表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カラフル  作者:
12/26

#12 湊の居場所

柚希や葵達に、早くも祐菜の気持ちがばれてしまった。

その日の夜、祐菜は「話がある」と言われ、柚希の部屋に呼び出されていた。

「ユナちゃんっ!まずは湊君と2人きりになりなさいっ!」

柚希は楽しそうにそう言う。

柚希の部屋にいるのは、葵と柚希と祐菜。

『ふっ・・・2人きり?!』

「そうそう♪あ、明日一緒に帰ってみるとか?」

『ええええ?!』

柚希とそんな話をする中、葵は呆れた表情だった。

「まぁ、早く湊を楽にしてあげてよ」

『え・・・?』

祐菜が首を傾げる。

柚希が微笑んで話し始めた。

「湊はね、別に友達が欲しかったんじゃないの。・・・誰か、自分を愛してくれる人が一人でもいれば、それでいいのよ。そこが、湊の"居場所"。それだけでも安心出来る」

『・・・はあ』

祐菜は曖昧な返事をしながら、柚希の話の続きを聞きたくて、じっと柚希の方を見つめていた。

ところが、話を続けたのは葵だった。

「・・・それは、決して誰でもいいわけじゃない。今の湊はきっと、篠原・・・お前が愛してくれることを願っていると思うよ」

『・・・わっ・・・私ですか?!』

思わず大声を出してしまい、両手で口を塞いだ。

今はもう夜だ。もしかしたら桃香あたりは寝ているかもしれない。

『・・・なんで、そんな・・・』

改めて小声で喋ると、柚希が答えた。

「湊が過去を話すなんて驚いたわ。そんなに心を開いた相手は始めてよ。私だって過去は噂で聞いただけだったし」

『・・・そうなん・・・ですか』

「ユナちゃん、素直で明るくて優しくて・・・湊と正反対じゃない?惹かれるのもしかたないわ」

『そっ・・・そんなこと・・・』

「それに、ユナちゃんってなんだか似てるのよね。湊のお母さんに」

『湊君の・・・お母さん・・・・?』

「しかも、みんなは湊を怖がって近づこうともしないのに、ユナちゃんは・・・」

『あの・・・何で、柚ちゃんが湊君のお母さんを知ってるんですか?』

祐菜は柚希の言葉を遮って小さく手を挙げる。

すると柚希は、「あっ・・・」と、小さく呟いてからまた笑った。

「あ、ごめんね、言い忘れてたんだけど私・・・小学校の頃湊の家の隣に住んでたの」

『幼馴染・・・ってことですか?』

「湊は友達なんかつくろうとしなかったから、幼馴染ってほどでもないんだけど、お母さんとは何度か喋ったことはあったの」

『そう、だったんですか』

「・・・頑張ってね、ユナちゃん!」

「湊は自分の気持ちに気付いてるかが問題だけどね」

そう言って葵は部屋の戸をあけた。

『だっ・・・だめじゃ無いですかぁ』

「湊、恋愛なんて縁がなかったからね」

柚希は、葵の開けた戸の方へ向かって祐菜の背中を軽く押した。

「ほら、もう夜遅いから子供は帰った帰った」

葵のその一言で、祐菜は時計を見る。

いつもは、10時30分頃には寝てしまうのだが、今の時刻は11時だった。

『えぇ?!もうこんな時間?!ありがとうございましたっ!!!』

そういいながら祐菜はあわてて柚希の部屋を出て行った。

「・・・じゃ、柚希も早く寝なよ」

葵も部屋の戸に手をかける。

「・・・うん」

葵も去り、静かになった部屋で柚希は、楽しそうに少しだけ微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