#21 久しぶりの空間
ゴールデンウィーク最終日の夜。
外は小雨が降っていたが、祐菜たちの寮は久しぶりににぎやかだった。
柚希、葵、輝、桃香の4人も家から戻ってきて、6人での夕ご飯なのだ。
ちなみに、祐菜と湊の両想いを祝うのも兼ねているらしい。
「にしても、湊もわっかりやすいよねー」
突然、輝がカラアゲをつまみながらそう呟く。
肘をついて、完全にあきれ返っている様子だった。
「輝、肘つかないの」
そう言って柚希は白米を口に運ぶ。
「ま、祐菜の前では結構喋るようになったし、私達には湊の気持ちはバレバレだったっていうか。祐菜の気持ちはもっとバレバレだったけど」
桃香は輝のおかずを横取りしようとしたが、結局また輝に取り返されていた。
『ば・・・ばればれ・・・』
呆然とする祐菜の横で、湊は黙々とご飯を食べている。
「篠原、俺の湊をいじめたら承知しないから。あと、桃香、ピーマン残すな」
葵がすかさず前に座っている桃香に無理矢理ピーマンを食べさせる。
桃香はものすごく抵抗していたが、結局食べさせられていた。
この兄妹もずいぶんと仲良しだ。
「・・・・・・別に葵のものになった覚えなんか一つもない」
ずっと黙っていた湊がポツリと呟く。
それを聞くと、葵はずいぶんと落ちこんでいた。
『あ・・・あの、あと・・・』
祐菜は、小さく右手を挙げる。
何か言いたいのだと気付いた皆が、一斉に祐菜のほうを向いた。
湊は相変わらず、黙々とご飯を食べ続けている。
『私と湊君のことは、秘密にしてほしいんです』
そういうと、皆はポカーンと口をあけた。
湊と両思いになった日、湊にそう言われたのだ。
『私が湊君と付き合ってるなんて知られたら、私にまで友達居なくなっちゃうよって、湊君が・・・』
その湊君は、ご飯を食べ終えて食器を片付け始めてしまっていた。
「ええー!!何でぇー!!言っちゃえばいいじゃなーい!!!」
柚希は不満そうにそう言った。
『・・・』