雑談
「だれだろうね」
「なぜ教えてくれないんだ?」
「あなたが教えてくれなかったから」
「じゃあ僕が今知っていることを話したら教えてくれるかい?」
「考えてあげる」
「じゃあ、まず一つ目”僕は君が好きだ。”」
そりゃそうだろう。
ただ、彼が私についてくるのは、それだけではない気がする。
「二つ目、の前に移動しないかい?」
「なんで?」
「なんとなくさ。」
「いいけど」
私は彼に連れられて、甲板の後ろのほうまで来た。
「じゃあ二つ目。”君は僕を知っている”」
何を言っているのだろう。知らないからさっき聞いたのだけれど。
いや、見たことはあるから、そのことを言っているのだろうか。
だとしたらなぜこんな言い方をしたのだろう。
「どういうこと?」
「きっと、僕と話していればわかるよ。」
意味が分からない。ただ、これも当たっていそうな気がする。
「僕が今話せるのはこのくらいかな」
「じゃあ、私からも質問させて。」
「あなたはなぜ私についてくるの?」
「・・・話さないとダメかい?」
「話せない事情があるの?」
「まあ、ね」
「ただ、きっと僕と過ごせばわかるよ。」
そういうものなのだろうか。
「もう一つ。あなたの言ったことはいつもあたっているの。なぜ?」
「それは僕もわからない。」
「ただ何となく、そんな気がするんだ。」
「さっき言った君について知っていることも、なぜかそうだと思ったんだ。」
その時、汽笛が鳴った。到着の合図だ。