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ストーカーじゃない!ファンなんだ!  作者: グーグー


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10.腕試し

「ユリリーアス、お前の力を授けて転移させるのが一人だけってルールでも、俺が転移できたんやから、他の神にも助けてもろうたらどうなんや?」

「いえ、神としては私だけしか存在できないルールです。キオルは神であったのに、その他の存在に格落ちしてもいいというので転移できました。他の神に格落ちをお願いして回れと?」

「あ~。それは無理やなぁ。俺くらい推しに愛がないと実行不可やわなぁ。とりあえず、出来る事からやってみよか。雄大のところへ、もどしてや」

「それは、はい。でも、ストーカーなことは止めてください。シリアスにこの世界の様子をうかがっている私の視界に、出来の悪いコメディーが紛れているようで不快です」


 出来の悪い世界を創った神に、出来の悪いコメディーと言われた。空耳か?

「雄大は推し。俺はファン!ファンサしてくれる推しを拒むファンはいないわけ。嫌なら見んなや、ボケ!」

 お互いが、ぐぬぬぬ~。と怒りを抑えながら、これ以上は控えた。お互い妥協しないと始まらないというのは、共通認識のようだ。


 そして、戻ると、

「あ、リスさん!と、神様も!!」

「雄大、がんばっていますね。感謝します。そこなリスはキオルという名の光の精霊です。まだ新米ですが、肉体を得たので多少の役には立つかもしれません。側に置きたいなら、置いておいてもかまいません。行き過ぎる時は放り投げなさい」ユリリーアスはそう言って消えて行った。


 俺の紹介をしたのは褒めてやるが、後半は必要なかったな。

 いちいち嫌味なことをする奴だ。


「キオル。かわいいお名前だね。光の精霊って、やっぱり神様の御使いだったんだ。僕と一緒にいてくれるの?」

 俺は、見えないほど高速で首を縦にふった。

「勇者様の側に居たいようですね。心強い。行き過ぎる時は放り投げろということですが、どこに行き過ぎるんでしょうね?」イジーは不思議そうな顔をしている。


 神の声の聞こえない座学の教師に、イジーが現状を説明している間、俺は念話に挑戦してみる。

「きゅ~~(無理か~)」

 神力っていつ頃溜まるか具体的にわかんないのか?じれったい。百年後とかって言われたら実質『話せない』のと同義語やで!


 数週間後、ある程度の実力がついたので、巨大な北西のダークスポットではなく、近場の小規模で害のない、風で淀みを払える程度のダークスポットで腕試しとなった。

 緊張する雄大だが、武装神官も一緒に行くので万一にも失敗はないと保証されて現地まで来た。


 小さいダークスポットからは、小さい、なんなら存在自体が薄い、弱そうな魔物がでてきた。

「きゅっきゅー!(今だ、イケー!)」と俺。肩の上から号令をかける役だ。

「ウォータースラッシュ!」

 雄大の、なんでも聖魔法になる魔法によって、無事に魔物は滅せられた。

 一同喜びに沸いていたら、森の奥から無数の矢が放たれた。

 魔物に集中していた俺たちは不意を突かれたのだ。

「うぅっ!」とうずくまる雄大の左腕には矢が刺さっている。


 許せん。許される訳がない。俺の、俺の、推しに、矢をいるバカはどこや?


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