#15 無視?
"・・・優しいよ。湊君は、優しい"
「ユナちゃんっ!お帰りー♪」
祐菜が寮に帰るなりに、玄関で柚希が出迎えてくれた。
まだ制服のままだったので、柚希も帰ってきたばかりなのだろう。
『な・・・なんだかテンション高いですね』
「だってもうすぐゴールデンウィークだものっ」
『ゴールデンウィーク・・・』
「しばらく学校休みよー!!家でのんびり過ごせるのよー!!」
『勉強はいいんですか・・・』
柚希は、「いいのいいの!」といいながら伸びをして去っていった。
夕食になって、祐菜がリビングへ行くと、湊だけが居なかった。
テーブルにはすでに少しだけ、ご飯が並んでいる。
『あれ?湊君、呼んできますね』
「ああ、お願い」
葵が食器を準備しながら言った。
祐菜は階段を上り、湊の部屋の前で立ち止まる。
『・・・湊君ー?ご飯だよ?』
部屋の戸をノックするが、湊からの返事はなかった。
『・・・あの、ごはん・・・』
すると突然扉が開き、湊が出てきた。
少し、様子が変だ。
『・・・湊くん?』
目も合わさずに、祐菜を無視して階段を下りていく。
後ろを付いていくが、一度も目を合わせてくれない。
話しかけても、無視され続けた。
何かしてしまったのだろうか。
そう考えるが、心当たりは全く無い。
嫌われてしまったのだろうか?
意味がわからず、涙が出そうになるが、堪えた。
(どうして・・・?)