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4話

 帝国兵士の隊長が、斬り伏せた村長の屍に向けてタンを吐きかけた。


「バカめ!隠し農場なんて大罪を犯したんだ。死をもって償うのが当たりメェだろ!そう言っていれば助かるとでも思ったか!」


 もう動くこともない村長のもとへ村人たちが駆け寄ろうとするが、兵士たちに阻まれて突き飛ばされる。


「よ、よくも俺たちの村長を殺しやがったな!!」


 口々にわめいて隊長へ何度も迫ろうとする村人たち。その中には青年、ハルツの姿もあった。彼は村人たちに叫んだ!


「もう我慢出来ねえっ!皆んな武器をとれ!ぶっ殺してやるっ!」


 彼の言葉に皆頷き合う。


「「「そうだ!ハル坊の言う通りだ!」」」


 もはや冷静でいられなくなった村人たちが、それぞれクワやナタを手に兵士たちに肉薄した。


 隊長がマントを翻して鼻で笑う。


「ははぁ?お前ら、帝国に仇なすつもりかぁ?一体何が不満なのやら」


「きっ……貴っ様っまぁあっ!!」


「おおっと!このガキがどうなっても良いのかぁ?」


 捕らえたレリンに目を向ける隊長。彼女は兵士に後ろから短刀を突きつけられ、首筋を浅く切られた。血が数滴服に流れ落ちて赤く染める。


「貴様っ!どこまでも卑劣な……っ!」


「服従しろ。さもないと全員殺すぞ?」


「く……くそっ!!」


 しぶしぶ武器を手放す村人を馬上から見下ろし、下卑た笑みを浮かべる隊長。


 しかし、


「ーーぐげぇえっ!?」


 その時レリンを捕まえていた兵士の一人が突如悲鳴を上げて崩れ落ちた。


 兵士たちは突然の悲鳴に肩を跳ね上げて数歩引き下がり、隊長は驚きを隠せずに眼を見開いた。


 彼の視線の先には、兵士が持っていたはずの短刀を逆手持ちし、傷ついたレリンを片手で抱きとめている血まみれの少年がたたずんでいた。


 ーーその少年はなにを隠そうフェルドだった。


 フェルドの胸に身を預けたレリンは、血をかぶった彼の顔を見上げる。


「フェ……フェルド……?」


「安心しろ「オレ」が来たからにはもう大丈夫だ」


「うん……そう、だね……」


 レリンはフェルドの顔を見られてホッとしたのか、張っていた気を抜いて意識を手離した。


 それを確認したフェルドは、彼女をお姫様抱っこして村人のところへ歩いていく。


「ええっと……ハルツ……だっけ?コイツ頼んだぜ?」


「あ、ああ。……?」


 ハルツや村人たちは、フェルドからレリンを受け取りながらも、彼らも困惑したような面持ちで、彼の持つ短刀と倒れた兵士を交互に視線を泳がせる。


 レリンを村人に預けたフェルドは再び兵士たちの方へ身体を向ける。


 隊長がハッと、頭を振った。


「お、おい!あの小僧を斬れ!斬り殺せ!」


 命令を受けた兵士たちも、次第に現状を把握して瞬時に身構える。だが、フェルドの足取りは少しも乱れなかった。


(ほう……この素早い切り替えしには感心だな。それなりに訓練を受けたヤツらということが良く分かる……。だがっ!)


「行けっ!」


 二人の兵士が、ガチャガチャと音を立てる重い鎧いであることをものともせずに悠然と斬り込んできた。


 一人目の兵士が斬りおろした剣を右にヒラリと躱すと、フェルドの動きを見極めた二人の兵士が、ワンテンポ遅れて首元目掛けて剣を突き出した。


「良いね君たち〜。10点中6点くれてやるよ」


「なっ?」


「なにっ!?」


 突き出された剣の切っ先はフェルドの首を捉える手前で阻まれていた。なんとフェルドは、剣の腹を左手だけで掴んで受け止めていたのだ。


「ば、馬鹿なっ!?」


「いや本当だぜw」


 言い終わらないうちに突き出された剣を奪い取り、二人の兵士を短刀と西洋刀を兜の隙間から滑り込ませて刺し殺す。


 力もスピードも兵士の上をいくフェルドの動きに、兵士たちがたじろいだ。


(モロっ!あんたら意志弱すぎだって)


 フェルドがそう嘆息するなり、みるみる顔色を青くした隊長が金切り声を上げた。


「ええいなにをやっているかっ!全員で斬り伏せろ!数はこちらの方が有利なんだぞ!」


「分かってたけどさ。お前、隊長失格だろ」


 隊長の下知で兵士全員がフェルドに押し寄せてくる。


(これで3匹殺した……残るは12匹+1頭か……)


 兵士の数を数え、彼はぼそっと呟いた。


「とは言え、こうやって虫が湧いてくると面倒だな……それに時間が足りん」


 雄叫びをあげて襲いかかる兵士たちを一瞥して、西洋刀を横へ薙ぎはらった。


 すると圧縮された空気が兵士らの胴体を鎧いもろとも切り裂いた。上半身と下半身が切り離されて辺り一面が血の池に早変わる。


 馬上の隊長はその光景をただ呆然と見下ろした。そして馬上から引き摺り下ろされる。


 恐怖でか、腰を抜かせて動けない隊長は震えながら情けない動作で土下座した。


「た……頼むっ!殺さないでくれっ!!」


 フェルドは隊長の首筋に剣を突きつけて言い放った。


「一度しか言わないからよーく聴け。命を奪うってことは奪われる覚悟があるってことだ。あの世で神にあったら泣いて喚くと良い。なんならオレが来世について取り繕ってやろう」


 絶望的な返答に隊長の顔が歪み、彼の頭は地面をゴロゴロと転がっていったーー

あらすじの台詞とは少し変えてありますが、なんとか回収出来てホクホクとしておる私めでございます……。


あっ!ご意見、ご感想、評価などお待ちしてますよっ!?(クドイ)

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