「開廷」
俺の名前は川瀬 平介。
俺が通う葉山市立宮鳥中学校の2年3組には、
「学級裁判」というものが存在する。
また今日も学級裁判が始まる。
「ただ今より学級裁判を開廷します。」
あいつは、俺達のクラスの委員長で「学級裁判」の裁判長の竹田 美香。
今回はクラスの男子同士の喧嘩の裁判らしい。
「石山くん。当時の状況の説明をしてください。」
「おう。俺が廊下を歩いてたら、いきなり後ろから鈴木に押されたんだ。んで、転んだ俺のことを鈴木が馬鹿にしやがったんだ。
俺もカーッときて、ぶん殴ってやったら、やり返してきやがった。それからは、もう殴り合いだわな。先生に止められた後、話をしてたらそいつが、俺が先に殴ったとか言い始めやがって。俺だけが怒られたよ。だから、学級裁判を開いてもらった。俺からは以上だ。」
「鈴木くん。異論はありますか?」
「大ありさ!俺は石山のことを後ろから押してなんかない!そいつが勝手に転んだだけだろ!俺のせいにするなよ!」
「嘘つくな!お前が俺を押したんだろ!」
「いいや、俺は押してない!」
「静粛に。ここで、このことに関する目撃者に話を聞きましょう。谷本くん、どうぞ。」
意見の食い違いが起きた時は大体長くなるけど、
今回は目撃者がいるのか。しかも谷本。
「あぁ、俺は一部始終を見てたぜ。簡単な話さ。
鈴木が石山を押して喧嘩になった、それだけだぜ。」
そりゃ石山が有利になること言うよなぁ。
石山と谷本は仲良いし。鈴木も気の毒だな。
「待て!俺はやってない!」
「それでは、判決に移ります。判決は1週間、奉仕委員として活動すること。これにて学級裁判を閉廷します。」