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#26 カラフル
体育大会代休の朝。
ご飯を食べ終えた祐菜は外で洗濯物を干していた。
今日は洗濯の係なのだ。
『・・・これでよしっと』
とりあえず一仕事終え、寮に戻ろうと振り返る。
『・・・あ』
振り返った先に、湊が居た。
『体育大会で人気者の湊君だ!』
「・・・やめて、それ」
『えへへ。これでしばらく寂しくないね!』
「・・・別に、祐菜が居れば寂しくない」
『えぇ?!』
顔が一気に赤くなったのが自分でもわかる。
手でパタパタと顔を仰いだ。
『え・・・えっと、その・・・』
突然、湊は、パタパタしていた祐菜の手を掴み、引き寄せた。
そのまま、2人の唇は重なる。
『―――?!』
「・・・でも、まあ・・・ありがとう」
『ど、どういたしまして?』
「・・・なんか、ちょっとだけ変われた気がする」
『へ?』
「・・・なんでもない」
湊は、空を見上げた。
雲ひとつない、真っ青な空。
ずっと殻に閉じこもっていた。
光を求めていた。
そんな頃には気付きもしなかった。
独りじゃない。
世界はこんなにも、カラフルだった―・・・