#7 夜中に
『・・・』
時計の音だけが響く夜中の祐菜の部屋。
なんとなく、祐菜は眠れなかった。
(・・・水でも飲んでこよう)
ぼーっとしながら起き上がり、部屋を出て真っ暗な廊下を手探りで歩いて何とか階段を下りる。
『・・・?』
階段を下りるに連れて、だんだんと明るくなってきた。
1階は明るかった。電気がついていたのだ。
『・・・誰かいるの?』
恐る恐る、祐菜は呟く。
「・・・こんな夜中に、何か用?」
湊だった。湊はコーヒーを淹れているところだった。
『あ・・・なんとなく眠れなくて』
「・・・・・・飲む?」
そう呟いて湊はチラリとコーヒーを見た。
だが、祐菜は手をぶんぶんと振って断った。
『あっもう歯磨いちゃったし、夜に飲んだら眠れなくなっちゃうらしいし・・・』
コーヒーを淹れ終えた湊はしばらく黙ってコーヒーを口にした。
祐菜は自分のコップを出して水を入れ、湊の隣でちまちまと飲み始めた。
「・・・あんた、知りたがってるんだってね。俺がここに来た理由」
『えっ?!・・・ば、ばれてたの?』
「・・・」
本当に無口な人だ。祐菜の問いには答えなかった。
『えと・・・なんか、ごめん』
「・・・・・・教えてあげようか。俺がここに来た理由」
湊は、じっとコーヒーを見つめて呟いた。
『・・・え?』