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悪魔と契約する場合は契約内容をよくご確認の上……

作者: Mr.あいう

オチとあらすじを設定して、後は指が動くまま書き連ねた作品です。

少々文章が崩壊しているところは仕様ですので御了承ください。

そいつが俺のベッドの上に浮かんでいるのを見たときは、とうとう気が狂って俺の脳内から馬鹿な幻想があふれ出したのかと思った。

なにしろ最近は夢と現実の境界線があやふやになるほどに睡眠時間が長いし(最終的に夢の世界から戻れなくなる事を期待して)、親の金で向精神剤を買っているし(明らかに違法っぽい)、幻覚が唐突に現れても何の不思議もない。

大学を中退して五年。こんな非人間的な生活を送っていれば壊れて当然。

それどころか今まで狂わなかった俺の精神に拍手。


「……なぜ拍手をしているので?」そいつが俺の行動に当然疑問をさしはさむ。

よく見ると浮かぶそいつは『誤』丁寧にも面接に行くかのようなリクルートスーツ着用。

着るのを拒んだ俺へのあてつけとしか思えない、苛立ちを増進させる黒。

「…………なんでだろ?」そんな社会的に正しい格好の奴に疑問を挟まれ、急に自分という存在が居た堪れなくなって拍手を自粛。

唐突に、何ゆえこんな奴に俺のプライベートを侵害されねばならんのかという怒りが沸いた。

「てめぇ、殺すぞ」何となく沸いた殺意をそのまま言葉に乗せる。

親との会話も大抵これ一つで済む便利な言葉だ。

「ははは、手厳しいですね」余裕を持ってへらへらしている侵入者。

イライラしたので衝動買いした目覚まし時計(アニメ仕様)をそいつに投擲。

時計はその体をつき抜けていったかと思うと部屋の隅に積まれた漫画の山を崩す。

「危ない危ない、私が霊体じゃなかったら痛かったですよ」そう言って首をすくめる様子さえ不愉快。

二個目の目覚ましを構えた所でそいつが慌てて制止した。

「ちょっと待ってくださいよ。私はあなたの味方です」「それは見方による」思いついたのでうまい事言って見たが、なんか急に空しくなって体の力を抜く。重力に従い目覚まし時計が床に落ちる。ひびの入る音がする。体がベッドに倒れこみ、偉大なスプリングの力に一瞬無重力を味わう。

「……で、なに、俺の味方って事は何でも叶えてくれちゃうわけ」適当に返答。


「はい、そのつもりで来ました」意外な反応に思わず体が反応し、むくりと起き上がる。

「なにしろ私、悪魔ですから」そんな言葉を平気で放つ黒スーツ。自分の正気を疑ってみるがそんなもの最初からなかった事に気づいた。なので相手が悪魔と言う設定で適当に返答。


