ランク戦の告知
連携訓練が終わった翌日。
継環省の訓練棟には、珍しく多くの隊員が集められていた。
壇上に立つのは、組織の幹部の一人——灰色のスーツを纏った男。
鋭い眼光で全員を見渡し、低く告げた。
「——次週より、定期ランク戦を実施する」
その場にざわめきが広がった。
ランク戦。それは隊員たちの実力を公平に測るための、公式戦闘試験。
勝敗によって評価や任務の優先度が変わる、組織における重要な指標だった。
幹部の男は続ける。
「模擬戦闘とは異なる。制約なし、能力の使用は自由。ただし“殺し”は禁止だ。
勝者はランクを上げ、敗者は下がる。実力の序列は、この結果にすべて反映される」
裕也は人混みの中で、思わず息を呑んだ。
(……いきなりランク戦? 俺みたいな新入りも……?)
耳元で声がした。
「白木、お前も出るんだとよ」
振り向けば黒瀬が立っていた。
「俺が……?」
「当然だ。戦闘訓練を終えた以上、外様じゃねぇ。組織の一員として実力を測られる。
……ビビってんのか?」
挑発めいた言葉に、裕也は否定も肯定もできず、拳を握りしめた。
そのとき、隣で聞き耳を立てていた少女が口を挟む。
「ランク戦なら、わたしも出る。あんたと当たるかもね」
にやりと笑うその目は、挑戦そのものだった。
(仲間……だけど、敵にもなる……?)
胸の奥に、不思議な緊張が広がっていく。
幹部の声が再び響いた。
「初戦は一週間後。各自、準備を怠るな」
ざわめきの中、裕也は深く息を吐いた。
次なる試練は、仲間との連携ではなく——異能者同士の真剣勝負。




