31話
朝食を全員で食べた後、レフィーリア、ルイ、ソウマは街に行った。
ジオルド、ライゼン、シラーはカインとウォルドを連れて森に行った。
手合わせをするのだとか。
タマキとティナは裁縫室に、シャナリーゼは畑の作業をしている。
私は昨日思い付いたものを作るために魔法研究室にいた。
〈記憶保存機〉と〈映写機〉を作ろうと思う。
記憶保存機のイメージは念写だ。
念じたら紙にイメージを写すことができるというのを、映像や声をDVDみたいなのに保存する。
そしたら私が大人になっても家族の声や言葉を忘れないでいられる。
映写機は保存した記憶を観る為のものだ。
プロジェクターにDVDプレイヤーが搭載されているようなものを作ろうと思う。
記憶保存機と映写機はリビングと私の部屋の2つ分作る予定だ。
まずは記憶保存機。
まず、保存するDVDみたいなものを作る。
これまでのこと、これからのことを保存するには保管しやすいように薄くて小さいものがいいと思ったからだ。
形などはイメージで出来上がっているので、色々な魔法を駆使して、いくつかの種類を試作品として1枚ずつ作る。
原材料は森の鉱石だ。
実はこの近くに洞窟があるらしい。
ソウマとカガリは結界を出て、戻ってくるまでその洞窟で過ごしていたらしい。
しかもそこは鉱山で鉱石が何種類か採れる。
原材料はなるべく無料で作りたかったので、とても嬉しい。
採れた水晶、ダイヤ、白榴石、ブルーサイト、オパール、フローライト、クウォーツなどを組み合わせたり1種類だけで作ったDVDもどき〈メモリ〉を作り終わったとき、レフィーリアから映像が伝わってくる。
そうそう、私と契約している皆と伝えたりすることを〈伝話〉ということにした。
その方がジオルド達にも説明しやすいし。
とにかくレフィーリアからお店にあるピアノ椅子のイメージが伝話される。
私のピアノは白のグランドピアノだ。
ルーベンス国の王族は楽器も一通り嗜む。
男性は黒色、女性は白色の楽器を一通り贈られるのだ。
地球と違って装飾は魔法を使うらしく、音色が変わることはないのでピンクのヴァイオリンとかもあるらしい。
私は白いグランドピアノに合う、白くてピアノが弾きやすそうな椅子を選んだ。
ついでにルイに楽譜も買ってきて貰うように伝言をお願いする。
ルイなら私が弾いていない曲や知らない曲の楽譜を買ってきてくれるからだ。
快諾してくれたレフィーリアにお礼をいい、買い物を楽しむように言って伝話を切る。
それからは記憶保存機本体の作成を行う。
まずはメモリを嵌める部分を作る。
本体のイメージは眼科の検査する機械だ。
額を当てて、風が送られてきたりどこで焦点が合うのかを確認したりする2つの機械をイメージした。
ただ、目の部分は関係なく機械に額を当てることが重要なのだが。
額を当てて思い出すだけで、メモリに記憶が保存されるように魔法を複合させて作っていく。
「ルミエール様」
夢中になって作っていると、シャナリーゼの声がした。
ドアを見るとシャナリーゼが少々怒って立っている。
「集中されるのは宜しいことですが、度が過ぎてはいけません。今度からは時間も気にしながら作業されてくださいませ」
と言われ、時計を見ると12時30分を過ぎている。
誤り、作業を中断する。
「では昼食にしましょう。皆待っていますよ」
と言われ、慌ててしまう。
皆まだ食べてないの!?
