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白騎士は黒い狼に恋をする  作者: ユミエリ
第1章 白騎士は黒い狼に恋をする
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第2話 白騎士と黒い狼  

仕事帰りに見た、黒い毛なみが美しい犬が忘れられず、俺は明日から犬の捜索を決意した┄┄┄はずなのに、何故に俺は仕事などしなくてはならんか?

チッと舌打ちが出ている

何故、機嫌が悪いのか、それは数時間前になる。


俺は今日の昼からはうごけるように

職務用の書類を片付けて、時間が出来るように予定を組んでいたんだ。

なのに、なのにだ!!

よりにもよって、隊長のアホが仕事を安請け合いしやがって、市政へ見回りを俺に押し付けて来たのだ。

一瞬、殴りたくなった。┄┄まじで!


とういうわけで、今は市政の市場までは見回りをしている、顔は出来るだけ怒りを出さないようにはしている一応は仕事だからな!!


「クロード副隊長、足の速度が早いですぜ」

「ああ!! なんだって!!!」


部下の一人が後ろから、声をかけられ

顔は無表情のまま、振り返り声だけで威圧する。苛々してるときに下らん事は許さんと意味合いを入れてな


「うっわー! こわっ!┄┄でも、僕は負けませんぜ! 副隊長、見回りですのに回りをよく見てないのはどうかと?」


ピクッと頬が引きつる

なんだって、それじゃあ俺がよく見てないと聞こえてくるんだがな?


「ほう~、俺が見てないと、言いたいようだな?」

「違うんですかい?」

「つい先ほどから、あの男をつけている事に気づかなかったのか、お前は?」

「あの男、ですかい? ああー、たしかにさっきから、チラチラと視界に入ってはいましたが、あの男がどうしたんです?」

「あの男は今、市政で暴力や恐喝などをしている奴なんだ、なかなか尻尾を掴めなくてな、今回の本当の目的はアイツなんだよ! 見回りはフェイクだ」

「そうだとは知らず、生意気な事をいいやした!」


部下はそう唸り頭を下げる

全く新人でもないのにと呆れたものの、誰しもがミスをすることもあるからな

でも、部下のためにも優しくはしてやらんがな


「わかったのなら、同じミスはするな、行くぞ!」

「はい」


◇◆◇◆◇◆◇◆


あの男はルドルフ一味の一人でカルナと言い

優男で緑色の髪に、町並みに溶け込むような服装をしている。

悠々と店先に買い物を楽しみ、果物屋でリンゴを買い食べていたりと、中々に動く気配がない。


本当に苛々する、さっさと誰でもいいから恐喝なりすれば現行犯で引っ張っていけるものを

今すぐ、俺の自由を返せ!!

店の隅でジロリと、カルナを見張っていたら

部下が他の店から情報収集して戻ってきた


「あの男は珍しく金が入るとか言って機嫌が良く、あまりにも、愛想が良いようです。」

「金が入る、だと? どういうことだ?」

「えーっと、なんでも、金になる動物を見たとか、らしいですぜ、黒くて犬のような獣だとか?」

「┄┄┄なん、だと!!」

「副隊長どうしやした? 顔が、こわいですぜ?」


部下が何か言っているが、そんなのどうでもいい!

いま大事なのは、黒い犬の獣と聞いて昨日に見た動物かもしれない、と頭に過り焦りがきた。

もしも、もしもだ! そうだったりしたら、俺以外の者が見つけたり、捕まえたりしたら


┄┄┄俺は、渡さないように、なにをするかわからないな?

あの犬は、俺の物だ、俺が先に触るし撫でるからな

他の者になど、近寄らせん!!

あっ! そうか、その前に潰すか!


つかつかと進んで行こうとしたら、腕を捕まれた

なんだ? と思い振り返りると


「クロード副隊長ストップ! なにをしようと、しておりますか?」

「うん? ああ、けそうかなって?」

「やめて下さい、悪い冗談ですよね?」


は? 悪い冗談? そんなわけないだろう。

俺の獲物を狙うなど、万死にあたいするからな。

ニヤリと口角を釣り上げると


「冗談ではないことは、わ、わかりました! ですが、カルナは今夜、その獣を捕まえるようだと店からの情報なので、証拠を集めやしょう?」

「┄┄チッ、たしかにな。俺も急ぎ過ぎたようだ、すまない。」

「わかってくれたようで、安心ですぜ。」


いまはな、でもだ! あの犬だった場合は半殺しぐらいは

隊長も許していただこう。

まあ、無理なら始末書ぐらいは別にいい

あの犬がまもれるならな!


