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負け犬はほざいてな‼︎



時は少し遡って旅行決めをした日まで戻る。あの日決めたのは旅行の話だけではなく、実は更に先の話もしていた



「旅行は決まったことだし……次はクリスマスについてね」



気が早いことにクリスマスの話までしていた



「もうクリスマスの日に有給を取るように湊さんには言っておいた。でもイブまでは流石に取れなかったから、この大事な日を誰が一緒に過ごすか……」

「はい」

「む。何かあるのかな蘭」

「その日誰と過ごすか湊さんに選んでもらえばいいんじゃないかしら?」



それが妥当だし一般的にはそれが普通のことだ



「それでもいいけど……いいの?」

「いいのって……どういうことですの?」

「だって選ばれるのは私に決まってんじゃん」



この言葉に蘭さんから激しいブーイングが飛んだ



親指を下に向けて上下に手を振るジェスチャーで初芽を非難した



「由布子さんもほらっ!」

「えっ?」

「一緒にブーイングしませんと!」

「ええっ……⁉︎ぶ、ブーイングですか?」

「そうです。私の真似をして……ブーブー‼︎」

「ぶ、ブー?」



ジェスチャーはせずにただブーと言う由布子さん。これではただ豚の真似をしているだけだ



「はいはい。負け犬達はほざいてな!」

「で、ですけど李華さんと顔がそっくりで知り合ってから10年以上経ってるのに、まだ付き合えてない初芽さんも……あの……大概では?」

「グハッ⁉︎」



大きな音を立て、机に突っ伏す初芽。由布子さんの言葉がクリーンヒットした様子


「ゆ、由布子さん?貴方いつからそんな酷い言葉を吐けるようになったの?」

「あらあら情けないことー‼︎プププー!」

「好きな人の前で悪態つくような人眼中にないから‼︎」

「ブハッ⁉︎」



初芽と同じく机に突っ伏す蘭さん。こちらもクリーンヒットした様子だ



「人をバカにする前に、自分を見直すことだな‼︎」

「は、初芽さんがそれを言うんですね……」

「……というか私の推測ですが、このままでは誰も選ばれないと思いますわ。変に遠慮して1人には決められない。これが湊さんの出す答えだと思いますわ」



私も蘭さんと同意見だった



「それが優しいっちゃ優しいんだけど……優柔不断なんだよね……」

「まあこちらから一方的に好きだと伝えてるだけなので、優柔不断とはまた違うかも知れませんが。とにかく誰も得しない形になりそうだと私は見ていますわ」



私としては1人に絞って親愛を深めて貰いたいところ。でも蘭さんの言う通りになってしまうと、カレーを食べたいのに、カレールーが無いぐらい困ってしまう



「だからここは、3時間ずつの交代制というのはどうです?」

「「交代制⁉︎」」



蘭さんの提案に私も込みで全員が驚きの声を上げた



「朝9時から12時まで。12時から15時まで。15時から18時まで。18時から21時は全員で過ごす。この時間分けでどう?」

「……これ。平等に見えて結構差があるよね」



3時間一緒に過ごせるならどこでも良いや。と思ってはいけない。朝の3時間と夕方の3時間ならば、絶対に夕方の3時間がお得だ



最後だから印象としても残りやすいし、開いている店も多い。ムードも夕方の方があるだろう。朝は朝で魅力的ではあるが……



「だから何かしらの勝負で順番を決めますわ」

「はーい質問!」

「はい初芽」

「そのスケジュールだと、交代時の湊さんの移動時間含まれてないよね?」

「ふっ。私は頭の悪い初芽と違ってそこも考えてありますわ」

「私、高校の時学年3位だったんだけど」

「お互いにクリスマスのスケジュールを教えてもらいますわ。3人共ご飯に行くってなったら、湊さんが○8号さんが吐かれた後のセ○みたいに爆発してしまうかも知れませんから」

「地球粉々になるじゃん」

「なのでお出かけはこの街の中限定としましょう。そして次の番の人と合流地点を決めて、時間前に着く……良いと思いません?」



2人は静かに頷いた



「決まりですわね。なら早速時間帯を決める勝負といきましょう」

「何で決めるの?」

「せっかくカラオケに来ているのですから、カラオケの点数勝負に致しましょう」



ここに来て初めてこの店本来の使い方で勝負するらしい



(私の平均点は91……2人の点は分からないけど上位組にはなれるでしょう)



♢ ♢ ♢



「に、2位……」



明らかにショックを受けている蘭さん。おそらく自信があって提案したのだろうが、結果が振るわなかったせいだろう



「は、恥ずかしかったぁ……」



1位は由布子さんの92点。超有名なゆったり系のアニソンを歌って見事1位を獲得した



(由布子は恥ずかしがってまともに歌えないって思ってたんですが……こちらも想定外でしたわ)



そして2位は蘭さん。由布子さんと同じく92だが、小数点分が由布子さんの方が高かったので2位に。いわゆるバラードと呼ばれる曲を歌った



そして最下位は初芽。点数は62点だ



(正直初芽と一騎討ちも想像してましたが……思い出すのはやめた方がいいですわね)



「ダメだったかぁ……上手く歌えたんだけどなぁ」



残念なことに初芽は超音痴だ。ただし音痴の自覚はない。点数が表示されて圧倒的に負けているのが機械によって証明されているのに分かっていない



……でも私の方が音痴なんだけどね。−5点分くらい。更にいえば母親の方が音痴だ。いらない血筋を引いてしまった



「では由布子さん。何時を希望しますか?」

「え、えっと……12時からでお願いします」



お昼の時間帯を由布子さんが取った。どんなデートにしてくるか……



「夕方じゃなくていいんですの?」

「外せない打ち合わせが入ってて……」



仕事関連による時間調整だったらしい



「なら私は3時をいただきますわ。初芽は9時からに決定ね」

「まあそこ余るよね。色々プラン考えてたけど練り直さないとなぁ……」



クリスマス当日の時間分けは決まった。あとはこの3人がどんなデートプランを持ってくるか……そして誰か湊の心を掴んでくれるのか……



当日が楽しみだ

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