俺「おお、俺の魂とか欲しちゃうわけだ」

自称悪魔「そうですね。ぜひ欲しいですね」

意地悪な俺「あげるか、馬鹿が」

めげない悪魔「そこを何とか」

サディストな俺「じゃあ土下座したら考えてやる」

従順な悪魔「こうですか?こうですか?」

悪魔な俺「考えた結果。やっぱ断る」

打たれ強い幻想「お願いします。土下座以上の事をするので!」


「いい加減にしろよ幻覚。死ね」悪魔との会話に飽きて再び拒絶。

魂を売り渡すと大概ひどい事になるのは漫画やアニメで予習済みなので、睡眠に逃げて悪魔の消滅を画策。

「…………わかりました!ここはサービスさせていただきましょう!」明るい叫びが頭に響く。

「黙れ」まっとうな理由で睡眠を要求。しかし無視。

「確かに自分の魂、死後に運用されるのはお嫌でしょう。なので、あなたの生きている時間を少々拝借させてくだされば、それで一つ願いを叶えて差し上げましょう」

「少々って、どれくらいだ?」馬鹿馬鹿しいと思いながらも興味を押さえきれずに質問。

帰ってきた答えはそこそこに良心的な値段だった。


「三時間。それで手を打ちましょう。あなたが生きるはずだった三時間を私に与えてくださればそれでいいのです」にっこり笑顔。さながらしつこいセールスマン。

しかし、そうは言っても三時間。一日のたった八分の一。

俺の毎日の密度の薄さを考えると三時間など一瞬に過ぎない。

自分の幻想に付き合ってみるのも面白い気がしてきた。

本物だったら儲け物。

偽者だとしても暇をつぶせる。


「わかったよ。じゃ、三時間やるから…………そうだな。俺の口座に三兆円振り込め」

「金額が子供ですね…………承知しました。契約内容を再度確認しますか?」

キラキラ笑顔、さながらエリート営業マン。

その完璧な笑顔に劣等感。急にうっとうしく感じた。

「死ね。と言うか早くしろ」

「わかりましたそれでは…………」唐突に、今まで見せた事のないような笑顔。

初めて見せた本当の笑顔は、この世の物とは思えないほど不気味で、

ようやく俺は、目の前の存在が自分の幻想じゃないことを実感した。

取り返しのつかない事をしてしまったと、痛感した。

待ったと叫ぶ前に、そいつは一言残して消えていった。


「契約、完了で御座います」





…………ベッドの上で目が覚めた。

どうやら酷く可哀相な類の夢を見ていたらしい。

「…………悪魔って、俺は馬鹿か」よく寝ていくらか気だるさが解消された体を起こす。

たちあがろうとした瞬間、足の裏に何か鋭い物を踏んだ感触。

視線を落とすと、ガラス片を飛び散らせて壊れている目覚まし時計。


「………………………!!」

急いでスタンバイ状態のパソコンを起動。パスワード入力。

俺名義の口座の残高を確認。非現実的な0の数。導き出される結論。

「…………………………ッハ、ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

おいおい、時給一兆円のバイトがあるなんてな。

初めて、息が続かなくなるまで爆笑した。

自然と口角がつりあがるのを止められない。

狂ったような勢いで、俺はいつものネット通販の画面を開いた。



「あーーーー、あ…………」


自然と欠伸が出て、クリックする手がしびれてきていた事に気づいた。

あれから際限なく金を使って、買える範囲にあったもの全てを、欲しい物もいらない物も、高価な物も安価なものも無尽蔵に買ったが、口座の金は一向に減る事はなかった。


「寝るか……」


誰にともなく呟いて、いつものベッドに身を任せる。

金を使ってやったという、出所不明な満足感を抱いて。




チャイムの音で目が覚めた。

親が出てくれるので完全に無視。というか二階にまでチャイムの音が届かない仕様にしてもらいたいと勝手に希望しながら二度寝を試みる。

なぜか、チャイムが鳴り止まない。

「くっそ!死ね馬鹿親が!」

どうやら俺がいると言うのに勝手に家を留守にしやがった様子。

一度俺の怖さを再確認してやらないとな……と決意しながら半年ぶりくらいに廊下に出た。

と、かすかな違和感。鼻につく異臭。

あの腐れ親共、生ゴミまでおいて行きやがったかと、怒り心頭で階段を下りる。

事実。

親は生ゴミを置いていった。

この世界に、死体という生ゴミをおいて逝ってやがった。


「ハハ………………」

首から溢れる血は黒く固まり、何処から沸いたか羽虫がその周りを飛び交っていた。

ドロリと歪んだ眼球がこっちを睨みつけていた。

二人とも、喉から包丁を生やして死んでいた。


「すみませーん。××さんご在宅ですよね?○○警察の者ですが、△△駅前の通り魔事件について、お子さんに事情聴取をお願いしたいんですが~」


鳴り止まないチャイムの合間に、そんな声が聞こえてきた。

「通り魔?ザケんな、そんなもん知るかよ」「あ、それ私ですね」

一人言のつもりが、宙に浮かぶ悪魔に聞かれていた。

「三時間でどれだけ殺せるか試したんですけどね~。あなた運動不足ですね。五人殺したとこでもうバテバテですよ。本当なら二桁はいきたかったんですけど、いまいちなスコアですね」

おいおいおいおい、ゲーセンのシューティングじゃねえんだから、何人殺したとかいうなよ。

いかにも俺の体でやったような事仄めかしてんじゃねえよ。

「え?そういったつもりだったんですけどねぇ。ていうか双方了承済みの契約ですよ」

「すいませ~ん、いないんですか~」

「うるせぇ公僕ども!俺じゃねえよ!こいつがやったんだよ!」

「あらあら、居留守使えば良かったのに、叫んじゃってまぁ……」 「いるんですね。開けてくれないなら開けちゃいますよ?」 「ほら、乗り込んできちゃう」「黙れよ悪魔!何が了承済みだ!俺はそんな事……「だから、あなたの体が生きるはずの三時間を、私が代わりに生きて、使っただけじゃないですか。殺しはいわば趣味ですよ、趣味」「すいませ~ん、開けちゃいますね~「うるせぇよ!黙ってくれよてめぇら何言ってるのかわかんねぇだろぉ!!!」「だ~か~ら~、あなたの体は駅前で五人殺して、自宅で二人。計七人殺してるんですよ。だから……  「おい、強行突入だ」   「おいおい、何それ?意味わかんない、どうにかしろよ悪魔!!」「そうですねぇ、いまさら契約破棄は無理ですし……そうだ!再契約しますか!「良し、開いた!慎重に行「再契約だと?」「はい、ですからこの場を何とかしますから」「わかった、何時間でもいい!何年でも良いから何とかしろ!「うわ…………何だこの匂い「いやいや、あなたはこれ以上時間をはらう必要はありませんよ。ただ、死後あなたの魂を私にくれればいいんです」 「おいおいふざけんなよ!ボッタクリだろ……… 「悪魔に、常識を語られてもねぇ………… 「動くな!警察だ!」「ここにも死体が……なんて事「わかった!わかったから助けてくれ! 「何だ!こいつ何と話している!?「狂ってやが…………「早くしてくれ!」    「それでは、


契約、完了で御座います」




ベッドの上で、目が覚めた。

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