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探偵紛いの調査



「ここか……」



私達は、2階建てのアパートの前に来ていた。綺麗……とはお世辞にも言えず、かと言って汚いとも言えないようなアパートだった



これから探偵紛いの調査をするということで、ミステリードラマが好きだった私は、ちょっとだけワクワクした気持ちでいる



「あの男のことだから超絶ボロアパートに住んでるのかと思ったら、それなりのとこ住んでるじゃないですか」



樹里は広野さんの前では一切口を開かなかった。理由は単純にあの男の性格、態度が嫌いなようだ

こうして居ない場でも私相手にあの男を愚痴っている。それぐらい嫌いらしい



「あ、広野さんが言ってた通り、部屋全部にお(・)札(・)を貼ってるし、盛り塩までしてるじゃん」



一階にある一室に、広野さん達の住んでいた部屋がある

私達はその部屋の前まで来た



このアパートの大家が、アパート内に自殺者が出たということで、呪い関連の対策をする為に用意したらしい



実際それなりに効果があるようで、お札のせいで電流が流れるらしく、広野さんは中に入ることが出来なかったみたいだ



「どうするんですか?これじゃあ中にも入れませんよ?」



お札などの効力は、初芽の数珠などで証明済み。実際痺れるだろうし、盛り塩のせいで熱くもあると思う



だが私は確信していることがある



「って李華さん⁉︎」

「うん。これぐらいなら平気」



躊躇なく、札の貼られた部屋をすり抜けた

初芽の持ってる数珠は有名な霊媒師の物。多額のお金を掛けたものだ

その効力のせいで、これぐらいの効力なら全然平気になっていた



……盛り塩は側を通っただけで、すごい熱かったけど



「樹里も早く入りなよ」

「ほ、本当に平気なんですよね?」

「うん。私の見てたでしょ?」

「……わ、わかりました」



樹里は恐る恐る扉に近づき、腕を透過させた



「イダダダダ‼︎」



樹里の腕に電流が襲う。樹里はその電流に耐えられず、扉から離れた



「う、嘘つき‼︎めちゃくちゃ痛いじゃないですか⁉︎」



そういえば樹里は初芽の数珠の効力を受けたことがなかった

どうりであんなに痛がっているわけだ



「わ、私はもういいですから、1人で見てきて下さい!」

「しょうがないなぁ。あ、そのかわりちゃんと待っててよ?」

「保証は出来ません」

「しろ」

「仕方ないですねー。早めに終わらせて下さいよ?」



樹里はアパートの前で大人しく待つことになった



「ふぅ……さてと」



入った瞬間から、ずっと食材を切っている音が鳴っていた。時間も夜の6時半だから、晩御飯を作っている最中なのだろう



私は音の鳴る方へと近づいていった



「……この人が辰巳さんね」



容姿淡麗……とはいえないが、おっとりしていて優しそうな雰囲気が漂う女性

ハッキリというが、広野さんとの相性は良さそうには見えない

そして、浮気して恋人を裏切るようにも見えない



人は見た目ではないというが、やっぱり人相というのは第一印象になる。愛想が尽きて他の人に手を出すようにも見えない。ちゃんと別れてから新しい恋をする。そういう順序がちゃんと踏める人間に見える



「部屋は……散らかってない。けど、あの写真立ては……」



小さなタンスの上に写真立てが置いてあった。だが、2人での写真ではなく、辰巳さんとその母親と父親……そして恐らく妹の4人での集合写真が飾られていた



写真もない。広野さんの仏壇もない。何よりこの部屋から男の気配がない



「もうちょっと色々見てみるか……」



♢ ♢ ♢



一通り部屋を見回って分かったことがあった



それはこの部屋に広野さんが住んでいた痕跡は見当たらないということだ

というより消したのかもしれない。広野さんの物は全て捨てて心機一転したのか、それとも忘れたいが為に捨てたのか……



「どちらにしても、この人自身は広野さんを愛してはなかったんだろうな」



ほんの数分。しかも部屋を見ただけで私はその結論に達した


「……あ、もう戻ってきたんですか?」

「うん。これ以上居ても何も得られなさそうだったし」



辰巳さんは独り言も言わない。部屋にも何もない。これ以上の情報は手に入らないだろう



「じゃあ明日はもう無しですか?」

「ううん。明日また昼に来るよ」

「え?でももう意味ないんですよね?」

「この部屋を見る意味はないけど、気になることがあるからね。でもまあ今日はもう遅いし、助(・)っ(・)人(・)も呼ばないといけないし」

「助っ人?」

「明日になればわかるよ」



あんまり頼みたくはなかったけど仕方ない。私の能力では出来ることに限界がある



「ちゃんと見返りを用意しとかないと……」

「あ、じゃあですね……」

「樹里に言ってねーよ‼︎」

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