表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/90

従業員は、口説く。

ゴーシュがただをこねるので、モニカには、昼ごはんもかねて、三人でいくことになった。

『モニカ』は、元踊り子の美魔女、エリザさんが、女手一つで切り盛りしていた定食屋だ。

今は、従業員として、息子のライラスがいるが、エリザさんを好きすぎて、親しく話しかける客に片っ端からがんつけるので最近は、ホールより厨房によくいるらしい。

今日の定食は、春野菜のスープに白身魚のムニエル。相変わらず美味しそうだ。

「エリザさん、ですね。なんて美しい方なんだ!」

話が聞きたかったので閉店間際の客が少なくなる2時前に行ったものの、ホールにいるエリザさんの奥で厨房からは、食器や鍋特有のカチャカチャした音がしていた。従業員がいる証拠だ。

(バイトの人でありますように。)

祈る花とミリエル。こと、ゴーシュの絡む事案について、二人の思考はかなり似た経路をたどる傾向がある。

が。

「あら、悪い気はしないわね。あなたがゴーシュね。男前ね。」

「もっと早く来るべきでした。いや、今からでももちろんイケます。まずは、今夜お食事でも!!」

身を乗り出して誘いをかけるゴーシュだが、花とミリエルは、厨房の音がぴたりとやんだことに気づき、顔を見合わせる。

時、既に遅し。

だが、二人が選んだのは、ゴーシュを止めることではなく、目の前の料理を平らげることだった。

ゴーシュをすぐに止めるのは不可能。エリザさんは、この顔の時は基本的に面白がっているから、あしらってはくれないだろう。

ライラスが怒鳴り込んでくる前に、まずはちゃんと料理を食べなければ。ライラスの辛抱が思ったより続けば、ゴーシュにも早く食べるようにすすめてあげよう。

ムニエルを堪能し、パンも平らげ、スープを飲み干すまで、なんだかんだゴーシュはエリザさんを口説き続けている。

そして、その手を握った瞬間、

しゅっ、さくっ。

小気味良い音と共に、ナイフが飛んできて、ゴーシュの頭上の壁に刺さった。

ゴーシュがさすがに、笑顔でかたまる。

厨房からは、ただならぬ殺気。

「とりあえず、手を離した方がいいんじゃないかな。」

花は静かにアドバイスして、続けて、

「ゴーシュ、食べてて。」

と促す。

食事を既に終えた花とミリエルは、心の中で、

(ライラス、ごめん。)

と謝る。

エリザだけは、やはり、面白がっている。

彼女にとっては、息子すら、手の中で転がす対象である。

さすがにおとなしく食事を終えたゴーシュは、用事を思い出したそうで、一旦帰宅。それでも去り際にどこから出したかバラを捧げ、ウインクして見せたのは、称賛に値する。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