第3話 類は類を呼ぶ
新学期初日にスカートめくりなどすれば、クラス1のスケベ男と呼ばれてもしかたがない。
精一杯の自己防衛なんだけど、だれもそうとは思ってくれない。
クラスの女子には全員から軽蔑され、白い目で見られている。
悪夢だ。俺は、高校に入ったら彼女が欲しかったのに。グズン。
そして、クラス1のスケベ男の周りには同類が集まる。
類は類を呼ぶ。学内の貧民、最下層住民はそれなりに集まる。
そして、友がDVDを貸してくれた。ギャルゲーである。
学校の昼休み、教室の後ろで密会する男生徒二人。人目を気にしつつ密かに手渡される紙包み。ここだけの話、中身はギャルゲーDVDである。
「俺の使い古しだけど、まあ、インストールすれば新品だ」
一言多い言葉に俺も一言加えて礼を言う。
「おお、ありがとう友よ。これでお前と兄弟か」
さりげなくやり取り終え、俺は自分の席に戻ろうとする。昼休みの教室ではあちらこちらで女どもが群れて弁当を食べている。そんな横を俺はさりげなく通り過ぎようとした時、女の一人に急に呼び止められた
「赤井君、それ何?」
背が低くてロリ童顔巨乳の恵子ちゃんが天然で聞いてくる。
「いや」(お前空気読めよ。天然はこれだから困る)
口ごもる俺は後ろから伸びる別の女の手の動きに気づかなかった。
妙にスルリと手から大事なDVDが抜き取られ、紙包みは女どもの手から手へと渡される。
「おい、バカ、返せ」
そして、女どもの手から手へ渡される内に紙包装は解かれ、美少女がニッコリ微笑むフルカラーのDVDパッケージが教室に現れた。
「それって、ギャルゲーっていうんでしょ」
この女達の群れの中心は、初対面絶交宣言の宿敵である高瀬律子だ。
後で知った事だが成績優秀スポーツ万能、
クラスの副委員長様になるべくしてなったお人である。クラスの最下層の貧民な俺から見ればそれはそれは雲の上のような人である。初対面絶交宣言がなくてもお友達になるはずのない人なのだ。
更には学校の土地も建物も高瀬の家が出したとか出さないとか。
高瀬家=理事長>>>超えられない壁>>>校長みたいな噂がある。
先に教えてくれ。絶対に敵にしていけない人ではないか。
高瀬律子は自分の手元に渡ってきたDVDパッケージを見た。
「サイテーね」
小さな声でも心にグサリと刺さる言葉の槍。
俺の顔を見た高瀬律子の視線には軽蔑100%。
俺は悪い事した子供みたいに視線を逸らしたけど、目を逸らす間際の一瞬、高瀬律子の視線が、ほんの一瞬だよ、同情と親愛と友情100%の視線に変わったように感じたんだ。
えっ? おい? 何? と視線を戻すとギャルゲーDVDは空を飛んで俺の手元に戻ってきた。
これは高瀬律子に礼を言うべきなのか思ったが、DVDが無くなると女達は何事も無かったように他の話を始めている。
礼なんか、いらないか。そもそも俺3m以内に近づくなって言われているし。
どもどうして俺、初対面で絶交宣言されたんだろう? まあいいか。