#11 いつもの朝?
『・・・おはよう』
いつも通りの朝。
いつも通りの時間に目覚めた。
だけど、祐菜の頭の中は、湊のことでいっぱいだった。
考えるだけで、胸の辺りがきゅうって、苦しくなる。
ぼーっとしながら、階段を下りる。
『・・・』
「・・・・・・おはよ」
突然、湊の声が聞こえた。
階段を下りた先に湊が立っている。
『え?!湊くっ・・・ひゃあ!!』
頭の中でずっと考えていた人物が、いきなり目の前に現れた。
驚いた祐菜は階段の最後の一段を踏み外してしまった。
転ぶ、そう思ったが、祐菜は転ばなかった。
「・・・・・・・・・気をつけなよ」
湊に、支えられたのだ。
祐菜は、湊の腕の中にすっぽりと収まっている。
『っ・・・?!』
顔が、熱い。心臓の音も、うるさい。
湊の腕の中は、微かに香水の香りがする。
少し、心地いい気もした。
『・・・・・・って、違うっ!!』
少しの間湊の腕の中で固まっていた祐菜が、突然叫んで離れたので、湊も少し驚いた様子だった。
『あ・・・ご、ごめんね!ありがとう!!湊君!!!』
真っ赤な顔で、祐菜はあわてて湊の元を離れてリビングのテーブルへ向かう。
そこには、にやにやした様子の柚希と、少し嬉しそうに微笑んでいる葵がいた。
「ユナちゃーん!!見てたわよー♪」
『なっ・・・何がですかっ・・・』
「応援しちゃうからねぇー♪」
『うっ・・・』
にこっと笑った柚希の表情は、素直に応援するというよりも少し楽しんでいる感じがした。




