36話
昼食後、私は研究室でカイン用に作ったガーディを解体していた。
隣の実験室ではシャナリーゼとウォルドがレフィーリア、シラー、ティナに銃の使い方を教えている。
この後、レフィーリア、シラー、ティナには魔力石に魔力を込めてもらう予定だ。
特訓が終わり、3人に魔力を込めてもらった。
私は集中しており、3人のガーディが完成したとき、研究室内のソファーセットのテーブルの上にはケーキやクッキーなどのお菓子が並んでいた。
「どうしたのですか?」
とシャナリーゼとウォルドに問いかける。
「お礼ですわ。今日の作業は終わったのでしょう?お茶にしましょう!」
とシャナリーゼが笑顔で言う。
カインがいるときは見れなかった笑顔がやっと見れて、大丈夫なのだと安心した。
そのお茶中の会話は2人の惚気だったり、シャナリーゼが国が滅んでから今日までのことを話したり、レフィーリアの大泣きした時の話をしたり、笑ったり泣いたり呆れたりしたお茶会になった。
そしてその時に初めて屋敷のリフォームについて話をした。
お姫様として生活していて忘れていたのだ、洗濯物の存在を。
洗濯をルイと今はティナの2人で毎日時間をかけてやってくれていた。
この世界にはまだ洗濯機はあるが、この屋敷にはない。
私は地下室の1つで脱衣場の真下の部屋を洗濯室にして、ダストシューターを作り脱いだ服や使ったタオルを入れたら自動的に地下室の洗濯室の用意されたかごの中に入るという仕組みにし、洗濯機、乾燥機、物干し場、アイロン台などが完備された部屋を造ろうと思ったのだ。
それに2階の空き部屋を裁縫室にして1階の裁縫室を応接室にしたり、露天風呂を造ったり、客室にトイレと簡易バスを造ったりしたいということを伝えると、2人も賛成してくれた。
他の皆にも意見を聞き、今度は全員で屋敷を建設しようと計画する。
ということで夕食後。
まずは完成したガーディを1人ずつ渡していく。
ガーディの機能、使い方を説明した。
側仕えの3人は知っているが、カメラとアルバムの機能に皆感動しており、全員と2ショット写真や何人かと撮ったりと撮影会を1時間ほど行った。
私のガーディにも全員との2ショット写真やグループ写真などいっぱい撮ってもらった。
勿論、交換機能もつけたので2ショット写真や私が写っている写真は私のガーディで撮って皆に送った。
ガーディの大きさは5インチのスマホぐらいだ。
やっぱりそのくらいの大きさのほうがギリギリ片手で操作でき、画面は大きくて見やすい。
緊急時でも素早く使えるだろう。
家計簿機能には感謝された。
皆管理に困っていたらしい。
他にも何かほしい機能などがあったら追加できるようにしてあるから、言ってほしいということも最後に話した。
ここで1度私とシャナリーゼはお風呂に入りに行く。
その間にウォルドに屋敷のリフォームについて話をしておいてもらう。
シャナリーゼとお風呂から上がりリビングに行くと、全員が屋敷の間取り図を見て考えていた。
「どうかしたのですか?」
と声をかけると
「実はほとんどの者が部屋に個人用のトイレとお風呂、洗面台がほしいということなのですが、いかがでしょうか?」
「よいのではないですか?つくりましょう。ほかはどうですか?」
「では俺とシャナリーゼもライゼン達のように部屋を同室にしてほしいのですが。レフィーリアに許可をもらいましたので、2階にお願いしたいです」
「なら僕もルイと同じ部屋が良い」
ウォルドが意見を言った後、最近やっと敬語が取れたソウマが爆弾発言をする。
ソウマの発言の後、ルイは顔を赤く染めた。
その反応を見て
「ふたりはつきあっているのですか?」
と代表で問うと
「そうですよ」
「はい」
と2人から返事を貰う。
「いつからですか!?ぜんぜんきづきませんでした」
誰か知っていたのかと皆を見るが目があった者からは首を振られた。
皆初耳だったようだ。
「この前街に行った日の夜に僕から告白したんだ」
と言った。
全然気づかなかった。
「なぜだまっていたのですか?」
「申し訳ありません、ルミエール様。カインとウォルドのことが落ち着いてからと思っておりましたので」
とルイに言われる。
責めているわけではない、驚いただけ、謝らないで、気にするなということを言った気がする。
驚きすぎて、思考回路がショートしてしまった。
正気を取り戻したとき、私の部屋の話になっていた。
それまでの会話の相づちは無意識に出来ていたようで、違和感は持たれなかった。
間取り図を確認すると、今の部屋よりちょっと大きくなっており、寝室は今まで通り部屋と別にあるが寝室の横に化粧室やら洗面所、お風呂まである。
それらは全て窓側にあり、寝室は私の部屋とシャナリーゼ達の部屋とに囲まれている。
それにシャナリーゼ達の部屋と私の部屋とのドアが作られている。
