表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カラフル  作者:
24/26

#24 失敗

『あのっ・・・ごめんなさいっ』

リレーの後、昼食へ行こうとする皆に祐菜は頭を下げた。

立ち止まったクラスの皆は、少し引きつったような笑顔になった。

リレーで負けてしまい、合計得点まで抜かれているのだ。

「あ・・・大丈夫!団選抜リレーで勝ってやるから!」

「そうそう!杉浦湊君、足速いらしいじゃん!」

クラスの皆は「気にすることないよ!」と言って再び歩き出した。

『・・・湊君、来るよね?』

皆の背中を眺めつつ、そんなことをポツリと呟いた。


「篠原!篠原祐菜!」

午後になり、皆が盛り上がっている中、体育大会実行委員の男子が慌てた様子で祐菜の名を呼んでいた。

『な、何?』

「ねえ、湊は?!」

一瞬、どきりとする。

おそらくそろそろ団選抜リレーの選手の集合時間だろう。

だが、湊の姿は無かった。

『えっと・・・い、今来るんじゃない?・・・かな?』

「来ねぇじゃん!」

その声に、クラスの皆が不思議そうな顔で集まって来た。

「あーもう!どーすんだよ!だれか代わりに団選抜出れる奴居ねぇの?!」

実行委員の男子はイライラした様子でクラスの皆を見回す。

今、どういう状況なのか察したらしき皆はざわつき始めた。

「・・・何?湊君来ないの?」

「えー?!俺あんな重要な役割ヤダからね!」

「結局私達のせいで負けるの?!先輩に合わせる顔ないよ!」

「何で来ないの?!最低ー!」

祐菜は、体操服を握り締め、すこし息を吸った。

『・・・来るもん!湊君、来るもん!!』

クラスの人の数人がため息をつく。

「・・・来るわけないじゃん」

「ていうか、篠原さんが転ばなければねぇ・・・」

皆は一気に呆れたような顔になってしまった。

『そんなっ・・・でも、来るもん!湊君は絶対来るんだもん!』

そう言った瞬間、涙が出そうになった。

何で転んだんだろうか。

どうしてもっと必死に湊君に頼まなかったのだろうか。

「・・・なんであんた達は信じようとしないわけ?」

聞き覚えのある、そんな声が不意に聞こえた。

それと当時に、祐菜の顔には後ろからタオルが押し付けられる。

『・・・?!』

聞き間違えるはずの無いこの声。

今聞こえたのは、確かに湊の声だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