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聖女は、覚悟する。

「我らがそのポーションを飲むのはよくない。」

それは、領主に会う前。

花とミリエルは、ポチを呼び出して、作戦を立てていた。

「我らを浄化すれば済むものを。主は頑固だ。」

ポチはあきれていたが、その言い方は柔らかく、諦めの色もあった。

素直に知識を提供し、協力してくれる。

まず、一蹴されたのは、魔力が無限でなくなっても猶予がある、というミリエルの仮定だった。

「人間である以上、保有できる魔力には限界がある。どれだけ強くとも、普通、魔物を2体も使役していれば、時が来れば即死だ。」

そもそもポチが花に契約を持ちかけたのは底知れない魔力があったからだ。普通は契約など持ちかけない。

「我らは、魔力と生命力の境が曖昧だ。生きているだけで魔力を消費する。そして、自然回復をしない。他者からの供給によってしか回復できないのだ。普通は、狩をして命で補う。だが、契約しているときには主から一定の期間ごとに供給される。」

供給は、満タンまで。しかも、新しい魔力で満たすために、古い魔力は放出される。

「そのポーションは、最大魔力まで上がるのだろう?つまり、次の供給は・・。」

悪循環。与えれば与えるほど、次が大変なことになる。

それに、ポーションは、もう残り僅かになっていた。

イルディンが常用していたためだ。

無限魔力を失えば、同じものが作れる保証はない。

残り二つ。

とりあえず、ポーション案は置いておいて。

解決するべきことを考える。

ポチによると、本当にもうすぐ、魔力の供給が本人の意思に関係なく行われる。

ゴーシュはタイミングをはかっているのだ。

ということは。

「魔力が普通になったとたんに搾り取られるってことね。」

想像したくない。

「他者からの供給・・なら、もう一つ方法があるのでは?」

ミリエルがそう言った。

「もう一つ?」

「これなら、ゴーシュさんも予想外なのでは?」

それが、称号、だった。



「一体、どんな裏ワザを使ったの?」

ゴーシュは唖然としたままいう。

「毎回、不服なものを提供してるけど、一応、スムージーというの。」

花はそう告げる。

「すむーじー?」

耳慣れない言葉に首をかしげつつ、ゴーシュはあっけにとられていた。

花が出したのはミキサー。


『よき混濁の創造者』


スムージーソムリエがもとになったその称号によって、イルディンを復活させたのが、遥か昔のような気がする。

「魔力を回復させるものを作り出せる。なら、もしかしたら、ポチとジュエルの魔力充填もできるかもしれない。仕組みは全く分からないけど、やってみる価値はあると思ったの。」

そして、今、花は生きている。

花が称号を使って作り出した食べ物が、魔力の全回復の力があること。それを使えば、あるいは・・。


ゴーシュの殺意が明確な以上、こちらの手の内を明かすのはギリギリでなければならない。

ポーションで死までの時間をなんとかして延ばして、その間にポチとジュエルを呼び、スムージーを作って飲ませる。

花の魔力が奪われるとき、それらのことが可能かどうか。

作戦を練れる時間は多くない。

花たちはお互いの役割だけを分担して、その時を迎えた。


「ねえ、ゴーシュ。私は、生きてる。そして、生き延びるわ。あなたにはもう、手出しさせない。」

「さすがだねえ、花。そこに賭けちゃうんだ。誤算だったなあ。」

ゴーシュが、そう言った後、急にその場で震え始めた。

笑っている。

ゴーシュは心から笑っていた。


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