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死が二人を分かつとき  作者: ねむいね
彼女の昔
1/3

始まり

彼女は、海を見つめていた。


「もう、十年か」


そんなことをいう彼女は、彼が好きだった浜辺にいた。


「これから、どうしようか。」


最後は、ここにしようと。だいぶ前から決めていたことだ。


「すぐに、そっちに行くからね。」


結局のところ、彼女のすることなんて決まっていた。

これは、そんな彼女の昔話だ。



彼女はその日、船に乗っていた。遠くまで旅行に行っていた帰りだった。


「たのしかった。」


そうつぶやく彼女の眼は、甲板から眺める夕日に釘付けになっていた。

そんな彼女の眼に、一人の男が写った。

彼だ。小さいころから、なぜかいつも、どこに行っても彼はいた。

名前を知っている程度の仲でしかない。いや、彼は独り言とか言いながら、

ときどき話しかけてきてたっけ。

ただ不思議なのは、彼が言ったことはなぜかいつも当たること。

なぜかは知らないが、いつも当たるのだ。

そんな彼を私は無意識のうちに避けていた。

けれど彼は、ずっとついてきた。

でも、なぜか嫌ではなかった。なぜなのかはわからない。

小さいころからいたから、もう日常のようになっているのだろうか。

彼は、わからないことだらけだ。

甲板には私たち以外誰もいない。

この際、聞いてしまおうか。

いや、でも少し怖い気も。

なんて考えていると、あちらから話しかけてきた。


「まさか旅行先でも会うとは思わなかったなぁ。博士はこんなこと言ってなかったのに。」

「一体人生で何回僕はあの子と会うことになるんだろうか。」


本当に話しかけられているのか心配になってきた。


「そういえば、君は僕のことをどう思っているんだい?」


ちゃんと話しかけられているようだ。


「わからない。」

「へぇ。じゃあ、僕と少し話さないかい?話せばわかることもあるかもしれない。」

「それに、僕はもう少し君のことが知りたいんだ。」


どうしよう。少し逃げたくなってきた。


「はぁ。」

「とりあえず、あなたは誰なの?」

「さぁ。知らない。僕は僕のことを知らない。」

「だから、僕は君の思う通りの僕になろう。」


正直意味が分からないが、そう思うしかないのだろう。


「じゃあ僕から質問。君は誰なんだい?」


冗談もほどほどにしてほしい。仮にもストーキングするのならそれくらい知っていてほしい。

される私がいうのもなんだけど。

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