43話
人魚達に薬を渡して喜んでもらえた後、リュナとホルドの人形を紹介して、皆でお茶をしていた。
今日はシルフィード、ライゼン、タマキ、リュナ、ホルドで浜辺に来ていた。
人魚達も私とリュナが双子みたいだと騒いでおり、リュナは恥ずかしそうに私の手を握っていた。
それを見てまた皆が騒ぐ。
落ち着いてから人魚達は薬を飲んで、尾びれを足にする。
皆初めての足に、立つことに、歩くことにはしゃいでいた。
そんななか、1人だけ静かにしている者がいる。
エレインだ。
何かを考え込んでおり、緊張している。
「どうしたのですか?」
声をかけると、顔をあげて私を見る。
「ぁう、えっと、その……。私と契約してください!!!」
最初は口ごもっていたが、意を決したように大声で言う。
いきなりで思ってもみなかったお願いにビックリして固まっていると
「ずっと思ってたの。恩返しをしなくちゃって。でも貴女と一緒に過ごしているうちにもっと一緒にいたい。貴女を守りたい。助けになりたいって思うようになったの。私の主に貴女になってほしいの。ルミエール、いえレイラ様じゃないと嫌なの!!どうかお願いします!!!」
エレインが切羽詰まったように言って頭を下げる。
エルザや他の人魚達は苦笑している。
シルフィード達も微笑みながら私達を見守っている。
私はエレインに
「ありがとうございます。そんなにおもってくれて。ふがいないあるじですがこれからよろしくおねがいします」
と微笑みながら言うと、エレインは目に涙を浮かべて
「ありがとう」
と言った。
その後すぐにエレインと契約し、エレインはエルザ達に証を自慢している。
エレインは今日家を出るときに国にいる家族に、私に言ったみたいなことを言って、今日帰ってこなかったら契約したってことだからと言って家を出てきたらしい。
だから今日から一緒に屋敷に帰ることになった。
荷物も持ってきていた。
準備がいい。
3階の1室をエレインが使うことにする。
ガーディでルイに連絡し、部屋の掃除を頼む。
夕方にエルザ達と別れてエレインと共に結界に帰る。
エレインはまだ歩くのになれていないのと、森のでこぼこ道ということもあり、ライゼンの肩に座っていた。
私はシルフィードに抱き上げられている。
結界内に戻るとエレインは自分の足で屋敷まで歩いていた。
ダイニングルームで集まっていた居残り組にエレインをしょうかいすると、みんな快くエレインを迎え入れていた。
そのままみんなで夕食を食べ、リビングに移動した後、エレインに魔法石に魔力を込めてもらう。
明日エレイン用のガーディを作るためだ。
銃を作るのに採寸もさせてもらい、お礼に1億φが入った収納ネックレスを渡す。
今日は部屋の家具が揃っていないので、私の部屋に留まることになった。
翌日、エレインはレフィーリア、ティナ、ウォルドと共に街に買い物に行った。
ウォルドはエレインが歩けなくなったときのお助け要員だ。
それにエレインは街を歩いて、買い物をするのが初めてなのでお守り役というか、保険というか。
まぁエレインはとても楽しそうにし、ウォルドは疲れているイメージがレフィーリアとティナから送られてくる。
エレインは一人っ子だから兄弟はいないが、ウォルドとシャナリーゼは兄がいたら、姉がいたらという理想そのものらしく契約する前から2人によくなついていた。
ウォルドとシャナリーゼもエレインを妹のように可愛がっている。
だから今回の買い物組に最初に決まったメンバーにウォルドはいなかったのだが、出発前になって同行が決まった。
シャナリーゼとウォルドがエレインを心配してどちらかが一緒に行くことを2人で話し合っていたらしい。
エレインに心配性の兄と姉ですねと言うと、嬉しそうに笑っていた。
屋敷に残ったシャナリーゼは今、私が作ったエレイン用の銃を試し撃ちしている。
私はガーディの製作中だ。
夕方に4人が帰ってきた。
エレインは興奮ぎみに何があったのか、何に驚いたのかをシャナリーゼと私に報告してくれた。
ウォルドはとても疲れた顔をしているが、どこか満足そうだ。
夕食前に部屋を整えに行き、今日から自室で休めるように準備をする。
夕食中、夕食後も全員でいろいろな話をする。
ティナは今日買ってきた布で私とリュナのお揃いの服を作るんだと言って、皆のリクエストを聞いている。
ルーナはティナに裁縫を習っていて、一緒に作ろうと話している。
ブランはシラーに魔法を教えてほしいと頼んでいるし、皆とてもイキイキしている。
ここにいるみんな、種族も体験したことも全然違うのにこうして仲良く笑いあっている。
目標や夢が見つかり、毎日を楽しく笑って生きている。
ある意味奇跡みたいな状況だ。
私は皆を見て決意する。
「わたし、きめました」
というと皆が私を見る。
私は微笑みながら
「よっぽどのことがないかぎりもうだれともけいやくしません。そう、きめました」
というと皆驚いたような顔をする。
「いきなりどうしたのですか?」
代表してシャナリーゼが私に聞く。
「わたしはいまここにいるみんながだいすきです。このふんいきがすきです。だからこんごだれかがはいってきて、このふんいきがこわれるのならげんじょういじをえらびます。けれどいのちのきけんがあって、このふんいきをこわさないものであればなかまにむかえいれようとおもいます」
というと皆が納得したように微笑む。
「あと、ここから1ばんちかいまちでみせをひらきませんか?」
「店、ですか?」
「はい。わたしたちはいましゅうにゅうがありません。ですからお金があるいまのうちにみせをひらいてしゅうにゅうげんをかくほしなくてはいけません」
「確かにそうですが、なんの店を開くのですか?誰がそこで働くのです?」
「ここでつくったさくもつ、わたしがつくったまほうどうぐ、ティナたちがつくったふく、そうまたちがつくったりょうり、さまざまなものをうるざっかやはいかがでしょうか?じゅうぎょういんはまちでやとうか、わたしにつかえたいといってくれたかた、かえるばしょがないかたはいかがですか?」
と言うと全員が楽しそうに笑って賛成してくれた。
「いいね!たのしそう!」
「まあそれなら、いいんじゃない?」
「ルミ嬢に惹かれない奴はいない。短期間でもこんなにいるんだ。従業員候補はすぐに集まるさ」
とライゼンが言うと、皆が頷いてくれた。
嬉しくなり
「ありがとうございます!」
と皆に言って、開くお店について語り合った。
明日ジオルド、シャナリーゼ、ルイ、ウォルド、シルフィードの5人で街に行き物件と立地を3つほどに絞って来てもらうことになった。
4人には場所の選定のための5つの条件をお願いした。
①本通りから少し外れた場所
②賃貸ではなく買うこと
③陽当たりが良い場所
④種族に拘りがないところ
⑤土地が広いこと
この5つだ。
本通りだと追っ手や私たちを知っている人に見られる可能性があり、厄介なことになる。
買った後リフォームしたいし、他種族ということで差別されたら従業員が大変だ。
この5つの条件が揃わないと店を開くつもりはない。
良いところが見つかるといいなぁ~。




