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聖女は、探す。(3)

「称号、か。」

東の地に到着した。領主に挨拶するところまでで仕事が終わる。

身支度を整えるために、あらかじめとっておいた宿に入った。

サラとの話をミリエルに伝える。

この世界における、聖女や魔王の決まりについては、ゴーシュが知り尽くしている。きっと、抜け道はない。

だけど、花個人の特殊な部分についてはどうだろう。

例えば、花がもつ『称号』。

花自身も、名前を変えた称号たちで、なにができるのか分からないものも多いが、これらは、花が前の世界で、自分の力で得たものだ。突破口があるなら、そこしかない。

「魔力を失ったとき、頼れるのはそれくらいだわ。」

「なるほど。」

ミリエルは一旦うなずいてから、一息置いて続けた。

「僕も考えていたことがあります。そもそも、なぜ僕が花を召還したか、だけど。」

ミリエルが感じ取れる聖女候補は、輝き、というイメージで伝えることが多いが、いくつか条件があることがわかっている。

まず、魔力があること。

少なくとも浄化を繰り返すのに耐えうるだけの魔力を持っていなければならない。

次に、体質的に、テレポートに強いこと。

身体のパーツの結び付きが強くなければ、召還に大きな痛みを伴う。例えばイルディンの乱暴なテレポートで、気分が悪くなるくらいですんでいるのは、この世界でも強い方になるらしい。

そして、精神力。

数値では測れないが、歴代聖女のメンタルは、総じて高い。

「だから、ゴーシュさんが無限魔力を取り上げても、花の魔力が全てなくなることはないんです。」

おそらく、人並み以上の高い魔力をもともともっているはずだ。ただ、それがどのくらいなのかは分からない。

だが、ミリエルは、一番輝きの強い人物を選んだ。吟味する余裕もなかったし。

「まずは、魔力ゼロじゃない以上猶予がある、という前提で考えましょう。」

すぐに生命力まで失うのではないのなら。

とれるてはあるかもしれない。

「とりあえず、イルディン長官が保管していた特殊ポーションをもらってきました。」

HPとMPの全回復と、最大MPの上昇。ただし、一気に大量に飲めば、身体に負担が大きくかかり、だめだと言われた。イルディンが、元気なときに一滴飲んで気絶したらしい。

もちろん、一人のときなので、これは花しか知らない。

「ポチたちに、これを飲んでもらったら・・?」

ポーションが魔物にもきくことは、ポチと出会ったときにわかっている。

「・・やっぱり直接聞いた方かいいですね。花。ポチさんと話しましょう。」

ミリエルの言葉に、ためらいながら花は呼びかけた。


時間は決まっていて、夕食前に向かうことになっていた。

東の領主は気さくな人物で、明るく長旅を労ってくれ、思ったより早く全行程が終わった。驚いたのは、現王妃の父だったこと。

つまり、彼らは、実の祖父のもとで鍛えてもらうということになるらしい。

レオンとオリビウス皇太子はそのまま騎士の宿舎に向かった。

別れ際の顔は、凛々しいもので、花はちょっと安心する。

旅の一座は東の地に入ると別れを告げ、いなくなってしまった。

領主の屋敷の前に残されたのは、花とミリエル。そして。

「さあ、約束を果たそうか。」

キラキラした笑顔でどこからともなく現れた、ゴーシュだった。

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