39話
さて、今日から牧場を始めよう!
っていうのは冗談で。
ガジウスの飼育方法を調べる前に、鶏小屋の作成を行った。
馬小屋の隣に作り、放牧出来るように小屋の周りと計20畳分程のスペースを柵で囲む。
後日ガジウスの小屋も建てる予定だ。
ガジウスには1種類だけで計20畳分のスペースを畑を潰して確保した。
馬や鶏が傷つけられないようにという措置だ。
畑の作物はビニールハウスに植え直した。
倉庫ももう1つ作っておいた。
農場用と牧場用だ。
15時頃には作業が終わったので、それからは図書室でガジウスについて調べる。
レフィーリアに鶏や牛などの飼育方法が乗っている本、ガジウスの本等を買ってきてもらうよう頼んでいるので、詳しく調べて考案するのは明日からなのだが。
16時半頃にレフィーリア達が帰ってきた。
16羽の鶏と共に。
16羽を鶏小屋に運び入れる。
1羽はオスだった。
なぜオスも買ったかというと、卵を有精卵にしておけば、今後鶏が死んでも(食べても)数を増やせるからだそうだ。
鶏のエサも大量に購入してきてあり、牧場用の倉庫が埋まった。
ガジウス用にもう1つ倉庫が必要になりそうだ。
まあとにかく明日から新鮮な卵が食べられることが嬉しい!
その日から全員の生活習慣の一部に鶏の世話も加わった。
翌朝、久し振りに朝食にオムレツが出た。
とても美味しかった。
朝食後、私、シャナリーゼ、シルフィードの3人は図書室に籠った。
昼食後もずっと。
その生活が3日程続いてようやくこれだったらと思う案が出来た。
その為シルフィード、ジオルド、ライゼン、ウォルドの4人でガジウスを捕まえに行った。
残ったメンバーの内、私、シャナリーゼ、ルイでガジウスの小屋を建て、ガジウスが住みやすいように調えた。
ガジウスはこの森にだけ生えているフィンの実が主食らしく、この実しか食べない。
そう何百年もガジウスを研究した人の本に書かれていた。
フィンの実というのはリンゴほどの大きさでブドウみたいに木に生っている。
色は黄色で味と食感はマンゴーに似ている。
熟れすぎた実は木から自動的に落ちてしまう。
ガジウスは落ちた実も木に生っている実も両方食べる。
1日に3回5個ずつ食べれば良いらしい。
大きさに反して少食でとても助かる。
それとガジウスはフィンの木の近くや葉の上じゃないと寝られないらしい。
その為シラー、ソウマ、タマキ、ティナでフィンの実と葉を集めて貰いに行った。
そして可能であればフィンの木を1本根っこごと持って帰ってきてもらえるようお願いした。
ガジウスの小屋のすぐ横に植えたいと思ったのだ。
幸いにもシルフィード達よりシラー達の方が早く帰ってきた。
フィンの木も1本持って帰ってきてくれた。
木というか大樹だったが。
実も100個程採って帰ってきてくれた。
フィンの実は痛みやすく、収穫してから4日程しか保存できない。
しかし今後はフィンの大樹がある。
フィンの実は1年中生るし、大樹にはパッと見ただけでも1000個は実が生ってそうだ。
これなら外に実を頻繁に取りに行かなくても良さそうだ!
