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第110階層

 浴室から外に出てみると、そこにはメイクィースさんがやって来ていた。


 何やらハーキャットさんと額をくっつけてあっている。

 データ交換でもしているのだろうか?

 それを見て、おお……尊い、とつぶやいている隣の将軍は、きっともう、手遅れなんだろうなと思う。


 そう言えば、メイクィースさんにはそれほど執着されていませんが、どうしてですか?


「嫁は二人も要らんからな」


 いや、あんたの嫁じゃねえから。

 というかこの人、いずれ、人間のお嫁さんをもらわないとならないんだが、一体、どうするおつもりなんだろう?

 ごねてもオレは責任を負えないぞ。


 そのうち、データのやり取りが終わったのか、二人してこちらへ向かってくる。

 ふと、その前に一匹のスライムが現れた。

 たおして、というアニメキャラのスタンプを表示させるハーキャットさん。


 それをプチっとするファミュ将軍。

 するとだ、またしても宝箱が現れる。

 そっとその宝箱を開くと中には――――バイク型のヘルメットの様な物が入っていた。


 ふむ……もしかして、VRか?


 VR――――バーチャルリアリティー、仮想空間に分身を作り出し、そこで戦闘を行う。

 確かにそれなら、3Kのうち、汚いと危険は省ける。

 キツイだって、ゲーム感覚で行えるなら、楽しいに変わるかもしれない。


 ただ、それでダンジョンさんは経験値を得られるのだろうか?

 ハーキャットさんに視線を向けると『お試し!』と叫んでいるアニメキャラのスタンプを表示させる。

 なるほど、お試しか。


 宝箱には二つほど入っていたので、そのうちの一個をファミュ将軍に渡してかぶるように指示する。

 そしてオレもヘルメットをかぶってみる。

 するとだ、景色が一瞬にして切り替わる。


 ゴツゴツした岩場に囲まれた中で、目の前には巨大なドラゴンが座している。


 手を開いたり閉じたりしてみる。

 感覚は現実と変わらない。

 付近の岩場に触れてみる。


 おお、ちゃんと触れられるな、感触もしっかりと感じる。

 ふと見ると、ドラゴンさんがこっちを向いて口を開けている。

 ボ~と眺めていると、何やら炎がこっちに向かってくる。


「うわっ! チチチッ、アッッツツツ~~~!!」


 思わずヘルメットを脱ぎ去る。

 むっちゃ痛覚、つながっているジャン!

 えっ、痛くないと本気にならないだろって?


 いや、その通りかもしれないですが。

 そう言うのは最初に言っておいてください。

 隣を見てみると、ヘルメットを来たファミュ将軍が棒立ちで立っている。


 ハーキャットさんが『なんで棒立ちなの?』と言うアニメキャラのスタンプを表示させる。

 メイクィースさんも『シヌノ?』などと、かわいく首をかしげながら言ってくる。

 言われていますよ、ファミュ将軍。


 えっ、オレの事だって?


 ええ、分かっていますよ。

 いやだって、誰も最初は様子見するでしょ?

 まあ、オレの危機意識が低いと言うのは否定できないが。


 ハーキャットさんの前にパネルが表示される。


 そこではドラゴンと戦っているファミュ将軍が映される。

 手に汗握る大接戦の末、なんとかドラゴンを討ち取るファミュ将軍。

 ファミュ将軍も結構お強い。


 ホント、争わずに済んで良かったなあ……


 どう、経験値はもらえそう?

 ハーキャットさんが頭の上に『少しだけよ』と言うアニメキャラのスタンプを表示された。

 多少でも入ったのなら、十分じゃないか。


 VRならゲーム感覚でダンジョン探索が可能だ。


 冒険者じゃなくても、普通の大人から子供まで楽しめる。

 その少しでも数が増えれば膨大な物となる。

 たった1円でも1億人いれば、1億円だ。


 1人から1億円をせしめるより、1億人から1円をせしめる方がまだ現実的だ。


 前世日本での総人口7600万に対し、ゲーム人口は約5400万人と言われるほど、ゲームは多くの人から愛されている。

 少なくとも、わずかな冒険者から搾り取るより、大勢の人間から少しずつ分けてもらう方が効率良い。

 結局ですね、世の中の勝利者は薄利多売なのですよ。


 とはいえ、VRの機器はさすがのダンジョンさんでも、そうそう増やせないそうだ。


 そうだな、ならばそれは追々で、今はこのクランハウスで十分に人は釣れる。

 そっちはそうだな……遊園地みたいなのを作って、少しずつ普及させていくのはどうだ?

 せっかく作ったんだ寝かせておくのも、もったいない。


 そういう訳でクランハウスの実装と遊園地の公開をする事に決定した。


 するとだ、まあ、色々と問題が起こる事。

 普通にクランハウスが実装されました、やった~では済まなかった。

 まずはこの3種類を公開して、騎士団に入ればこのような施設を利用できるようになりますよ。って始めたのだが。


 人が殺到しておしくらまんじゅう状態で碌に見学などできない。


 ただの見本のつもりが、本格的な観光設備になっている。

 冒険者や騎士団にはまず入りそうにない人、たとえば、王様や偉い貴族の連中。

 そんな人々まで殺到する。


 王様が平民とおしくらまんじゅうしているなど、きっとここでしか見られないだろうな。


 また、独立して自分の騎士団を作るなどと言いだす人が多数現れる。

 そりゃそうだ、このクランハウスを持つという事は一国一城の主になれる夢がかなうのと同意義。

 人が作ったクランハウスより、自分が作ったクランハウスの方がいいのは良く分かる。


 ファミュ将軍って、意外と人望がないんですね?


「いや、人望でどうにかなる問題かコレ?」


 さらに冒険者の人たちだってクランハウスが欲しいと言ってくる。

 騎士団ばかりずるいぞ、ってそりゃそうですよね。

 とはいえ冒険者は集まると問題ばかり起こすんだよな。


 下っ端の面倒もきちんと見る事。

 クランメンバーが問題を起こせば、クランメンバー全員が責任を負う事。

 などを条件に、最低3パーティ、12人以上という条件でクラン設立を認める。


 そうするとですね、一気に逆転する訳ですよ。

 えっ、何がって?

 なりたい職業ランキング。


 1:騎士団

 2:冒険者

 3:宇宙飛行士


 みたいな。


 みなさん、現金ですよねぇ。

 ただ、強引な勧誘は止めてください。

 いろいろと規則を作って行かないと駄目そうだな。


 そして遊園地については、思わぬ副次効果があった。

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