その後にカルナの動向を観察していたが、やはり夜までは動くことはなく時間だけが過ぎていった。


◆◇◆◇◆◇◆◇


部下と夜を待ちカルナが動き始めた事に気づく

闇夜に隠れ、人気のない場所を抜け進んで行き

開けた広場へとたどり着く


そして次に、2~6人の人陰が現れるなり

密接な談話をし動き出すやはり

カルナだけではないか?


ということは、それだけの獲物だということだ

やはり、昨日の犬か?

ぎりっと奥歯を噛み俺は怒りを抑えると後をつけた。


男達は進んだ最終目的地へたどり着くと、そこはやはり昨日、あの犬を目撃した場所だった。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「おい、本当にここなんだろうな!」

「へい! あっしは見たんでやんす、こう黒くて犬のような獣でやんす、あれは有名なブラックウルフ族の特徴でやんしたっす!」

「なら、いい! あれは、中々に値打ちがあるからな! それに、血や肉には不老長寿があるらしいと伝承に載っていて、腐れ貴族には多額な金が入るからな楽しみだ」


その時、大きな大樹の下に影が射した


「きやがった! 野郎ども、殺れ!!」


男の声が響くと、カルナと他の5人の男達が

それぞれの武器を構えて、大樹にいる影に襲いかかった


俺は出ていきたい衝撃を我慢する。まだ、まだ証拠がない


そう思うが、剣戟の音や奴等の叫びが聞こえてくるたびに

足が、意志が、本能が、今すぐに出ていき皆殺にしてしまいたい衝撃が抑えられない。


そう思っていた。しかし、大樹の下にいた獣に月の明かりが照らし出されたとき、俺は驚いた。

違うのだ! あの黒い犬ではなく、黒は黒でも赤みが薄く

光の辺り具合じゃ、赤茶色に見える犬型の魔獣がいた。

ホッと安堵する、あの犬じゃなかったと┄┄なら

頭を切り替えて状況把握に専念しようとした矢先


突如、大きな咆哮が鳴り響く

赤茶色の魔獣はルドルフ一味の攻撃をよけ、宙を舞い次々と砲弾の魔法を連発し、食い殺していた。


「強いですぜ、あの魔獣は。ランクてきにBでしょうか?」

「いや、あれはDランクだろう、ルドルフ一味が弱いから強く見えるだけだ。でも、少し様子が変ではあるな」


大概の魔獣でも、この王都に、そう易々と浸入を許す筈はないのにな?

それに、なんだ? あの体の傷跡は、深く切られたような感じで斜め方向にザックリだな?


ぼんやりと状況観察をしていたときカルナの叫びが聞こえ

魔獣に再び意識が向いた。

すると、カルナ以外は全滅しているではないか?

カルナも喉元を噛み殺されかけていた。

俺は、はあ~とため息を吐くなり


「アイツは重要参考人だ、助けるぞ!!」


と一応は言っておく、仕事はちゃんとするさ

面倒くさくてもな。

つい先ほどのやるき半分で俺は部下と一緒に魔獣へ向かっていった。 


◇◆◇◆◇◆◇◆


あの後、俺の部下で魔獣と戦闘に入るが

ものの数分間で倒すことに成功してしまう

こいつは本当にあのDランクの魔獣なのかと疑うほどに弱くてイラッとした。


こんな魅力を感じない物とあの犬を間違えるなど、カルナの見る目は腐ってやがるな!

異様に不愉快だ。まあ、もしもあの犬だった場合は半殺しで済まなかったかもしれないがな!

冷たくカルナを見てニヤリと笑む


「副隊長、目が邪悪ですぜ?」


いまは部下がカルナの手首に縄をかけている途中

気絶してるおかげで、大人しくなっている中で声をかけられた俺は


「そうか?┄┄気のせいだろう?」

「そういうことにしておきます。ところで、この後、どうするんですか?」

「は? どうするも何も、帰って事故処理や取り調べなどをするつもりだが?」

「僕は、隊長から言われてたんですが、もしも仕事が終わった場合、副隊長には褒美として仕事を休ませてやる! と言伝てをもらってたんすよ。でも、副隊長は仕事する気があるなら戻りやすか?」

「┄┄はあ⁉ なんだ! それは、初めて聞いたぞ! どういうことだ?」

「えーーっと、これも隊長からなんすが! どうせ、クロードの場合、こんな仕事を面倒だから適当に処理しそうだから褒美は内緒にしとけと」

「アイツ┄┄! マジで殴ったろうか!!」


拳をワナワナと震える、怒りでな!

