1.彼氏
いろいろ駄目だぁ;
好きになっても絶対叶わないって分かってる。けど...好きになってしまった。もう、戻れない。
初めての高校生活が始まって、一ヶ月が過ぎようとしていた。まだ、雪が少し残っている。
(もう一ヶ月もたったんだよなぁ...)
ふと、そんな事を考えてた。すると、
「藺ー?聞こえてますかぁ〜??」
と、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「瞹、聞こえてるから。」
私は高校でできた友達、鮎沢 瞹にそう言い放つ。
友達の私がいうのもなんだが、瞹は、綺麗でかわいい。頭はそこそこだが、そこが更にかわいさをひきたてている。かくいう私は、可愛くもなく、特別綺麗でもない。頭は良いと思うけど。だから、こんな可愛い子と仲良くなれたのは奇跡に近い。
「てか、うちね、」
瞹がなにかを言いかけた時、ちょうどチャイムがなった。あとでね、と言って、瞹は自分の席に戻る。
長い、退屈な授業がやっと終わり、瞹が私の元へやってきた。
「藺っ!!さっきの続きなんだけどね、私ねー、彼氏できたのっ!!」
瞹は凄く幸せそうな顔で、私に言った。
実際、今まで彼氏がいなかったのが不思議だ。
「...で、どこの誰なの??」
瞹の彼氏だったら相当カッコイイんだろうなぁ...と、思いながら聞いてみた。
「んっとねー、高校わぁ、うちの高校の近くにあるとこで、今2年の、白塚 龍馬っていうんだっ」
近くにある高校って、確か金持ち高校(いわゆるお坊ちゃん高校)じゃなかったけ??
なんか、ちゃらちゃらしてそう...瞹、大丈夫なのかなぁ?
そんな私を見透かしたように、曖は
「いとっくけど、龍馬は、チャラ男じゃないからね!」
と、いった。