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第46階層 総数33個

 総数33個。


 えっ、何の数だって?

 今回のダンジョンの拡張に使ったダンジョンコアの数ですよ。

 えっ、23個しかないんじゃなかったかだって?


 残りの10個。


 それはここに居る、各国のお偉いさんに出して貰ったそうだ。

 マジか~……それって国と国の取引だよな?

 いや、女王権限と言えばそれはそうなんだが。


 マジか~……この後始末、どうやって決着つければ良いんだ?


 しかし、それだけ数が無ければ、ココまでのバージョンアップは見込めなかった訳だ。

 そりゃ隠れてやるしかなくなる。

 ダンジョンコア全部オクレと言われて、ハイと言って差し出す馬鹿は居ないだろうからな。


「さらにだ、我が国と同じように、魔道具のエネルギーにするには巨大すぎて手に余るダンジョンコアを持っている国も幾つかあったんだよ!」


 それが下に増えているリニアモンスターカーの正体だった。

 勿論、先ほどの10個とは別カウント。

 そしてその一体に乗って、どこまで続いているか見て来たらしい。


「最初は行き止まりだと思ったんだけどね」


 終点は地面の中、どこにも出口はなかったそうだ。

 魔力が足りずに途中までしか出来なかったのかと思って、とりあえず斜めに魔法で穴を掘っていくと、そのコアを提供した王宮の庭園に出たそうだ。

 どうやら地面までは自分たちで穴掘りしなければならないらしい。


 というか、大丈夫やったんか? 突然、中庭に穴が開いて人がゾロゾロ出てきたら、出合え、出合え、どころの騒ぎじゃなかっただろうに。


 しかし、よくもまあ、乗せて連れて行こうと思ったもんだ。

 そして、よくもまあ、乗って付いて行こうと思ったもんだ。

 この女王様は意外に信用されているのか?


 そんな女王様は、各国の外交官を集めて何やら話をしている。


「さあ、取引といこうじゃないか。他にダンジョンコアを提供してくれる国はあるかね?」


 コイツ……ここをハブ空港みたいにするつもりか?


 もし、各国がダンジョンコアを提供し、リニアモンスターカーで行き来出来る様になったら……

 ここを経由して、素早く他国へ移動する事が可能になる。

 しかも、リニアモンスターカーは、結構なお荷物も搭載可能だ。


 米や小麦だけじゃない、様々な物を乗せて、国から国へ移動出来る様になる。


 それはもう、ココが世界の中心だと叫んでも良いほどだ。


「いやはや、とんでもない事になりましたな。この方が王になれば、何かが変わるとは思っておりましたが……ここまでの事は予想出来ませなんだわ」

「これが予想出来る人はそうそう居ないと思いますよ」

「唯、一人を除いてですな。本当にあのお方は、何時この事を思いついたのでしょうな」


 執事の方はちょっと涙目である。

 これまでの苦労が報われて良かったですね。

 ただオレは、これから苦労しそうですが。


 感動しているところ悪いんですが、お片づけは手伝ってくださいよ。

 まだ終わってませんからね。

 この状況、これからとんでもないハードネゴシエーションが始まる気がします。


 さあ、オレ達の戦いはこれからだ!


 とまあ、冗談ですまないほどの忙しい日々が続く訳ですが。

 米や小麦を送ってくれというのは当然の事、どこどこの国に、何々を送りたい等も出てくる。

 当然、勝手にやってくれと言う訳にもいかず、間に入って折衝が必要になる。


 あのバカは本気で王都をここへ遷都するつもりでいるし、その手続きもオレがせにゃあならん。


 どうもこうもならないんだが、どうしたら良いと思う。

 それを自分に言われても困るがな。というアニメスタンプを出すハーキャットさん。

 まあ、君に言っても仕方ないよね?


「今日のハーたんは、また可愛い服を着ているな」


 ファミュ王子がそう言いながら部屋に入って来る。

 ハーたんてあんた……この王子様もちょっと変わっているよな。

 第三王子もヤバかったりしないだろうな?


 新たに出来たこのダンジョンの無数の部屋なんだが、キーロックが特殊な方式になっている。

 外周のカプセルホテル部分にはさすがに付いていないが、個室の方には指紋認証の様なセキュリティが付いている。

 扉の横にあるパネルに手を当てると扉が開く。


 それが内側には2つ付いていて、片方は扉を開く方、もう片方は――指紋を設定するパネルになっている。


 誰かが内側のその認証パネルに手を置くと、その人しか外側から開くことは出来なくなる。

 ただし、一週間、誰も認証パネルに手を置かないと、設定がリセットされ誰でも開ける様になった。

 キーロックを維持する為には、定期的に内側の認証パネルに触れる必要があるようだ。


 そして内側の認証は複数人を設定出来るようになっている。


 その為、各階にはマスターキー代わりとして、各部屋を回る管理人を用意して、定期的に巡回するようにした。

 さらに公務室には出入り口に門番を立てて、その人が扉を開け閉めする。

 当然、門番さんは王族の顔を知っているので、この王子様はスルーパスで部屋に入れる。


 それを良い事に、ハーたんの居るこの部屋に毎日やって来る。


 今回のバージョンアップに伴い、魔力が余ったんだろうが、服装や髪型が色々変わるようになったハーキャットさん。

 毎日違うファッションで登場して来る。

 そんな日替わりファッションショーを見ようとやって来る人は王子様だけじゃない。


 前世のゲームでは、使いもしないのに大量のコスチュームを買って倉庫に放り込んでいた気がするし、当分の間は続くだろう。

 と、暫くハーたんを眺めていたファミュ王子が問いかけて来る。


「ところで、王都を遷都すると聞いたのだが……本気なのか?」


 まあ、私はその方が良いがな。と言う。


 そりゃあんたは毎日、ハーたんの顔を拝めれば満足だろうよ。

 ただなあ、言い出したのは例のお方なので、本気がどうかとオレに聞かれてもなあ。

 まあ、本気なんだろうけど。


「ここの政策はどうする? 共産主義は取りやめて国の方針に合わせるのか」

「…………一国二制度にしたいと思っています」

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