第4話 白騎士と親友の雑談 後編
「口説いてねえ! ただ、普通に┄綺麗な瞳で、口からポロッとでた。それだけだ! それ以外の事などない!!」
「だいたい、女性に気安く軟派事など、男としてあってはならんのだ!」
動揺の余りの言い訳に、シリウスは間をおき、爆笑し始めて腹を抱えた
「┄┄ブッ! ハハハハハハ!!」
「なに、笑ってんだ!テメーー!!」
急に笑いだした。シリウスを恨めがましく見て怒鳴ると、チラッとこっちを見て、また笑いだす。
なにが、そこまで? コイツのツボに嵌まるんだ? と疑問符を浮かべた。
するとシリウスは、苦しそうに咳込みつつ
手を振り、謝る
「すまんすまん、あんまクロードらしからぬ言葉が耳に入ってよ! 今どき何処の年寄りの世迷い言、かと思ってな。古い!」
「古くなどない。騎士たるものとして、当たり前だろうが!」
「いーや! そんなもの守ってたら、せっかくの出会いも無駄になり、大事だと気づいたときには、誰かしらのものになるだろうが! 俺は、意地でも、ものにするためなら力ずくでも、ものにしてやるがな!」
「そんな出会いない奴に、言われても説得力ないが?」
「い~んだ~も~ん。俺、仕事に生きてやるんだ! はっ! 仕事も、い~や~だ! 人生をた~の~し~む~んだ!!」
また、急に机に突っ伏し、机をバタバタと叩き駄々を捏ねるシリウスは、情緒不安定かよ! っとツッコミをいれたくなった。
その時、コンコンと扉をノックする音がした。
するとシリウスは、やる気がなさそうに
「だれ~~~?」
と言っているのを聞いて、もう少しやる気出せ! とシリウスをにらんでいたら┄┄
扉が勢いよく開け放たれ、そこには驚きの人物が、苛々した表情で立っていた。
「「げっ!! ローズ宰相」」
「シリウス隊長、疲れてるでしょうが! す・こ・し! いいですか。急な要件があるのですが!!」
にっこりと微笑んでいるはずなのだが、眉間の皺が深く刻まれたローズ宰相が、酷く怒ってる事がわかり、俺とシリウスはビシッと背筋を伸ばして、互いに頷くと
シリウスは咳払いを一つして、仕事モードを発動した。
「要件とは! なんでございましょうか?」
シリウスがローズ宰相に声をかけると、近くへ歩いて来るなり10枚の紙束を机に置き
「これは、どういういとでの報告か、説明してくださいませんか?」
シリウスは紙束をもち中身を読むと、ふうーっと息を吐き捨てた後に机に再び紙束を戻すと両手を組み合わせ
ゆっくりと話し始めた。
「そのままの意味ですが、何かご不満ですか?」
「不満がなければ、来るわけがなかろう! だいたい、ここに書かれている獣が二匹とは何だ! 一匹だけであろう、城へ討伐した獣は!」
「いえ、二匹です。一匹はクロードが討伐しました。ですが、私の透視スキルでは獣がもう一匹の獣を助けようとしてましてね。私としても見過ごせなくて、付け加えただけですし。それを文句をつけるとは、何か都合が悪いのですか?」
「┄┄都合は、わ、悪く┄┄ない。ただ、あの獣は┄┄、なんでもない。もう、いい!」
「おや、そうですか?」
小さくチッと舌打ちをしたのち、帰ろうとするローズ宰相をシリウスは呼び止める。
「あ! 少々待って下さい。ちょうど宰相殿に渡しておきたい物があるのですが」
「渡して、おきたいものだと!?」
シリウスは頷くと俺が渡した物を、宰相に渡した
ローズ宰相は受けとる中で、訝しげに中を覗くと驚いた表情を浮かべていたが、すぐに俺達を見る
「これを、調べてほしいと俺に言っているのか?」
「調べて下さい。と言ってるんですがね私は!」
「┄┄┄┄わかった。」
「ありがとうございます!」
シリウスはお礼を言って頭を下げるのを宰相は見て
小さく息を吐くなり、さっさと部屋を出て行った。
多少の含みのあるシリウスの言葉に、宰相は気づいたんだろうな。
そのあと、シューーと力を抜かすシリウスは机に顔つけ癒されだした。
そんな中で、俺はふと宰相とシリウスの会話に何か、引っ掛かりを感じ、腕を組んで思い出そうとし気づいた。
「おい! シリウス!」
「うん? なに┄┄? いま何もやる気ないよ」
「ちーがーう! ついさっき、ローズ宰相との会話の中で、透視スキル使ってたとか、言わなかったか?」
「うーーん? 言ってたな」
「ってことは、お、お、俺が黒い犬をモフッてたの見たのか!?」
「い、犬?┄┄あっ! 確かに見たかも、でも━━」
「あれも!! 見られてたのか!!」
頭を押さえぐああ! とダメージを受けていて
俺はシリウスの言葉を聞いていなかった。
「あれって、魔獣だろう! って、聞いてないし。まあ、いいか、クロードがなんか面白いし、後で教えてやろうか」