聖女は、ふるまう。(1)
気を失った花に、一瞬焦ったが、呼吸を確認して「ヒール」をかける。
花の弱々しい呼吸が、寝息にかわって、ほっと安心した。
「終わった・・。」
ミリエルの言葉と共に、そこにいたみんながその場にへたりこんだ。
ポチとジュエルの脱力もレアだが、リリーのへたる姿は可愛らしい。
「全く、何を言い出すのやら。」
言葉は分からなくても、その場にいた全員が、ミリエルの呟きに対する同意の意思を、うなずきで表していた。
「できれば、あの液体は遠慮したい。」
遠慮がちだが、かなり明確に、ポチは嫌がっていた。
いや、あれは『スムージー』じゃない!
と、言い張ったところで何か変わるわけでもなく。
「次は美味しいのを準備するから!」
となんとか説得。
それは、全てが終わり、東の地の宿にて。
予定より、少し長く滞在して、回復してから王都に戻ることになったので、その間にこれからのことを話していた。
ポチとジュエルの使役を続けるためには、定期的に花の作った食べ物、飲み物を摂取する必要がある。
今回は、時間との戦いだったため、あの、なんちゃってスムージーを使った。
ただ、間違って薬草を入れ、ヤバいポーションを作ってしまうと意味がない。
リリーに、食べても大丈夫な草をたくさん持ってきてもらったのだが、まあ、ポチの反応を見る限り、美味しくなかったことは確かだ。
次は美味しいものにしてあげたい。
(飲食系の称号は結構いろいろあるんだけどなあ。)
「花と言えば、やっぱり『あれ』でしよ?」
ミリエルはキラキラした目で見てくる。
「えー?」
すぐに分かったけど、ちょっと躊躇うのは、『あれ』があまりにもこの世界にそぐわないからだ。
美味しいのは間違いないし、ポチも食べられる。
でも、もうちょっと手軽で、彼らが食べても違和感ないものがないかなあ。
「うーん。まあ、保留、かな。」
ミリエルの残念そうな顔に、最初は『あれ』でもいいかなと、心が揺れる花である。
花は、ちょっぴり苦笑い。
面倒で後回しにしていた『称号』の整理を、やっぱりしなきゃいけないのかもしれない。