舌打ちが出るのは、もうしょうがないだろう

帰ったら覚えてろ! 褒美をもらったぶんは、文句だけにしといてやる! 一応な┄┄┄


「僕は悪くないっすから、隊長┅御愁傷様です!」


などと部下が言った後、カルナをヒョイっと荷物運びにし


「僕は今から戻りやす! 自由時間を満喫してくだせい!」


ビジッと空いた手で敬礼をするなり走っていた。

部下の力量は知っているが、つくづく力持ちだよな!

だいの大人の体重を軽々とは、いつ見ても慣れない


まあいい、せっかくの褒美だ。

なんか色々とあって疲れたし、大樹の下で月見としゃれこむか?


◆◇◆◇◆◇◆◇


昨日は、気づかなかったが、この大樹は月の明かりがよく当たる場所だと思えた。

優しい風が吹き俺の頬を撫でて、気持ちがいい

俺は異空間に閉まっていた。お気に入りの酒瓶とコップを取り出し注ぐ、そしてまず一口飲む


「うん、いいな。月見酒は┄┄静かなところがいいからな」


いつも騎士宿舎の食堂は男臭くて、やかましい連中がいるが、ここには俺一人、なんて清々しいことか!

今度はクイッと全部を飲む


あーー美味い! と思い感嘆に浸っていたとき

不意に月の明かりにポツリと黒い物が見えた

なんだ? と思いコップを置き、立ち上がり目を凝らして見る。


すると黒い物がだんだんと近づいて来た。

うん? 何なんだ? と思った瞬間、俺の近くに着地した物に


驚きと感激で心が湧きあがらんほど喜びにかられ気がついたら犬に抱きついていた。

抱きつくと一瞬、ウー!! と唸る声がしたが、どうでもいい、今の俺は犬の感触を味会うことに全力を注いでいた。


なんだ! この手触りは、近くで見ると黒光りが艶をだして

触れば触るほどに、ほどよく気持ちがいいではないか!!


たまらん、俺が想像してたよりヤバイ!

撫でくり回していたら、犬が唐突に体を振り出し


俺を離そうしてくるため、あっ! ヤバイと冷静さを取り戻した後、手を離すと距離をおかれてしまう。


なにしてんだ、俺は?

まだ仲良くもなかったのに、知らない奴から急に触られたら警戒心を高めてしまうのに、しょうがないんだ


つい先ほどのせいで、こう胸が高まってしまったのだから

だだの言い訳だがな


次に黒い犬は唸り声をあげて、警戒心を強め真っ直ぐに見つめていた。

ウーン? どうする、俺?

弁解するにしても、変な行動取れば余計に警戒されるだろうしと思っていたら


グーと黒い犬の方から腹の虫が聞こえてきた。

お! 腹を空かしてたようだ。

これは俺へのチャンスかもしれない

そう思い、異空間に入れていた俺特製の骨付き肉だ。


ツマミように用意していた焼いた物で、味付けもしっかりしているからな

俺は皿も取り出したあとに骨付き肉をおき

黒い犬の近くに置いてから、俺は距離をおくためはなれた


すると黒い犬は鼻をヒクヒクして匂いを嗅ぐと骨付き肉に警戒しながら近づき、匂いで確認したあと口に運んでいた

ガツガツと食べるのかと見ていたが、えらく丁寧に食している姿に、物珍しい感覚がありちょっと楽しかった。

うん、癒される!


黒い犬が食事を終えて皿の上が綺麗になくなっていた。

骨まで綺麗に食してくれるとは嬉しいものだな

俺はさすがに警戒されてるだろうから、片付けは後にしようと大樹の下に戻り月見酒を再開することにした。


そして10分ぐらいたった頃

少し酒の酔いが回り始めたとき、不意に黒い犬が視界にはいり見るとなんと! 俺がいるのに、離れてもせいぜい2メートル程度の場所にいた。

わずかでも警戒を解いてくれたのかと、この時の俺は幸せな気持ちでいっぱいだった。

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