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お久しぶりです



1泊2日の旅行は無事に終了。各々湊との関係を進めたし、私は重要な情報を聞くことができた。湊も気晴らしにはなったみたいで、家に帰ってからは以前のような暮らしに戻っていた。

ただやっぱり時折見せる暗い表情。あれは私のことを思い出してるに違いない



「……で?何してるんですか。李華さんは」

「見ればわかるでしょ?」



湊と一心同体となって、完全に私の幽体は湊と重なっていた



「身体でも乗っ取るんですか?」

「いいや!」



私の乗っ取りは重なるだけでは出来ない。ちゃんとその能力を使うという意志がない限りはどれだけ人の身体をすり抜けようが意味はない



「じゃあ何してるんですか……」

「湊を外部からの危機から守ろうとしてるの!」



私の予想は事故が怪しいと踏んでいる。急な発作で……ってことも誰しもがあり得る話だから除外は出来ないけど、身体面は間違いなく健康そのものなはず。総じて確率が1番高そうなものを防ごうというわけだ



「でもそれは来年って話ですよね?まだ一月先ですが」

「完全に信じていいかわっかんないからねー。念には念を。まあ何もなくても予行練習ぐらいにはなるかなって」

「はぁ……」



どうせやることもないんだから苦でもない



「……あ!李華さん!上っ‼︎」

「上?ああー⁉︎」



上を向くと鳥が白い物を落としていた。しかも湊の頭に向かって一直線だ



「李華さん!アタック!」

「はぁぁぁぁぁいぃ‼︎」



私は湊の頭上で鳥のフンをアタックした



「ナイスアタック‼︎」

「……最悪」



私は物には触れるが手に付着しない。粘着質な物を触ろうが、粉を触ろうが、水滴だろうが綺麗さっぱり落ちる



鳥のフンも例外なく落ちるがメンタルはすり減る。一刻も早く水で手を洗いたい



「李華さん!湊さんの足元に蟻が!」

「なにぃ⁉︎」



私は近くの巨漢のサラリーマンらしき人物の身体に入り、湊の足元の蟻を急いで追い払った



「ていやー‼︎」



ただの蟻かもしれないが、もしかしたらあの蟻は摩擦係数が限りなく0に近い特殊な蟻の可能性もあった。そんな蟻を踏んでしまえば、ツルッと滑って頭をコンクリートで強打。それが原因で天に召される……



……なんてないか。ごめんなさい。巨漢のサラリーマンさん……



「李華さん⁉︎湊さんが変な人を見るような目でサラリーマンさんのこと見てます!」

「そりゃそうでしょうね⁉︎」



今のシーンを奇跡的に動画に残されていれば、間違いなくネットに上がっていただろう



「はぁ……てか、そんなほぼありえないようなものまで排除してたらキリないなぁ……しかも能力使っちゃったからインターバル来ちゃったし」



鳥のフンはともかく蟻は絶対に意味なかったな。うん



♢ ♢ ♢



結局何事もなく湊は目的地へと到着した。そしてその場所には私も知った顔があった



「おう。やっと来たか!」

「やっとって……まだ10分前だが?」

「俺は30分前からいたが!」

「知らねーよそんなの」



待ち合わせ相手は飯田宗介。私と湊の同級生で、湊の唯一の男友達だ



「とりあえずここ入ろうぜ。あ、今日は俺が持ってやるよ」

「まあそのつもりだった。財布置いてきたし」

「奢られる前提でも財布は持ってきとけよ!」



2人はお店へと入った



♢ ♢ ♢



「まあ積もる話もあるし、腹割って話そうや」

「同窓会から半年も経ってないだろ」

「人間、3ヶ月近く会わんだけで色々あるものなんだよ。しかも桑名の野郎が邪魔して大して話せてないしな」

「あぁ……桑名ね」



湊の表情が少し曇った



「そうだ。桑名といえば、あいつ引っ越したみたいだな」

「そうなのか?」



早速私に得のありそうな話だ



「元々ボロアパートに住んでたんだけどな?急に出て行っちまったみたいだぞ」

「……へー」

「滞納してた家賃も払わないまま夜逃げだとよ。大家さんが警察に連絡したらしいんだが、個人間でのトラブル扱いで逮捕出来ないらしい」

「逮捕出来ないのか……詐欺とかになんないのな」

「みたいだなー」



警察に通報されているなら見つかるのも時間の問題かと思ったがそう上手くはいかないらしい。むしろこれで追う手がかりがなくなった。あの男から何かアプローチがない限り、もう見つからないかもしれない



「まあ桑名にちょっかいかけられる心配がなくなったんだし、お前としては良かったんじゃないか?」

「……そうだな」



確かに、あの一件で湊の前に姿を現しにくくなったのは事実だ。いつどこで見てるか分からない私の目を掻い潜るのは難しい。ましてや反撃も出来ない。見つかれば私の餌食になるだけ



私の脅しの言葉が冗談に聞こえてるはずはない。あれだけ負の感情を込めた怒りの言葉だ。冗談に聞こえているのならば形容できないほどの阿呆だ



「まっ。アイツの話はこれぐらいにして……ちょっと紹介したいやつがいてな。今から会ってくれないか?」

「今から?」

「そう。お前がオッケーしたら呼ぶって伝えてあるんだよ」

「はぁ……まあいいけど」

「そうか!なら早速呼ぶわ!」



携帯を取り出してメールを打った



「よし。まあ来るまで気長に別の話でもしようぜ」

「あの……」

「うおっ⁉︎」



湊達の側に私も見覚えのある女性が現れた



「も、もう来たのか⁉︎」

「そこに座ってたので」

「気づかんかった……まあいいや。紹介……しなくても分かるか?」

「……ああ。大丈夫。ちゃんと覚えてるよ」

「嬉しい……でも一応もう一回だけ……お久しぶりです。間(・)宮(・)くん。私の名前は、灰隠(はいかくし) 千歌です!」



湊の元カノだ

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