深い。
「脱線したが。お前もラノベとかそんなものばかり読んでおるからそろそろ気づいておるだろ?お前もその一部の英雄になりとうないか?…いやお前も英雄にならないか?」
と、このダメ神は某有名鬼退治漫画の勧誘ポーズで俺を挑発してくる。
そんな言われたら心動かないわけ無いだろ。つくづく震わせるのがうまい女神だ。
「そうか。わかりました。やりたいです!!ってなるような価値観はしてないんだよ俺は。
大体、不安しかないんだが…。英雄ってなんだよ。何を救うんだ?人でも殺すのか?敵はどんな奴なんだよ。
人殺しなんてしたことないのに…。つーか、三度も世界滅ぼされてるって何があったんだよ。」
「そうじゃよ。そこなのじゃ。滅ぼされた世界の話は置いといて…。
その今回の敵が厄介でな…。妾達はまず最初、異世界に文明を築くためにお主の世界の地球から転生者を送り込んだのじゃ。そこで文明を築くことに協力して良い世界を作ってくれたのは良いのじゃが…。
厄介なことに、急に悪神と手を組み、配下を作り世界を牛耳らせてやつが世界から姿を眩ませたのじゃ。悪神に魅入られたのかは知らんが…。
そして、奴は5000年の時を得て、かつての力を凌駕し姿を現したのじゃ。
しかも、今では妾達より強い…。」
「5000年!?何歳生きてんだよそいつ。しかも、そんな前から転生させてたのか?てか勝つの無理げー過ぎるだろ…。」
「一々驚くでない。神の世界では時間の概念等ない。説明がめんどくさいのじゃ、この概念は。説明を省かせてもらうぞ。自ずとこの事については分かってくるじゃろう。
それよりじゃ、そやつが何を考えているか読めぬ。早くこやつを止めぬとこの世界が危ない。それにいずれ地球にも干渉するやもしれん。」
おいおい。笑っていいの?笑えねぇよ。
お前ら神のチート授かる立場より強い奴倒せってか?無理だろ。
てか、時間の概念がないんなら過去に戻って始末すればいいじゃないか。
「無理じゃな。いや出来ないこともないが今はまだお主には話せん。せっかく絶好の機会なのに未来の芽を摘む事は妾達の…「「おい。」」」
そこで他二人のダメ神ズの真剣な眼差しで言葉をさえぎられていた。ますます胡散臭いなこいつら…。
「のんきに説明してるのはいいが、ちと喋りすぎでないか?クラブ」
「…そうじゃったの。まぁ、今は言えんが、あちら側にも妾達と同じ立場の悪神がついておる。それもあって手出しが出来んのじゃ。
というか、お主悲観的すぎじゃ。安心せい。お主は強くなる。前世で積んだ徳や予期せぬ運命で死んだ因果分のボーナスもあるし。
お前の生まれた地球は人生など苦労を糧に魂を鍛えれるプロセスであるから、この世界に来るとなれば、転生ボーナスとして前回の徳分と妾の異世界ボーナス+鍛われた魂分の能力が加算されるシステムで構築されているから転生後のステータスの心配は無用じゃ。」
「何言ってんだよ。ちょっと理解しずらいし…鍛われた魂って…俺そんな強い根性なんて持ってる自覚ないし、そもそも魂ってなんだよ…。ましてや、優秀な異世界人たちを何度も転生させて挑ませてるのに敵わないって…。俺の立場ねぇわ。無理だろそんなの。」
「お主凄くネガティブじゃのぉ。友達少ないじゃろ?」
うっせいわ!!あなたが思うよりいっぱいです!!