「もしもの時のためを考えるとこの方がお守りしやすいのです」
とシャナリーゼに言われた。
私は話をそらすために話題を違う箇所に変える。
「わかりました。ではもう1てん。きゃくしつを2かいからなくして、けっかいのいりぐちのちかくにきゃくじんようのべっそうをたてるのはいかがですか?そうしたらこのやしきにしんようできないものをいれなくてもよくなりますし」
と言うと全員が賛成してくれた。
他にも意見が色々出たので、話がまとまらず、明日も話し合うことにした。
翌日は午前中は昨日出来なかった分、多めに特訓のメニューをこなした。
昼食後はシャナリーゼに取り決めの6日間の研究禁止を言い渡されたので、レフィーリアとシラーとティナと4人で海に遊びに来ていた。
このメンバーで海に来たのはシラーとティナとの契約前だった。
まだ1週間ちょっとしか経っていないのに、懐かしく感じる。
4人で浜辺で遊びつくし、16時には疲れて疲れて歩けなくなってしまった。
シラーに抱き上げられて結界に戻る途中で、近くで何かが争う音がした。
結界の近くだったため、レフィーリアとティナが様子を見に行く。
私は屋敷にいるメンバーに伝話で緊急事態を伝えるとライゼンとジオルドがこちらに来てくれることになった。
シラーと隠れていると、すぐにティナが帰ってくる。
「大丈夫ですよ。ドラゴンと魔物が争っていたのですが、魔物は蹴散らしました。ドラゴンはレフィーリアの知り合いのようで、ライゼンとジオルドも一緒に話をしています。」
と言った。
私達も4人のもとに行こうとしたとき、動物の鳴き声が聞こえた。
そちらを見に行くと、大怪我をして倒れている狼が4匹いた。
3匹は子供で軽傷だったが、母狼は重傷だった。
私はシラーに下ろしてもらい、狼達のもとに向かう。
母狼は最初私を警戒していたが気にせず、光魔法で治療する。
すると楽になっていくのか、最初は抵抗していたがちょっとずつ大人しくなっていく。
その途中で連絡を受けたレフィーリア達が見知らぬ人と共に合流した。
その人はなにかに驚いているようだった。
気にせず治療を続けて、母狼の怪我を全て治療し、子供達の怪我もついでに治す。
子供達の治療中ずっと母狼は心配そうに私にすり寄りながら見守っていた。
治療が終わり
「もうだいじょうぶですよ」
母狼にそう言うと、頬を舐められる。
子供達も母狼の様子を見て、私に警戒を解いたようですり寄って来た。
私はくすぐったいけど、嬉しくて4匹を撫でていた。
しばらくして
「ルミエール様、そろそろ帰りますよ」
とジオルドに声をかけられる。
名残惜しいが4匹に別れを言って立とうとすると、力を使いすぎて立てなかった。
いつまで経っても立たない私に
「どうしました?」
とジオルドが問う。
確実に怒られるが、仕方がない。
覚悟を決め
「もうしわけありません。たてないのです」
と言うと、ジオルドが何か言う前にライゼンが近寄ってきた。
しかし大きいライゼンに4匹の狼が警戒をし、唸り始める。
ライゼンは気にせず私を抱き上げようとしたが4匹に阻まれる。
私は4匹を撫でて、大丈夫だと落ち着かせる。
ゆっくり警戒を解いていき、子狼が1匹ライゼンに近寄った。
大丈夫だと判断したようで、漸く警戒を解き、ライゼンが私を抱き上げても唸らなかった。
ライゼンに抱き上げられて計7人で結界に戻ろうとすると4匹も私達についてくる。
そのうち離れるだろうと思っていたが、結界までついてきた。
私はあの子達を飼いたいなと思ってジオルドを見ると
「1番説得しなければいけない人がいるでしょう?」
と先手を打たれてしまう。
シャナリーゼ。
私が何かをするとき、必ず彼女の許可を貰う。
許可された場合はサポートしてくれるが、却下された場合絶対に許可をくれない。
母上様よりもお母さんっぽい人だ。
最大の難関を思いだし、固まった私にライゼンが笑う。
まわりを見ると皆笑っていた。
ちょっとムッとしながら、結界に入ってすぐのところに留守番組が待っていた。
連絡があっても心配そうにしていたため、大声でただいまと言った。
声を聞いて安心したのか皆微笑んでお帰りと言ってくれた。
事情を話し、まず私が歩けなくなるまで遊び、魔力を使ったということに怒られた。
次にやったら2日間の外出禁止にするという新しい取り決めまで作られた。
だが必死のお願いが効いたのか4匹を結界内で飼っても良いと許可を貰う。
嬉しくて、ライゼンとティナに迎えに行ってもらった。
4匹は頭がよく、結界に戻ってくる間にジオルド、レフィーリア、シラー、ティナにも警戒を解いていた。
ティナはかわいい物好きなのか、子狼を撫でたりしていた。
始めてみるメンバーにもすぐに警戒を解き、なついている。
4匹の名前を考えなければ!
「あの~、そろそろいいかしら?」
と声をかけられる。
客人がいたことを忘れてた。




