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聖女は、潜入する。(2)

久しぶりの北の地は、また一段と寒い。

ポチのテレポートを試してみると、イルディンのよりもかなり酔いがましだった。気づかいがあるって大切だ。

フィラードは王宮から帰って来て、屋敷で先にメイドの見習いがくることを伝えてくれている。

見た目で欺けるか、の確認もこめ、ブロンドメガネバージョンでフィラードの屋敷で見習いを2日、させてもらう。

自己紹介ではたと、名前を考えていなかったことに気づき、ひやひやする。

本番じゃなくて、良かった。

とりあえず、知っている女性の名前から「エリザ」と名のる。


フィラードの屋敷での見習い生活は、快適だった。皆、プロ意識が高く、やる気があれば、ちゃんと認めてもらえる。メイドとしての一連の仕事も、そんなに自分の常識と外れていなくて安心する。

(『変幻』もいけそうだな。)

今のところ誰も何も言わない。

ただ、仕事のできる方々だけに、分かっていてあえて黙って付き合って頂いている可能性もあるわけで。

最終日にはばらす予定だから、そこまではこのままいってみることにする。

夜。その日の仕事を終えた花は、森にいた。

ポチが間にたち、最近やってきたという魔物達を連れている。

ポチと同じコボルトたち。

ハーピーと呼ばれる、顔とからだが人の鳥。

ゴブリンが数名。

皆最初は警戒していたが、花が『変幻』と『メイド』を解くと、

『神様の加護だ・・』

という声と共に緊張が解けたようだった。

(ポチ以外の魔物の言葉も分かるようね。)

時間もないので本題に入る。

「初めまして。花といいます。みんな、最近この森に避難するようにして来たと聞いたわ。何があったか教えてもらえないかな。できることもあるかもしれないし。」

魔物達がざわつく。

『主は、我々を生かした聖女だ。我々の自我を認めた人間だ。この世界の人間の中では最も信頼に値する。』

ポチが、そう保証すると、意を決したようにハーピーが言った。

そこまで言われると責任を感じるけど、とりあえず聞き取りが優先だ。

『私たち、あのままいたら、ほかくされます。』

捕獲?

『魔物を捕獲するなど、聞いたことがない。やつらは、駆逐、が基本方針だろう?』

ポチも同じように思ったらしく疑問を口にする。

やつら、は人間だから、ちょっと居心地悪い気もするが、異種族の会話だからしょうがない。

『でも、攻撃の仕方が違う。仲間、何人か脚と羽を狙われて、動けなくなったところを魔封じの枷をはめられ、生きたまま連れていかれた。』

『俺たちの仲間もダ。俺たちは魔法も使えナイ。足、狙われた。』

ゴブリンも言う。

それは、どういうことだろう。

「魔物を何かに利用しようとしている??」

花が呟くと、

『王都とか、枷、とか聞くと、思い出す奴がいるな。』

ポチが剣呑な空気をだす。

「でも、確信がないのに動くのは危険だわ。違ったら本当の犯人を逃すかもしれない。」

正面突破しかねないポチをとりあえず牽制しておく。

でも、花も同じことを考えていた。

(グランキン伯爵家への潜入・・。これは、充分注意しないと、危ないな。)

ひとまず、調査することを約束して、その場は別れた。


2日目も穏やかに過ぎ、最後に『変幻』を解いて本来の姿で「お久しぶりです。」と言うと、全員が驚いていた。

メイド長さんだけは、(メイクが濃いな)とは思っていたらしい。

だが、彼らに正体がバレなかったことにひとまず安心する。

マルコフさん夫妻にも挨拶をして、帰りはフィラードの転移で快適に。


グランキン伯爵家では、メイドが二人やめ、そのうちの一人が知り合いだということで花を推薦してくれる。

・・イルディンの人脈と、裏工作力は侮れない。



名前は引き続き「エリザ」を拝借した。

フィラード邸での2日で、定着してしまったためだ。

一般的な名だというから大丈夫だろう。

かくして、花の潜入計画は、実行されたのだった。


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