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視察四日目②

 体感で十分ちょっとくらいで鉱山に到着した。そこには鉱山を守っている人や発掘をしている人達がいて、私達に気づくと頭を下げてきた。


 変装しているのによく分かったなと感心していると「陛下、お待ちしておりました」と声がして声の方に顔を向けた。



「…何故お前がいる」

「ラングフォード公爵家が管理している皇女様の鉱山に私がいても何も不思議ではないでしょう?」

「白々しい。孫のシアに会いたかっただけだろう」



 服装からして貴族だと分かっていたけど、まさかラングフォード前公爵、私の祖父にあたる人だと思わなくて驚いた。


 どうしてここに?と祖父であるラングフォード前公爵を見ていると、祖父が私達より数日遅れてウォーカー帝国の公爵家の屋敷からここまで馬車で私達を追いかけて来たことを説明してきて行動力が凄いと少し引いた。


 その説明を受けて、パパが急に私を横にいたクラウスに渡して、クラウスと私の前に出て背中に隠したから祖父の姿が見えなくなった。


 皇女派の筆頭の人で、私に危害を加えたりするはずはないから隠す必要はないはずなのに、何で私を祖父から隠すようなことをするのか、パパの考えていることが分からない。


 クラウスも私と同じく困惑しているようだけど、パパが私を祖父から隠そうとしているのは分かるから、今は何も聞かずに私を抱き抱えているみたいだ。



「はあ…噂以上の溺愛ぶりですね。ですが、可愛い孫娘を五年も独り占めしたんですから少しくらいいいでしょう!?」

「え?」

「ん…??」

「よくない。消えろ」



 ひょっとしたら、裏で皇子派と繋がっているのかなと邪推して警戒していたのに、祖父の叫びに拍子抜けした。クラウスも、は?という顔をして固まってしまっていた。


 そういえば、パパが孫バカだと言っていた。その時に、会ったこともないのに何でそんなに愛してくれているんだろうって思ったりもしたっけ。


 それなら、祖父がこの場にいるのは私に会えるチャンスだったからだろう。


 極秘の視察だけど、鉱山を視察するのなら管理してくれているラングフォード公爵家に事前に知らせているはずだから、この場にいてもおかしくない。


 凄い行動力だなと思いつつ、パパと祖父のやり取りを聞いた。



「消えるわけないでしょう!今日は私が鉱山内を案内する予定でいるんですから」

「いらん。そもそも、お前にそんな暇はないだろう」

「ご心配には及びません。仕事は全て終わらせてから来ていますので」

「…ッチ。待てもできなくなったか」

「何とでも」



 言い合いの末に、絶対に帰らないと悟ったのか、パパは諦めたようで「さっさと案内しろ」と祖父に命令した。


 そして、私をクラウスからぶん取ってクラウスから「おい!!」とキレられた。だけど、そんなクラウスを無視して、パパは案内を命令したのにも関わらず祖父とクラウスを置いて鉱山内へ入った。



「結構深い所まで掘っているな」

「掘っても掘っても宝石が出てくるので気づけば結構深くまで掘り進めてしまいました」

「肝心のブルーダイヤは?」

「採れましたよ。最高級レベルのブルーダイヤが」

「それは今どこにある?」

「ここにありますよ」



 祖父が懐から宝石箱を取り出して、中を開いて見せてくれた。その中には大ぶりで色が濃ゆい見事なブルーダイヤが入っていた。


 綺麗で思わず前のめりになって見ていると、祖父がニッコリと笑って私にブルーダイヤが入った宝石箱を持たせてくれた。


 だから、遠慮なくブルーダイヤを見ていると、クラウスも覗き込んできて「おお、本当に最高級レベルのブルーダイヤだな」と褒めていた。パパも文句なしのブルーダイヤだったのか、特に何か言うことはなかった。



「それは皇女様の物なので持って帰っても大丈夫ですよ」

「本当?」

「ええ、本当です。ピンクダイヤの方は面会の日にお渡ししますね」

「最高級レベルじゃないブルーダイヤはどうするんだよ」

「皇女様が要らない場合は売りに出しますね」

「ブルーダイヤ以外の宝石は何が採れた?」

「ルビー、サファイア、オパール、アメジスト等ですかね」

「ピンクダイヤの方もそんな感じか?」

「概ねそうです」



 ピンクダイヤも貰えると聞いて喜んでいたせいで、パパ達が何を話していたのか聞きそびれてしまった。しまった…と反省しつつ、ブルーダイヤが入った宝石箱を閉じて落とさないように斜めがけしていたポシェットの中に入れた。


 鉱山の中をある程度見て回った後は護衛の配置を確認したりして、問題ないことがわかった頃には昼を大幅に過ぎていた。


 流石にお腹が空き過ぎてグゥ〜…とお腹が鳴った。そんな私を見て祖父はクスッと笑った後「食事の用意をしているのでお昼にしましょうか」と提案してきた。


 馬車が大破してお昼用のランチボックスがめちゃくちゃになっていたから助かった!と頷くと、不服そうに顔を歪めたパパは仕方ないといった感じで祖父の後に続いた。



「何か用意周到過ぎるだろ。あの魔物を仕向けたって言われても納得するレベルで」

「アレがシアを危険な目に遭わせるような真似をするのはありえないからそれはない。ただ単純に、シアに頼りになるとか思ってほしくて動いた結果、用意周到過ぎただけだろう」

「ああ、張り切り過ぎたんだな」



 パパの隣にクラウスが並んできたかと思えば、祖父に聞こえな声で用意周到が過ぎると疑問を口にした。

そのせいで、クラウスがまた祖父のことを警戒し出したけど、パパの説明で納得したようですぐに警戒を解いた。

 

 そして、案内されたテントの中に入ればハンバーガーと、色々なフルーツが並べられていた。美味しそう…と見ていると、パパの膝上に座らせられて、ハンバーガーを私の口元に運んだ。


 ガブッと遠慮なく食いつけば、具沢山だったから中身が飛び出して少し地面に落ちてしまった。それを見たクラウスが「あーあー、何やってんだよ」と言いながらお皿をパパに手渡して、ソースで汚れた私の口元を拭ってくれた。


 そんな様子をそばで見ていた祖父は悔しそうな、羨ましいそうな目でパパとクラウスを見ていて、自分が私のお世話したかったのかなと思った。


 そして、昼食を食べ終えた後は鉱山周りに魔物の危険がないか確認して、祖父が乗ってきた馬車に乗せてもらって屋敷に戻った。

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