「まぁよい。強さは魂だけではない。正直ココで話しても理解が出来んじゃろう。まぁ、こちらの世界には4つの秘密と1つの真実で仕組みが成り立っておる。お主はこれを解くのじゃ。さすれば自ずと道は開けるじゃろう。お前の成長はこちら側で楽しく拝見させていただくとしよう。」
お前ら…。何を隠してやがるんだ…?くぅ。俺の人間不信スキルがこいつらはやばいってビンビンしてやがるぜ。
「おい…。お前ら世界で遊んだりとか悪い思想持ちの方だったりしてないよなぁ?」
「しつこい。大丈夫じゃ。事をなしたら本当に幸せな世につれて行ってやると約束しようでないか。そこは本当に神も喜ぶ、嬉し嬉しの世の中じゃ。安心せい。」
「どうだかなっ・・・。」
まぁ、悪い奴らの考えなんて自分らで話すわけ無いよな。しかし、埒が明かない。引っかかるものは多すぎるけど、俺も別に冒険やファンタジー世界で放浪旅するのがワクワクしない訳じゃあ無いんだよ。むしろハチャメチャが押し寄せて、わくわくだぜ。早く行きたい気分だ。来世はステータス劣等感で苛まれるスタートは切りたくないと願うだけだな。
「そうじゃろぉ?興味あるじゃろ?少しでも興味あるなら協力してほしいぞ。」
無いって言ったら噓になる。しかし、本当に手の上で転がされてる感が半端ないけど、乗っていいものか。いや、乗ってみるか。
はぁ、なんか、こういう出だしの主人公って本当に報われない悲劇のストーリーを描きそうで怖いよ。
「…しょうがないな。分かったよ。とりあえず転生するとしてそのチート能力ってのはどんなのなんだ?」
「まぁ、個人の個性によってチートスキルも変わったりするから、個人のチートスキルは転生後でないと分らんな。妾からのボーナスとして多めに能力の割り振りなら出来るが、決めとらんかったのう。上げたい能力や魔法はなんだ?好きに選べ。ただ…能力の割り振りに制限がある。妾の力の制限は越えられんのでな。」
マジか?これってラッキーじゃん。ある程度は悲劇のスタートかどうかは俺が選べるってか?まぁ、転生物としてはしょぼい方か、スキル付与とかならよかったが…。
ん?まて。制限…?もしかして、しょぼいパティーン?
「なら…。とりあえず、個人の攻撃力とか強さはどうやって決まっていくんだ?地球で修羅場くぐった勇気とか経験、知識とかか?」
「お主…。ゲーム買ったら説明書一通り全部読み通してやるめんどくさいタイプじゃな。
内緒じゃ。とりあえず、それも関係無くは無いという事だけ助言しておく。」
…くそぉ。手がかりなさすぎ、どう割り振ろうか。俺の地球で培った能力は来世での反映には期待できなさそうだな。ろくに頑張ってなかったしな。苦労は多少したけど…。
んー。なんだろう。全属性の魔法適正はあった方がいいよな。あとは、俺も素で脳筋やろうだし、某摩訶不思議アドベンチャーや某海賊ゴム人間みたく格闘スキルごり押しで戦って無双したい感はあるな。でも基礎的なもので弱いだろうなぁ。これに関しては鍛えれる環境とかも欲しいな。
「生まれる環境も指定できるのか?」
「お主ゲームか何かと勘違いしてるのか?まぁ、すべて希望通りと行くかはわからんが善処しよう。」
「なら…。全属性の魔法を取り敢えず適正にしてほしいな。ちなみに魔法力は鍛えれるのか?敵倒していきなりレベルアップ方式とか?(笑)」
「ほんとにこやつは…。まぁよい。確かに敵を倒すことにより経験値として自分の能力は上げることはできる。魔法に関しても鍛えれる。」
「なら物理系の戦闘力はどうなってるんだ?」
「闘気力のことか? 知らん。よ―分からん。」
はぐらかされた…。本当に俺に倒してほしい気があるのか?
