教えて、イザべリア先生! 〜第二弾〜
今回のゲスト:メーデア
「ご機嫌よう、皆さん。私は黒の魔女と言います」
『出たよ諸悪の根源。あとここだとお前の本名出しても呪い発動しないから』
「そうですか? では改めて⋯⋯私はメーデア。どうぞよろしくお願いします」
『はい。今回のゲストは本作のラスボス、全ての元凶、大体こいつのせい、黒の魔女、メーデアです』
「凄い言い様ですね、イザべリア・リームカルド」
『寧ろ結構抑えたんだけど? よくもまあ殺してくれたよね?』
「あなたが名前を訊いてきたのでしょう? 私はそれに答えたまでです」
『⋯⋯⋯⋯そこに立て。今殺す。絶対殺す』
「物騒ですね。⋯⋯掛かってきなさい」
『──え? 話を進めろ? ⋯⋯はいはい。わかった』
「あらあら、私としたことが。少し苛立ってしまったようです。皆様、すみませんね」
『へぇ。お前でも苛つくんだ』
「⋯⋯死にたいのですか? ⋯⋯っと、こほん。そろそろ本題に入りましょう」
『癪だけど、まあいいよ。⋯⋯で、今回のお題だけど、一つ目がメーデアの設定と、あとは魔女というものについてだね』
「ふむ。魔女ですか」
『ああ、ここで言う魔女は私と、そこの外道のことじゃなくて、エストちゃんたちのことね』
「外道とは心外です。私は欲望のままに⋯⋯」
『⋯⋯全く。じゃあ一つ目、黒の魔女について』
「そうですね⋯⋯私はどうやら無から生まれたそうですよ?」
『つまり、モデルは居ないってことだね。メーデアの設定は作者の理想の敵役らしい』
「清楚系ラスボス。それが私の主設定ですからね」
『清楚? え? どこが?』
「こほん。⋯⋯そういうものです」
『そういうものか』
「で、他には⋯⋯作中最強、純粋悪、どこまでも強者、あと可哀想な過去とか持っていない、などですね」
『確かに。あなた他の俺TUEEEEE系なろう作品の主人公並の能力持ってるよね。しかも作者公認作中最強って⋯⋯』
「『影の手』、『無限再生』⋯⋯作中で描写している能力はこの二つでしょうか」
『その二つだけでラスボスに相応しいし、更に第十一階級魔法使えるとか、本当に辞めてほしい』
「あなたほどそれは使えませんよ」
『知ってる? 使える時点でおかしいってことに』
「でしょうか。あれくらい、少し頑張れば使えるようになりましたよ」
『上等だコラ。表出ろ』
「怖いですね。〈今、有象無象は──」
『代償なしに行使しようとするな』
「本気を見せてあげようとしたのですがね」
『それをやれるようになったら作者が困るからやめい。味方の最強キャラなら強引に弱体化なり出番規制させられるけど、ラスボスは無理なんだから』
「⋯⋯で、次は魔女とは何か、ですね。イザベリア・リームカルド、説明してください」
『こいつ⋯⋯まあいいや。ええと、エストちゃんたち六色魔女は、私の力を受け渡す代わりに、私に外の情報とか感情とかを公開する、謂わば契約でもある魔女化の儀式を行った者の総称だね』
「確か受け渡した力はあなたが自由に奪い返せるんでしたっけ?」
『できるね。でも能力だけはどうにもならないよ。そもそも能力って獲得と言うより、開花って言う方が正しい力なんだよね。生まれたときに運が良ければ咲くけど、大抵は咲かない。私は蕾の状態のそれを強制的に咲かせるんだ。『欲望』もそれに関係していて、本来咲かなかった蕾を無理やり咲かせるものだから、私の力だけでは足りないんだよ。そこで、意志の力として、人並みならぬ『欲望』が必須になる。こういう心理的な力ってのは案外馬鹿にはならないよ。⋯⋯それで、開花した蕾ってのはずっと開きっぱなしになる。だから力は取り返せても、能力までは奪えない。あと何より、誰か一人の力だけ取り戻すってのはできないのが難点。ミカロナとヴァシリーの力を取り返そうものなら、エストちゃんとレネさんの力もなくなる』
「なるほど。『欲望』がないと魔女になれないから、魔女って大体性格的にどこか捻くれているんですね」
『そうだけどお前が言える立場にないでしょ』
「で、私たち⋯⋯純魔女とでも呼ぶとしましょうか。これとの違いはほぼないんでしたっけ?」
『まあね。どっちも体を魔族のものに組み替えることには変わりないから。そういうこともあってか、さっきの話の続きをするけど、私が六色魔女の力を奪っても時間さえ掛ければ力を取り戻せたりする。体は魔族なままだからね』
「そこで、第三章ではエストは人間になったよね? と思った人は多いと思いますが、これにはメレカリナの能力が関係してくるので、これとはまた違いますよ、皆さん」
『⋯⋯え、それだけ? 説明してくれると思ったんだけど?』
「ああ、言葉足らずでしたか。⋯⋯えっと、メレカリナの能力である『憂鬱の罪』の効果は、『対象が思ったネガティブな思考を現実のものとする』という力です。例えば『私は馬鹿だ』と思ったのなら本当に馬鹿になります。IQ100くらい下がるんじゃないでしょうか。で、あのときエストは『私はこんなのにも殺されかけるほど弱い。これじゃあ人間と変わらないのかもしれない』と思ったので、それが現実化し、彼女は人間となりました」
『エストちゃんの弱い基準が幼少期だから、普通にバグってるんだよね。というかなんで十歳くらいで第十階級魔法使えるの? おかしくない?』
「ですね。私でも同じ年齢のときは第八階級が限界でしたよ。第十階級なんて、展開がやっとでした」
『それもおかしいんだけど』
「⋯⋯ん? え? ええ⋯⋯分かりました」
『どうしたの?』
「作者がどうしても伝えておきたい魔女についての情報があるとのことで⋯⋯これです」
『⋯⋯⋯⋯確かにそうだけどさ、どうしても伝えたい内容なのかな、これ』
「『魔女は子作りが難しい』」
『⋯⋯えーっと、端的に言えば生理はあるけど、十年に一回レベル。しかも期間は人間と同じなのに、孕む確率はとてつもなく低いんだよね』
「魔女は仮にも生物界の最上位種ですからね。長寿どころか不老みたいなものですし、生物学的にも子孫を残す能力が低くなるのは当たり前ですか」
『そんなものだから、魔女の血を持つ子供なんて私でも一回しか見たことないよ』
「そういえばエストは処女でしたね。娼館でそれを暴露してましたね」
『犯した──っと、何突然言ってるの? 殺すよ?』
「思い出しただけです。そんなにも怒らないでくださいよ。⋯⋯というか、あなた今なんて言いかけました?」
『⋯⋯⋯⋯』
「⋯⋯⋯⋯エストに後で言いつけておきましょう」
『別に良──』
「寝ている間にあなたの純血をイザベリアが奪った、と」
『やめて』
「⋯⋯さて、最後にあなたをからかえましたし、これで第二回目のこのコーナーもお開きにしましょう」
『その冗談は本当に不味いから。多分私が悪いことになるから言わないでよ!?』
「では皆様、今度会う日までご機嫌よう」
『ちょっ⋯⋯無視しないでよ。怖いんだけど──!?』