急いでダイニングルームへ行き、買い物に行っている3人以外が全員揃って待っていた。
皆に誤り席につく。
気にするなと全員が言ってくれて、皆が優しすぎて待たせてしまった罪悪感を一層強く感じる。
美味しい昼食後、私は挨拶後すぐに研究室に戻って作業を再開させた。
集中して魔法を使い記憶保存機が出来た時、ようやく部屋にシャナリーゼとウォルドがいることに気づいた。
2人には確執?は無いようで、普通に仲良く話をしていた。
休憩がてら話を聞く。
昔のシャナリーゼのこと、カインのこと、ウォルドのこと、ジオルドとウォルドの出会い、喧嘩話、失敗した時のことなどを教えてもらった。
1番面白かったのはカインの失敗した時の話だ。
それを聞いてふと思った。
その記憶を保存して皆で見たらちょっとはいいおしおきになるのではないかと。
即2人に今作っていたものについて説明する。
話を聞くに連れて私の思い付いたことを理解した2人は悪い顔をして即了承した。
まだどの鉱石で作ったものが1番きれいに記憶が保存でき、映せるのかわからないため、メモリ全てに記憶を保存して貰う。
その為急遽記憶保存機を作成する。
2台目は作り方がわかっているのですぐに出来た。
2人にメモリに記憶を保存してもらっている間に、映写機を作る。
イメージは出来ているので形はすぐに構築出来た。
あとは魔法を複合させて完成させた。
それからは何枚もある試作メモリのどれがいいのかすべて再生し、3人で吟味する。
20枚近くある内、映像が観れたのは5枚だけだった。
そしてその内音声もついていたのは3枚。
1番きれいだったのは水晶とクウォーツの混合メモリだった。
このメモリをとりあえず600枚(1人50枚分)作成した。
後で配ろうと思う。
映写機ももう1台作成し、記憶保存機と1台ずつ私の部屋とリビングに運ぶ。
部屋に戻った後、早速家族との思い出を保存していった。
最初に私の4歳の生誕祭の日。
家族全員が揃っていた日で、1番楽しかった日の1つだ。
試しに再生したとき、久々に父上様、母上様、大兄上様、ロー姉上様、姉上様、小兄上様の声を聞き、涙が自然と溢れた。
やっぱり頭の中で思い返すのと、直接耳で聞くのと全然違うなと実感した。
他にも大兄上とロー姉上様と一緒に寝た日の事、家族それぞれとの思い出、母上様と父上様と一緒に寝た日の事、父上様の生誕日のプレゼントを母上様と姉上様と選んだ事、大兄上様と遠駆けした事、最後の日の事など今日は12枚のメモリに記憶を保存した。
一段落ついたとき街から帰ってきたレフィーリアが部屋に来た。
時計を確認すると、もう18時半だった。
「おかえりなさい」
と言うと、嬉しそうに
「ただいま」
と言った。
買ってきてもらったピアノ椅子と楽譜を持ってきてくれたようだ。
そのまま運んでもらい、一緒にダイニングルームへ行く。
ルイとソウマにも
「おかえりなさい」
と言うと2人とも微笑んで挨拶を返してくれた。
屋敷では皆自由に過ごすが、食事だけは全員一緒に食べることにしている。
なので食事中は今日の出来事の報告会みたいにもなっている。
私の今日の成果はリビングにあるため、食後全員でリビングに集合して貰うように言う。
全員快諾してくれる中、シャナリーゼとウォルドは悪い顔をして何かを企んでいた。
リビングに集合して、記憶保存機とメモリ、映写機の説明をし、説明がてらシャナリーゼとウォルドに作ってもらった「カインの大恥」と書かれているメモリを映写機にセットする。
メモリには記憶保存した後に題名を入れるように設定している為、映像が映る前に映画が始まるときみたいに題名が表示される。
題名を見た後、訝しげに映像を見ていたカインは映像が進むに連れて顔を蒼くさせていく。
そしてある瞬間で映写機を止めようと椅子から立とうとしたが、いつの間にか後ろにいたウォルドに押さえられ、シャナリーゼに口を手で塞がれて映写機を止めれない。
必死になって暴れているが2人にはかなわない。
それからはカイン以外の全員で大笑いした。
カインのおねしょの話、留学中の失敗話、試合で負けたときの罰ゲームで女装した話など色々あった。
面白かったけど、自分がされたら最悪だ。
私はうなだれているカインのもとに行き
「カイン、もうしわけありません。こんかい2つをつくったのはちちうえさまやははうえさまたちをわすれないようにするためでした。こういうふうにつかうつもりはさいしょはありませんでした。でもシャナリーゼとウォルドのむかしばなしがとてもおもしろかったので、えいぞうでみたかったのです。もうしわけありません」
とカインの膝に手を置きながら言う。
カインは口を塞がれているため、涙目になりながら首を降った。
「貴女様のせいではありません。気にしないでくださいとカインは言っています」
とカインの口を塞いでいるウォルドが言う。
「本人もそう言っていますし、気になさらないでください。そうですわ、もうこんな時間ですし、お風呂に入りましょう」
と言ったシャナリーゼに抱き上げられて風呂場に向かう。
リビングを出るとき皆に手を振った。
シャナリーゼとお風呂に入った後は部屋に戻り、すぐに寝た。
後日聞いた話では私達がリビングを出た後、カインは皆にからかわれたそうだ。