まぁ、俺もものすごいめんどくさい性格してるってのは分かってるけど…。
本当に大丈夫かなぁ。
「なら、その闘気力ってやつにあんたのすべてをつぎ込んでほしい。そしてある程度、魔法と剣術の知識にたけたところに出生を指定してほしい。親は…愛情がある人に越したことはないな。」
今回の両親さん等や…。ゲーム感覚で生まれてきて申し訳ありません。
「良いだろう。他は…?いいのか?興味ある魔法とか…。」
興味?…。〇〇ファンタジーとかだったら、赤魔法とかかなぁ。時空間系は使いたいなぁ。
「時空間が良いのか?なんかお主つまらんのう。昨今のなろう事情はそればかりじゃぞ?それでよいのか?」
なろう事情って…。この子は…。地球の文明に相当詳しいようで…。
「ああ。特に思いつかないしな。」
時空間系って俺的にはいいと思うけどなぁ。転位とか自分を早くしたり、敵の行動止めたり、仲間のサポートでも有能だと思うけど…。
「時空間ねぇ。俺は嫌な予感しかしないけどね。」
「ワシも同感じゃな。確かにハートの言う通りじゃ。」
「そんなことより…私が呼んできた転生者の方がスペック高いんだし…早くその子下界にぶん投げて…私の子の割り振りに時間を割いてほしい…。」
「ぬぅ。お主ら…。妾が信用できんというのか…?」
…まぁ、良い。それで何だったかの地球の子。お主の名前は…はむ…たろ…」
「はぁ。やめてくれ。そんな毎晩小女にヘケヘケこびへつらってそうな小動物の名前で俺を呼ぼうとするな。俺は、濱崎大夢だよ。」
「ぬっ。お主小さい頃よく体系がふくよかだったせいでそう呼ばれていたではないか。」
…そんな昔から観察してくれてんの?見直したわ。
「いや…。三日前に徹夜でお前の過去の映像を見直したわい。2倍速で。」
前言撤回。そんなアニメ見る勢いで人の人生覗こうとするな。
「そんなことより、お主あちらでの名前はどうする?生まれる時に洗礼の儀として、付与されるのだが…。」
「え?そんなのも神様任せの世界なのか?」
「いや。まぁな。下界の民達が加護が与えられたかどうか確認の為、加護付与と同時に名前を与えてもらうことで神様に認知された子なのか確認するために始まった風習なのだが、本当にこれがこっち側もめんどくさくてな。
ステータス鑑定設備の整った国なら、その風習は少ないのじゃが。
お前の転生先の事を考えたら、洗礼の儀をするじゃろうと思って聞いたのじゃ。妾に適当に決められとうないじゃろ?」
「名前かぁ。特にないな。あんたらが決めていいよ。特に思いつかないなら適当におれが地球でやってたゲームデータのファイル名で比較的多い奴でも選べばいいと思うよ。」
まぁ、それなら俺も文句無いし…。ろくに変な名前になんてならない無いだろう。
ん-ー。でもそう考えるとなんだろ。西洋風の名前か?それなら馴染むが…日本名なら…たかし?とかか?コジロー…。怖くなってきた。
「よし。ある程度は決まったのう。因みに分からないことがあったら5歳の時に洗礼式で近くの教会の女神像にお祈りを捧げに行くと思うから、その時に妾達にお祈りを捧げるのじゃ。
その時は精神体だけここに呼び寄せて、対話する形になるじゃろう。」
「分かった。ありがとう。じゃあ、そろそろ…送ってくれ。」
「せっかちじゃのぉ。」
「あんたがせかしてるんだろ?」
「そうなのじゃが…まぁ、妾達にも都合がよいしな。色々ウズウズしてるじゃろうから、早う行って来るのじゃ。順調な報告を期待してるおるぞ!」
「あぁ。」
「それじゃあ…。また洗礼式の5年後!シャボンd「言わせねーーからな!!」」
そうやって俺の突込みはむなしく光に包まれる。これからか…。これから俺の物語が…。
ん~。そういう気にはなれないなぁ。まだちょっと地球での暮らしを楽しみたかったな…。てか、俺が挑む敵が怖すぎて落ち着かねぇよ。まぁ、そんなんも憧れてたし、いくつになってもそういうのはガキのまんまだな。
「早くせいクラブよ。ワシらもお楽しみがあるんじゃ。」
「そうだよ。せっかく創造魔法の異世界人とか手に入れたのに。」
「ぬぅお!?創造魔法?化け物ではないか。ワシなんて…ただのゲームやアニメ好きの平均的な凡人なのに…。」
「米寿のおっさん欲しいとか言ってた割にはしょうもないのな。」
「仕方ないであろう。こそこそせねばならんし、神力足りぬのだし。」
「ぬっ…。私だって負けていない…。私の加護ボーナスである氷の魔術と彼の潜在的能力である最強の回復系を知れば卒倒するはずよ。」
「おい。お主ら…。黙って聞いておれば…。」
「「「ギクッ!!!?」」」
…そうこうダメ神ズが口論してる間に俺は光の粒子にのまれ、意識が遠のいてく…。なんだよ。さっきから聞いてれば…創造って…。それに他の奴もチート級じゃねぇかよ。まぁ、同士がいる分気が楽なのかな。劣等感で置いてけぼりの除け者エンドルートにはなりたくないなぁ。いっそ、敵はそいつらに任せて本当に俺はスローライフ送ることに専念するのもありだな。
おっと。そろそろ…意識も消えかけて…きたな…。
(今まで…地球の人生楽しかったよ…。みんなありがとな。)
最後に、頭に浮かんだ友人や家族のことを思い出し、ダメ神ズの騒がしい声を聴きながら俺は、眠るように静かに光に包まれた。