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聖女は、確かめたい。

「えーと。いいですか。これが世界地図、この国の地図はこれです。」

ザックが最初に用意してくれたのは、地図だった。

前の世界の地図とよく似ている。

この世界では、一つの大陸につき、一つの国だそうでわりと分かりやすい。

大国マドラスとサリルナードの間に小さな島。これがカムタニアだ。

他に三つほど大きな大陸があり、タハラスタンという国と、ハサナムという国、ヤシベルという国である。今後、関わりがある可能性があるので、頭にいれておく。

とりあえず知りたいのは・・

「マドラスって、どんな国?なぜカムタニアは狙われているの?」

合成獣の取り引きをグランキンとしていたのは、やはりというかなんというか、マドラスの王族だったという。

ソフィーからの情報と、イルディンが、最近聖女への謁見をもとめてきていた外国からの使者リストを照合した結果、マドラスの王族である人物と、通訳が、仮契約書の名前や、ソフィーの目撃情報と一致したのだ。

「・・ハルナスク公爵。」

王族ではあるが、王位継承権の序列は低い。

彼が何のために合成獣を手に入れようとしたか、だが。

「マドラスは大国です。納める領地も、国民も多い。好戦的な国民性で、国内でよく戦いが起こる。国としては一つだが、各領主達の権限が大きく、力の強いものが上にたつべきだという風潮が強い。」

カムタニアの大きな特徴は、鉱山資源。それは、武器の材料になる。カムタニアには、武器の精製技術を持つ職人も多い。

それらを優先的に活用できたら、それは大きな力になる。

また、単純に領地拡大の目的もあった。

海にかこまれたカムタニアは、水産資源も豊富で食料が充実している。また、万が一マドラスで立場が悪くなっても、そこに逃げ込んでしまえば国を興すことも可能だ。

ただし。

「カムタニアは中立国なんです。取り引きはするがどこの国の敵にもならないし、味方にもならない。戦争はしない国です。」

だから、マドラスはカムタニアに兵を送り込む口実を欲しがっている。

恐らく、合成獣が本当に取り引きされていたら。

「これは、俺の予想ですけどね。やつらは、狂暴化した合成獣をカムタニアに送り込み、援助を申し出て兵を送り込むつもりだったんじゃないかと思ってます。」

「・・聖女がサリルナードにいるのに?」

「だから、普通の魔物ではダメだと思ったんでしょう。」

浄化の力はその時はまだなかった。だが、加護の力で、普通の魔物たちなら、確かに兵は必要なかっただろう。

「聖女の力についても、みんなちゃんと知っている訳じゃないものね。」

実際は合成獣を浄化できたのだから、浄化のもつ力はかなり強いと思われる。だが、聖女のあれこれは、悪用を避けるため、ごく一部にしか伝えられない。実際の力以上を求めようとする者が現れたり、不必要に見下す者がいたりするのはある意味当然のこと。人は未知のものにであうとき、知らず知らず自分のこれまでの経験を物差しにしてしまう。

色んな見方がされるのはしょうがないことなのだろう。

「国内のことは、イルディンさんか、フィラードさんか、この国の身近な人に聞いた方が詳しいと思います。そのあと、カムタニアから見たサリルナードについては、お話ししますよ。」

身近な人、と言われて(意外とミリエル、よく知ってるかも。)と思い浮かべてから、勝手に、ミリエル、という名に過剰に反応し、びくっとなる。

そして、花は、思ったままを口にしてしまう。

「口づけには、どんな意味があるの?」

「なぜ、この流れでその質問?」

ザックはぎょっとしている。

花は、自分が口走ってしまったことを自覚し、真っ赤になった。

彼氏いない歴21年。

実はファーストキスである。

嫌じゃなかったことにも驚いたが、何よりミリエルがなぜいきなりあんなことをしたのか、知りたいところではある。

「あー、何て言うか、そういうのは本人に聞いちゃった方が早いんじゃないですかね。」

まあ、嫌いな相手にはしないと思いますから。とザックは続け、その日の学習は終わる。

午後からは、イルディンに呼ばれていた。

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