29話
カインとウォルドの姿に驚いている私達に挨拶した後、2人を縛ったままそれぞれ椅子に座らせ、椅子ごと縄で縛り自由を奪う、シャナリーゼ。
レフィーリアはそんなシャナリーゼを呆れた様に見ている。
「私から降りた後、シャナリーゼが2人を縛って目隠しをしたんですよ。少しでも場所が悟られないように。やり過ぎな気もしますけどね」
とレフィーリアが言う。
「これくらい普通ですわ。もっと時間があれば、色々準備しましたのに」
と言いながらシャナリーゼは2人の目隠しをとる。
私は2人の近くに行き縄をほどこうとしたが、抱き上げられて阻止された。
座っているライゼンに私を渡して話さないように言い含めている。
溜め息をつき、2人に話しかける。
「ここまでおいでいただきありがとうございます。わたしがレイラ・ルシルフルです。いまはルミエールとなのっています。なぜわたしをしっているのですか?あったことはありましたか?」
「ご無事で何よりです、レイラ様。私はカイン。シャナリーゼとジオルドがレイラ様の側仕えに選ばれる前に、1度だけお目にかかったことがございます。貴女様は3歳になってすぐのお忙しい時期に一瞬だけでしたから覚えていらっしゃらないのも無理はありません。それにルーベンス国の民は貴女方王族の皆様を崇拝しておりました。絵姿は各家庭に1枚は必ずありましたので、お姿を拝見しただけで、どなたかわかります」
と言うカインの言葉にウォルドだけではなく、ジオルド、シャナリーゼ、ルイも頷いた。
今までが幸運だったのかもしれない。
ジオルド達は当たり前すぎて気づかなかったのだろうが、私は正体がばれたら大変なのだ。
特に私は2色の眼を持っているのでとても目立つ。
今後の外出は控えようかと後でみんなに相談することにする。
「そうでしたか。ではなぜあのまちに?わたしをとらえてバーレンシアていこくにつれていくため、さがしていたのですか?」
「貴女様を探してはいましたが、捕らえる為ではありません!」
「俺達はそれぞれの叔父に謀られ、国の判断が下される前に国外追放になりました。叔父達は恨みますが、貴女方王族の皆様を恨んだりはしていません。俺達2人の夢はレイラ様の護衛騎士になることでした」
「夢を捨てきれず、私達は無罪だという証拠を揃えバーレンシア帝国からルーベンス国に戻っている途中、商人達からバーレンシア帝国がルーベンス国を侵攻したと聞き、急いで国に戻りました。すると既に西の城門は敵に落ち滅亡寸前でした。私達はなんとか民の避難所に迎い、そこで王妃様、ジュリア様、レイラ様のお姿を拝見しました」
「ご無事のお姿を拝見でき、安心しました。しかしジュリア様が大泣きしながら王妃様とレイラ様から離れていくのを見て、王妃様がジュリア様とレイラ様を逃がすのだと悟り、貴女様と側仕え3人に気づかれないように追いかけましたが、3人に撒かれまして、とりあえず通っただろう街で滞在しながら探していて、見つけたということです」
カインとウォルドが交互に説明してくれた。
「避難所からずっと誰かがついてきているとルイの魔法で分かっていたので、追っ手だと思い撒きました」
とあっさり知らなかったことを言うジオルド。
その言葉に頷くシャナリーゼとルイ。
私は何も言えなくなっていると
「事情は分かったが、ルミ姫を見つけてどうするつもりだったんだ?」
とライゼンが聞きたいことを聞いてくれた。
「決まっている。俺達も一緒に同行させて頂きたいとお願いするつもりだった!」
とウォルドが言う。
「私達はレイラ様の護衛騎士になることが夢だったと言っただろう?国が滅んで護衛騎士という肩書きがなくても、側でお仕え出来れば幸せなんですよ」
とカインも言う。
「わたしはあなたがたにそんなにうやまわれるようなことをしたおぼえはありませんが」
