#23 当日
数日後の朝、リビングにやってきた湊の元へ駆け寄る。
『湊君おはよう!体育大会』
「出ない」
祐菜が全て言い終わる前に即答されてしまった。
『・・・楽しいよ!!』
「嫌」
「そこの2人、さっさとご飯食べてよ。特に篠原は遅いんだから」
葵にそう言われてしまい、仕方なく席に着いた。
『・・・ど、どうしよう』
結局湊には断られ続けて、あっという間に体育大会当日。
当然湊は来ていなかった。
現在は100m走の真っ最中。
祐菜のクラスは赤団。
わずかな差でなんとか白団に勝っている。
「祐菜ー!次全員リレーだよー!」
すこし遠くで華蓮がそう叫んでいたので、スタート位置に向かった。
「篠原さん!はいっ!」
現在、ほんとうに少しの差で祐菜の元へバトンが回ってきた。
負けるわけにはいかない。
バトンを受け取り、全力で走る。
あまり運動が得意な方ではないのだが、どうやら相手も同じらしく、祐菜と大して変わらない速さで走っていた。
「あっ・・・」
相手が小さな声でそう呟く。
石に躓いてバランスを崩したのだ。
転びそうになるのを何とか堪えている。
『ひゃあ!!』
だが祐菜は、そのバランスを崩した足に引っかかり、見事に転んでしまった。
相手の走者は一瞬立ち止まるが、すぐにまた走り去る。
「・・・あんたが勝手に転んだんだからねっ!」
そんなことを言った相手の背中を眺めている暇はない。
すぐに立ち上がり、また走りだすが足が痛む。
思うような力が出せずに、祐菜の走る番が終わっても逆転出来ずに結局リレーは白団が勝ってしまった。