41話
人魚族と交流することで、最新の情報を得て敵の動きが確認できるようになった。
今のところ私の生存はバレていないようだ。
安心した。
家族については私が12歳になってから教えてくれるということだ。
シャナリーゼは「本当は15歳以上になってからの方が良いんですけどね」と言っていたので、覚悟が必要なのだと思う。
まだ受け入れる自信がないため、皆の気遣いが有り難かった。
エルザ、エレイン達と関わることで人魚族が他種族に狙われる理由が解った。
人魚族はある一定の年齢になると老化が止まるらしい。
最年長の人でも30歳後半ぐらいの外見年齢だけど、実際は2000歳を越えているらしい。
だからある噂が流れた。
『人魚族の肉を食べると不老になれ、寿命が延びる』
という噂だ。
この噂を信じたもの達が人魚族を乱獲する事件が増えたため人魚族は他種族との交流を最小限にしていたらしい。
ドラゴン族や温厚派の魔族の国だけ交流があるのだそうだ。
確かにドラゴン族も魔族も長寿の種族なので、寿命が延びたり不老になるというのはあまり魅力的に思えない。
しかし人族や妖動族など寿命が短い種族には魅力的だ。
だから人魚族を狙うものが減らないのだという。
そんな彼女達がなぜ私達を信用してくれたのかというと、私が魔族で色々な種族と契約しているということと、同じ狙われているものだからだということだ。
狙われているものであれば気持ちがわかるだろうからと。
それに魔族だし、人魚族の噂について知らなかったし、プライドの高いドラゴン族が2人も主にしているから信用に値すると判断したそうだ。
そして有言実行ですぐに安全確保に動いてくれたからとも言われた。
とても嬉しかったが、恥ずかしかった。
それからの私の生活は月・水・金曜日の午後はよっぽどがないかぎり浜辺で過ごすことになった。
人魚族達と一緒にお茶したり、泳いだりと楽しく過ごした。
人魚達は私達が食べるものに興味津々だし、私達は人魚達が持ってくるお茶菓子に興味津々だった。
だって人魚族は海の中で生活しているため、火を使わないというか火がない。
だから焼き料理がないのだ。
海底にも温泉があるらしく、蒸し料理とか暖かい料理はあるらしいが。
だから焼き料理に興味津々だった。
私達は焼いていないのにケーキが作れる人魚族の料理技術に毎回興味津々だ。
特に料理にはまったソウマが月・水・金曜日の午後に浜辺に必ず着いてくるようになり、海底料理について興味深く聞いていた。
「にんぎょたちはおびれを2ほんのあしにかえるまほうはあるのですか?」
ある日の水曜日、私は前世の知識から得たある疑問をぶつけてみた。
「あるにはあるけど、使ったら尾びれは二度と戻らないわ」
私の質問にエルザが答えてくれる。
「たんじかんでもとにもどったりもしないのですか?」
「しないわね。だから一生の選択なのよ」
「ではたんきかんだけかわれるなら、うれしいですか?」
「そりゃあ嬉しいわ。貴女達から聞く話は興味あることばかりだもの」
エレインが答えると人魚族全員が頷く。
「ではたんきかんだけあしにかわるくすりをつくってもいいですか?」
と聞くと、全員が嬉しそうに頷いてくれた。
私は元々ある薬についても調べたかったので、その薬と皆の血を採血させてもらえないか聞くと、全員が了承してくれた。
感謝し、金曜日に採血させてもらうことにする。
今日は私、ライゼン、シャナリーゼ、ソウマ、レフィーリア、リュナ、ホルドで浜辺に行っていた。
5人と2匹で結界内に帰りついたとき
「おい」
と後ろから声をかけられた。
全員で振り返ると、この前の奴隷商人達が4人立っていた。
「この前はよくも大事な商品を逃がしてくれたな」
「それに気づいたら森の入口近くにいてビックリしたぜ」
「ここまで戻ってくるのに仲間を1人喪うし」
「散々な目にあったぜ。どう落とし前つけてくれるんだ?」
と次々と馬鹿らしい言いがかりをつけてくる。
無視して結界内に入り、ソウマとレフィーリアとホルドだけが振り返り奴隷商人達の相手をする。
私は私を抱き上げているライゼンとシャナリーゼとリュナと先に屋敷に戻る。
「よろしいのですか?」
「大丈夫ですよ」
「あの程度の奴等にやられるような弱いやつはうちにはいないさ」
と2人とも落ち着いている。
「それにジオルドがあいつらが結界には入れないように設定してたしな」
というので、安心して屋敷に入った。
こういうときの対処について事前に話をして5ヵ条を決めていた。
①どんな人でも1度は助ける
②結界には自動的に入った者を認証させ、危険と判断したら2度と中には入れないようにする
③危険人物はレフィーリアかシルフィードが森の入口近くまで縛って連れていく
④戻ってきたら最低2人で結界の入口で対応する
⑤説得できずどうしようもない場合は殺す
というものだ。
私は前世の知識もあり他人を殺すことに戸惑いはあるが、戸惑ったせいで大切な誰かを奪われる方が嫌だ。
それにここは地球とは違って、危険と隣り合わせの世界だ。
特にこの森は。
だから私も覚悟を決めた。
生き残るために誰かを殺すことを。
それを前提にして私はライゼンから戦うことを習っている。
だから、4人が今から死ぬ可能性があるのだとしても助けるつもりはない。
私には守りたいものがあるから。
気持ちを切り替えて、レフィーリア達が屋敷に帰ってくるのを待つ。
「ただいま~」
2人が気だるそうに帰ってきた。
「おかえりなさい。だいじょうぶでしたか?」
「ただいま!あいつらならたぶん大丈夫。脅したらどこかに行ったよ」
「魔物が近くまで来たからあいつらも結界に入ろうとしたんだけど、入れなくて、慌てて逃げていったよ」
「魔物もあいつらを追いかけていったみたいで、結界にも支障はなかったよ」
と報告してくれた。
それからはそんな人達のことは忘れて、皆で楽しく夕食を食べた。




