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月の光  作者: 麗音
1章
16/45

16話

私は同じ居場所がないもの同士、一緒に生活してもいいなと話を聞きながら思っていた。

レフィーリアにもそう伝えたのだが、

《私はライゼンとタマキの夫婦はいいと思うけど、ソウマとカガリの夫婦は反対です。ソウマだけならいいですけど。カガリは私達の誰にも気を許していないです。ライゼンやタマキにも。ソウマ以外はいらない、どうでもいいという態度が嫌です》

と言った。

今ルイに4人の昼食を用意してもらっている。

待っている4人はジオルドが建てた日よけテントの下で私が用意していたブルーシートがわりの絨毯の上に座っている。

ライゼンとタマキは自分達の分だからとルイを手伝っている。

ソウマも手伝おうとしているが、カガリが引っ付いているため立てない。

苦笑してカガリを説得しているが、あれは頑固そうだ。

ジオルドとシャナリーゼを見ると2人ともレフィーリアと同じ意見のようだ。

私はため息をつき、

《ではじょうけんをだすのはどうですか?たとえばわたしとけいやくするとか、まほうテントにはいれないとか、あまっているけっかいせきをあげるとか、ソウマとカガリのふたりをいまのままけっかいからだすのは、みすてるようでいやです》

とレフィーリアに伝え、レフィーリアからジオルドとシャナリーゼに伝えるようにし、私もルイの手伝いに向かう。


「ルイ、わたしもてつだいます。なにかできることはありますか?」

今日の夜、5人でキャンプ気分を味わおうと思い、テントの外にセッティングしてあるキャンプ用の道具でサンドイッチや魚の塩焼きなどを作っているルイに声をかける。

「ありがとうございます、ルミエール様。ではライゼンとタマキと3人でテントから大皿2枚と小皿4枚、お手拭きタオル4枚、コップ4つをお持ちいただけますか?」

ルイがイタズラするような顔でわたしに言う。

ジオルド達がぎょっとした様にこっちを見ているが、それはルイに任せ、ライゼンとタマキと3人でテントに向かう。

テントを私、タマキ、ライゼンの順に入る。

入った後、2人は口を開けて固まっていた。

その後ろからシャナリーゼが入ってきたのでシャナリーゼに説明をお願いし、私はキッチンで頼まれたものを用意していく。

用意し終わったとき、3人がキッチンに来て用意したものを運んでくれた。

私もコップ2つを運んだ。

ライゼンとタマキはテントのことはソウマとカガリには内緒にしてくれると約束してくれたらしい。

私はそこまでしなくてもと思っていたのだが、顔に出ていたらしくシャナリーゼから説明される。

「ルミエール様、残念ながら世界には良い者だけではなく悪い者もおります。信用していない段階でこのテントについて教えると、テントが奪われるかもしれません。今の生活が出来なくなるのです。この森では危険すぎます。それに、あの2人からもカガリには注意をしろと言われました。私達は貴女が危険な目に遇わないよう、今後も警戒をやめるつもりはありません」

シャナリーゼは真剣な表情でそう言った。

今の私にはジオルド、シャナリーゼ、ルイ、レフィーリアの4人が何より大事だ。

私も4人をなるべく危険な目に遇わせたくない。

回避できるものがあるなら回避したい。

私も父上様達みたいに守りたいもののために覚悟しなくては。

「もうしわけありませんでした。わたしもあなたたちがなによりたいせつです。わたしもみなのようにまもりたいものをまもるためにかくごをきめます。いえができるまではしんようできるものにしかテントについてはおしえません。」

と決意して言った。


シャナリーゼは満足そうに微笑んで、2人を追ってテントを出る。

私もテントを出ると、ライゼンが私を待っていた。

ライゼンは私を抱き上げ片腕にのせて、ソウマとカガリに聞こえないように小さい声で話しかけてきた。

「すごいな嬢ちゃん。あんなテントが作れるなんて。1000年以上生きててこんなに驚いたのは初めてだ」

と心底楽しそうに言う。

「それと助けてくれてありがとう。嬢ちゃんが許可してくれなかったらジオルドとレフィーリアは加勢に来なかったし、この森でこんなに安全に過ごせるとは思ってなかった。タマキのあんな穏やかな表情を久々に見れた。本当にありがとう」

と最初は私を見て、途中でルイを手伝いながら談笑しているタマキを見て、最後に私を見てそう言う。

言葉を紡いでいるライゼンも穏やかな表情をしている。

私も嬉しくなって、

「ライゼンもおだやかなかおをしていますよ。それに、こちらこそありがとうございます。わたしもルイのあんなたのしそうなひょうじょう、ひさびさにみました。さいきんはわたしをあんしんさせるようなえがおばかりだったので、しんぱいしていたのです。それとたすけるのはとうぜんのことですし、わたしがそうしたかったからです。おれいをいうひつようはありませんよ」

と言う。

我ながら生意気だと思うが、ライゼンは爆笑しているのでいいのだろう。

が、ライゼンが私を抱き上げているため、とても揺れている。

怖くて首にしがみついていると、近くに来ていたタマキがライゼンから私を奪う。

私は安心してタマキにだきつく。

「怖かったでしょう?ごめんなさいね。ライゼン、いけませんよ」

タマキがライゼンを注意する。

「わりぃ、面白すぎて堪えられなかった」

と笑いながら言う。

「もう。ルミエール様、貴女がそう仰られていてもお礼を言わずにはいられません。助けていただいてありがとうございました」

タマキは私とライゼンの話を聞いていたようで、そう微笑んで言った。

いつの間にか笑いが止まったようでライゼンも微笑んで私の頭をなでてくれる。


2人の雰囲気が父上様と母上様を思い出し、泣きそうになったとき、雰囲気を壊す怒声が聞こえた。

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