今気づいたが、私の結界内に引きこもり生活ができる準備が着々と進んでいる。
良いことなのだが、複雑だ。
ガジウスの飼育スペースが完成して、外でお茶をしていたとき、ガジウスを連れてシルフィード達が帰って来た。
ガジウスを3頭連れており、1頭は2頭に比べて小さいので子供のようだ。
最初は暴れだしそうだったが、フィンの大樹を見ると安心したように大人しくなった。
どうやら飼育スペースを気に入ってくれたようだ。
3頭は家族で1頭はオス、もう1頭と子供はメスだった。
大人のガジウスはメスなら1日40㍑は出してくれる。
12人では1日に飲めないため、バターやチーズを作ることにした。
オスも5㍑は出してくれるが、あまり美味しくない。
その代わりオスのミルクはお風呂の水に混ぜると肌がツルツルになる。
女性メンバーは全員とても喜んでいた。
子供はもう少ししないとミルクは出せないようだ。
まあ仕方がない。
これで結界内もほぼ充実した。
買い物には1~2ヶ月に1回行けば良くなった。
肉なども冷凍しておけば質は落ちても日持ちするし、野菜は畑からある程度は収穫出来るし、魚も近くに海があるし。
食料で買うものは小麦粉、強力粉、砂糖、塩、胡椒、油、チョコレート、缶詰など保存が出来るものになる。
まあ他にも日用品で買うものはあるのだが。
今はお金があるが、支出ばかりで収入がない。
人族であれば十分なお金があるが、魔族である私や他の皆は後最低でも1000年は生きるだろう。
何かで稼ぐ方法も考えなければ!
まあゆっくり、確実な方法を探していこうと思う。
先ずは牛用の搾乳機が微妙にガジウスに合わなかったため、微調整をしなくては!
そんなこんなでガジウスを飼育してから5日経った。
この5日間はチーズ工房とバター、生クリームの生成所の2階建ての建物を造ったり、チーズ、生クリーム、バターの美味しい生成方法を探ったり、とても充実していた。
ガジウスもストレスなく、とても気楽にしてくれている。
飼育が成功したことようだ。
ガジウスは基本とても大人しいので私が触っても、乗っかっても怒らなかった。
それに狼を怖がるかなと思ったが、4匹が吠えなければ大丈夫なようだ。
その4匹もガジウスや鶏の放牧の手伝いをしてくれたりと、活躍している。
動物達が仲良くしてくれて、安心した。
私の生活サイクルはほぼ決まっている。
午前中は武術、護身術の特訓をし、汗を流して昼食をとる。
午後は2通りある。
魔法とと勉学の授業か自由時間かである。
シルフィードが仲間になってから、私の魔法と勉学の先生はシルフィードになった。
武術はライゼンだ。
シルフィードは面白おかしく色々教えてくれる。
そしてとても分かりやすい。
そんなシルフィードの授業は2日に1回2時間、魔法と勉学と交互に教えてもらっている。
理由は私がまだ幼いからだ。
まだ私には遊ぶ時間が必要だということでそうなった。
勉強後はお茶をして自由時間になる。
自由時間にはピアノを弾いたり、狼と遊んだり、ガジウスの世話をしたり、畑仕事をしたり、海に行ったりして過ごした。
生活が安定し、全員が穏やかに過ごしていたある日、客人が来た。
その時私はシルフィードの授業中で、シルフィードはもちろん、シャナリーゼとウォルドが一緒にいた。
家畜の世話をしていたジオルド、ソウマ、ティナ、ブランが客人に気づいた。
私は客人が来た場合、屋敷から出ないようにと全員に言われているため、大人しく屋敷に待機していることにした。
シャナリーゼとウォルドが客人の様子を見に行く。
ティナから全員に伝話とガーディに連絡があったので、屋敷にいたルイとタマキも合流し、4人でリビングで待機する。
ティナからはずっと伝話で現在の状況が伝わって来る。
5人いて、全員が疲労困憊という状態だった。
5人の内2人はとても大きな箱を2人で運んでいた。
時代劇の偉いお殿様が乗っているような駕籠のように中が見えないようになっている。
しかも何か生き物が入っているのか独りでに動いていた。
中身がとても気になる。
と思っていたら、駆けつけていたリュナが箱に体当たりした。
すると箱が倒れ、中から大量の水と鎖で繋がれた人魚が出てきた。
5人組はとても慌てていたが、シラーにより気絶させられている。
私は屋敷から飛び出し、人魚のもとに向かう。
3人も私を追いかけてきている。
全員が集まっている場所につくと、非難の目で見られる。
全員から怒られることを覚悟して、レフィーリアが鎖を外してあげている人魚に近寄る。
「だいじょうぶですか?こわかったですね」
と言って彼女の頭を撫でると、緊張が解けたのか、泣き出した。




