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聖女は、鳥肌が立つ。(2)

気がついたとき、花が最初に感じたのは、埃の匂い。

どこかの床に寝かされていた。手足の拘束はお約束だ。

ドアの向こうから男女の声がする。


「ソフィエル!どうする気だ?なんで連れてきた?」

「しょうがないだろ。騒ぐわけにもいかないし、この子の目的も知りたかったし!!」

「とんでもないやぶ蛇になったらどうすんだよ?!」

「・・その時は責任とって、私がやるよ。」

うーん。目覚めたくない。


だが、無情にもドアはあく。

反射的に目を閉じるが。

「もう、薬の効果は切れる時間。目覚めてるんでしょ、エリザ。」

ドアの外からだと若干くぐもってきこえたため、確信はなかったのだが。

「本当の名前は、ソフィエル、なんだね。まあ、愛称ソフィーは嘘ではないか。」

まだ、『忍者』の称号は影響している。花は、駆け引きのための言葉を選んでいた。

しかし、ソフィーの反応は予想以上だった。

「言葉が分かるの??あなた、カムタニアの人間?いや、そんなはずは!!」

言葉?ということは、ソフィーは先ほど、この国の言葉を話していなかったことになる。

(聖女のスキルか!!)

花は、召還された時から、会話には不自由しなかった。

自然と相手の言葉は分かり、自分の言葉は通じる。

文字と文法はちんぷんかんぷんなのに、会話ができるのは、おそらく最初から、そういう翻訳スキルがあるからだ。

・・外国にもあてはまるとは。

「エリザ。あなた、何者なの?」

聖女、と答えるのは危険だ。となると・・。

「忍者?」

疑問形になるのは許してほしい。ホントに自己紹介って難しい。

「ニンジャ?」

リピートするソフィー。知らないよねえ。

「忍び、とも言うよ。」

称号を思い出して言い換えると、ソフィーの目が真ん丸になる。

「忍びって、あの、世界的に有名な諜報集団の?」

あれ?通じた?

「それなら、言葉をいくつか使えても不思議はないか。」

すごいんだね、忍びって。

花は密かに感心。いるなら本物に会ってみたいかも。

「じゃあ、雇い主は?」

尋問は続くみたいだ。

どう、答えるべきか。

「私はグランキンの情報をつかみたかっただけ。カムタニアが警戒してるのは、グランキン伯爵?それとも、客人の方?」

質問を返して反応を見ると、ソフィーは僅かにたじろぐ。

カムタニア、という言葉は、大きな手がかりだ。ソフィーがカムタニア語を話していたなら、国のスパイじゃないか、という前提で話してみる。

どうやら、そんなにハズレの答えじゃなかったようだ。

「そう言うなら分かってるんでしょ?あの客人が誰か。」

「・・外国人と通訳ってことは分かった。」

あの変な会話。自分がもし、聖女じゃなかったら、疑問にも思わなかったに違いない。

世界の情勢をもっと勉強しておけばよかった。聖女教育の主要な部分だけ短期突破したつけがきてしまった感じだ。

「カムタニアは、狙われているの。そして、悪い奴は、悪い奴をみつけるのが、うまい。」

ソフィーの言葉に嘘はない。

『忍び』のスキルを使わなくても分かる。

ソフィーの声には怒りがにじんでいた。

花は、『忍び』と『メイド』と『変幻』のスキルを一気に解いた。

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