と疑問を言うと
「覚えていらっしゃらないのも無理はありません。ですがあの時のことがあったから私達は護衛騎士を、シャナリーゼは女官を、ジオルドは執事を目指すことにしたのです」
「俺達もシャナリーゼとジオルドに負けないぐらい貴女様にお仕えしたい、側にいたいと思っています」
とカインとウォルドが言う。
「信用できませんわ」
今まで黙って聞いていたシャナリーゼが言う。
「確かにあの時の出来事は一生忘れられませんし、レイラ様にお仕えするのだと奮起しました。あの場にいたジオルドもあの時が切っ掛けでレイラ様にお仕えすることを決めたと聞いていますし、貴方達もそうだと言うのであれば否定することはできません。ですが国が滅んでからまだ日が浅いのです。常に警戒していなければいけませんの。貴方達が信頼できる証拠は?無実を証明する為の証拠とやらは何処にあるのです?バーレンシア帝国と無関係だという証拠がなければ、信用どころかレイラ様のお側に居させるのも嫌ですわ!」
と言って、シャナリーゼはリビングを出る。
あんなに感情的に言い捨てるシャナリーゼを初めて見た。
「カイン、お前シャナリーゼに何したんだ?」
ウォルドも驚いたのだろう、婚約者だったカインに問う。
「あー?んー、えー」
カインが唸って首を傾げて、言いにくそうにしている。
「お前のせいでレイラ様にお仕え出来なくなったら、恨むぞ。さっさと原因を吐け」
ウォルドがイラつきながらそう言う。
「実はだな、国外追放になる直前にシャナリーゼがパートナーで参加したパーティーで、あいつと離れた隙をつかれて媚薬を盛られて、あいつの目の前で別の女とヤったって出来事があってだな」
言った瞬間、女性全員からの軽蔑の眼、男性全員からはあーあっていう眼を向けられるカイン。
慌てて
「いや、私だって被害者だろう!?媚薬盛られたんだから!!」
「そうだが、お前あんなにシャナリーゼにべた惚れで、何年も口説き続けて、あいつ以外とは結婚しないとか言って、やっと婚約出来て、留学から戻ったら結婚するって言ってたのに…」
「あんなにシャナリーゼだけだと言っていたくせに、あっさり浮気なんて、サイテーですね。信用されなくて当然です」
「崩れた信用は完全に元には戻りませんよ。ドンマイですね」
ウォルドの後にルイとジオルドもそう言い、追い討ちをかける。
完全に項垂れたカインに誰も声をかけられず、しばらくたった。
「とりあえず、なわをほどいてあげてください」
2人の近くにいたジオルドとソウマに言うと、2人の縄はすぐにほどかれた。
「まずはシャナリーゼにしんようしてもらえるようにがんばってください。わたしはシャナリーゼにつらいおもいをさせるのならあなたたちをここにおくつもりはありません。とりあえずティナ、きゃくしつにあんないをしてあげてください」
そう言うとティナが先導して2人は出ていった。
「ふたりのおはなし、どうおもいますか?」
「自業自得だと思いま」
「シャナリーゼとのことではなくて、わたしにつかえたいということです」
ジオルドの言葉を遮ってそう言う。
「ああ、忘れてました。私は様子を見るべきかと」
「私も様子をみたいです」
ルイはジオルドにそう言う。
「俺は様子を見るだけじゃなくて色々試したい」
「私はライゼンの意見に賛成です」
「僕も」
「私も」
ライゼンの意見に、タマキ、ソウマ、シラーが賛成する。
「ではなにをしてためしますか?なんにちここにたいざいしてもらいますか?」
「とりあえずカインがシャナリーゼにきちんと謝罪してからですね」
「ですね」
タマキにルイが同意する。
「期間は1週間でいいんじゃないか?」
「では1しゅうかんふたりをそれぞれのほうほうでためしていってくださいね」
と言うとみんなイタズラを思いついたような企む顔をした。




