表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/90

聖女は、選択しない。(1)

「神様に会いに行きましょう。」

開口一番に、ミリエルが言った。花も考えなかったわけではない。だが、気になることがあってその選択は出来なかった。

「ゴーシュは、皇太子を暗殺するって言ってた。返事の期限も気になる。楽士たちの中に暗殺者がいるかも・・。」

そんな状況で、自分がおかしな動きをしたら、ゴーシュがどうでるか分からない。

「そんな!今は、自分の命でしょう?!」

ミリエルは、花の肩をつかみ、ハッとして力を緩める。

花は震えていた。ミリエルの顔を見て、バレた、という顔で笑って見せようとした花は、そのままその場所に崩れ落ちる。

ミリエルはあわてて花を支えた。

「ごめん、ミリエル。すぐ回復するから。ちょっとだけ待って。」

ミリエルはまた、自分の無力さを謝りそうになって、違う、と飲み込む。今、自分ができることを探すのだ。こんな状態の花が、それでも仕事を全うしようとしている。ならば、ミリエルも考えるしかない。

「花。一緒に考えましょう。そんな、救いのない道は、花にふさわしくない。違う道は、必ずあるはずです。」

花は、呼吸を整えた。

怖い。

でも、いろいろな立場や思惑があるなかで、花を迷わず一番に考えてくれるミリエルの存在が、花を落ち着かせる。

策はないわけではない。

小さな可能性。全てはぶっつけ本番の相手の出方次第だ。

「ポチとジュエルには言わないんですか?何か分かるかも・・。」

花は首を横にふる。

「この話は、彼らにまた辛い選択を迫ることになるわ。」

彼らが花を大切に思ってくれていることは、伝わってくる。契約までした主の命と、自分たちの命。それらを天秤にかけさせるわけにはいかない。

「選択しなければならないなら、それは私がすべきことよ。」

合成獣の時のようなことは、もうたくさんだ。

ミリエルは、花が考えていることが分かり、それ以上は言わなかった。代わりに言う。

「僕なら自由に動けます。イルディン長官に話してみます。」

ならば、と花はミリエルにもう一つ頼み事をする。

ミリエルの目が大きく見開いた。

テレポートのことを考えると、北の領地を経由する方が早いと判断し、何気ない風を装ってポチに呼び掛ける。

『主。どうした?』

「ちょっと忘れ物をしてしまったの。ミリエルを北の領地にあるフィラードの邸宅まで連れていってくれないかな?」

ポチは、花を見て一瞬何かを考えているようだった。

だが、結局は何も言わず、一言『承知した』と告げてミリエルの肩に手をおく。

「必ず花の頼み事、成し遂げてきます。」

ミリエルは、花をしっかりと見つめたまま、消えた。


約束の時間は、あっという間に訪れる。

「そろそろいいかい?」

ゴーシュは軽く、花の前に現れた。

絶望的な三択。久しぶりの痺れるような期待に、ゴーシュの胸は踊っている。

それが伝わり、花は苛立ちよりも呆れてしまった。

だが。

面白い展開を望むゴーシュだからこそ、第4の可能性はあり得るはずだ。

花は、できるだけ、余裕の笑みを見せて、言った。

「どうするか、決めたわ。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