44話
その夜、ジオルド、シャナリーゼ、ルイ、ウォルド、シルフィードが選定した3つの物件を全員で見比べていた。
今回街に行った5人の内4人が魔族のため契約出来ずイメージの送りあいができない。
だから4人には直接見に行って貰った。
シルフィードが居残り組にイメージを送る。
1つ目は商店街の1画で、左隣が宿屋、右隣はレストラン。
2階建てで地下と庭はなし。
リフォーム自由だが両隣が難色を示しそうとのこと。
2つ目は逆に人通りが少ないが、リフォーム自由。
土地は小さいが。
この2つを見て、5人の意図に気づいた。
5人ともイタズラしているときのような顔をして笑っている。
私だけではなく全員がそれぞれ5人を見ている。
「既に4人の中で決まっていたのでしょう?」
「まわりくどいなぁ、もう」
タマキとソウマが言う。
3つ目は理想の場所だった。
人通りは普通。
街に長く住んでいる人がよく使い、旅人達は滅多に使わない通りの1画で
地下ありの2階建てで庭付き。
リフォーム自由。
両隣も店兼住宅で他種族が多く働いている。
全員一致でここにした。
翌日すぐにその物件を購入しに行ってもらい、いくつか建築家を紹介してもらってきた。
リフォームは魔法ではなく街の建築家に頼むことにした。
その方が街に溶け込みやすいからね。
選んだ建築家の人は鬼族のガウルさん。
見た目はとってもいかつくライゼンよりも大きい人だった。
いかにも大工の棟梁って感じだ!
と言っても私はシルフィードのイメージを見ただけだけど。
その人はとても口が固く義理堅い人で有名だった。
私の事情を知っても態度が変わらないだろうと思ったのだ。
早速全員でどんな風に建てるかを話し合い、間取り図を書く。
完成後にガウルさんに持って行き、1週間後にガウルさんが見積もった費用と日数等を話し合う。
私は1度ガウルさんに会いたかったので、皆にお願いして連れていって貰った。
約3ヶ月振りに森を出た。
ちょっと怖いが、街に行くことにワクワクする。
私、シャナリーゼ、ウォルド、シルフィードの4人でガウルさんとの話し合いにガウルさんの職場に来た。
私はウォルドに抱き上げられている。
「こんにちは。こちらにどうぞ」
ガウルさんの奥さん、マリウさんが応接室に案内してくれた。
そこでガウルさんに出迎えられた。
「おう、よく来たな。初めまして嬢ちゃん。俺はガウル。よろしくな」
私はウォルドに下ろしてもらい、自己紹介をする。
「はじめまして。ルミエールともうします。わたしたちのいらいをおうけしていただき、ありがとうございます」
というとガウルさんとマリウさんは驚いたように私を見る。
「こちらこそ、依頼してもらってありがとうございます」
と2人揃って笑ってくれた。
3人でほのぼのしていたら
「では早速お話をお伺いしても宜しいですか?」
とシャナリーゼの言葉でここに来た目的を果たすために全員席について話を聞く。
結果をいうと費用は住宅の購入費とリフォーム代すべて合わせて2億φ、日数は2ヶ月ということで同意した。
リフォームといっても全く違う建物になるため、現在の建物の撤去日数と1から建てる日数がかかるため、時間がかかるのだ。
明日から早速仕事を始めてくれるということだ。
私達はガウルさんにお礼を言って、購入した物件の周辺を見に行った。
回りの雰囲気に合わせて店の外観を決めたかったからだ。
雰囲気がとても良く、皆が仲が良さそうだった。
良い場所で良かったと思った。
結界に戻り、皆で色々なことを話し合った。
①ここからどうやって商品を運ぶか
②収入について
③部門分けと担当
④営業時間と定休日
⑤従業員について
この5つを中心に決めていった。
まずは①ここからどうやって商品を運ぶか。
私の理想は某猫型ロボットが良く使う○○でも○アみたいなのを店と結界に作れないかと思っている。
そうしたら私達の移動も楽にできるし。
皆に提案すると、空間魔法をいくつか複合させたら可能なのではないかということなので、採用されることになった!
リアルワープが体験できる!
次の②収入について。
いわゆる給料はどうするかだ。
私はここの生活が維持できれば良いので、利益の1割を貯金用に、4割は店の維持費に、残りの5割を従業員で山分けにしてくれたら良いのではと、思っていた。
しかし
「ここは私達の家でもあるのよ?ここを守るために働くのだから給料はおこづかい程度で良いわ」
「働くって言っても店で好きなことをするんだから、ほとんど趣味の一貫だよね。僕も給料はおこづかい程度でいいや」
とシルフィードとソウマを筆頭に全員が給料はいらないという。
皆の好意に甘え、収入の3割が貯蓄、3割が店の維持費、3割が雇う人達の人件費、1割を皆にと大雑把に分けてこうなった。
経営については全員全くの素人だから、これで良いのか悪いのかわからないけど。
③部門分けと担当。
店をカフェ部門、小物部門、服飾部門の3つに担当を分けることにした。
カフェ部門の担当はソウマ、ルイ、ブランの3人。
小物・服飾部門の担当はシラー、エレインの2人。
店長役がレフィーリア。
ソウマ、シラーそれぞれの部門のリーダーだ。
交替で店に出たり、出なかったりとそれぞれだ。
それ以外のメンバーは基本、結界内で仕事をする。
私、シャナリーゼ、シルフィード、リュナで魔法道具から普通のアクセサリーなどの小物の製作など。
ティナ、タマキ、ルーナが服の製作。
ジオルド、ライゼン、ウォルド、ホルドで農作業など。
それぞれの仕事を決めた。
④営業時間と定休日。
営業時間は10時~17時まで。
定休日は月曜日と金曜日と祝日。
営業時間は朝・夕食は全員で食べるために17時までとした。
定休日は土日は稼ぎ時だけど大変なので土日の前と後にゆっくり出来るようにした。
問題は⑤従業員について。
絶対条件が2つある。
1つめは口が固い。
店と結界内を空間魔法でつなぎ、簡単に行き来できることや私達の事情を一切漏らさないようにしてもらわなければならない。
誓約書も書いてもらうことになった。
2つめは他種族を差別しないということ。
まあこれについては言わずもがなである。
あの街には多種族合同の孤児院があり、働き口を探しているものも多いので、人の本質を見抜くドラゴン族の2人が何人かに声をかけて面接をすることにした。
従業員8人は雇いたい。
8人が住み込み出来るように店の2階は寮にする予定だ。
男女4人ずつ雇いたい。
カフェ部門に4人、小物・服飾部門に3人、事務員に1人ほしい。
レフィーリア、ソウマ、シラーの3人が面接し、私にイメージを送ってもらうことになった。
何だかんだと準備が整っていく。
ティナは服を作りまくり、ソウマとルイ、ブランはメニューの料理の試作などを作ったり、皆イキイキしている。
皆の笑顔をみるだけで、店を開くことを提案して良かったと思う。
私もシャナリーゼとシルフィードとどんな商品を作るのか話し合って決めたので、それを気に入ってもらえたら良いなと思う。
店の改築終了1週間前に従業員の面接を行った。




