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アシスト下手



「はっ‼︎こ、ここは……」

「もうそれ何回も見たわ」

「毎回気を失ってると混乱するんだから仕方ないじゃん……」



目が覚めてすぐにリーナの顔を見るのが、最近の私の習慣になってきた。これで20回目の気絶。釜の中の物を食べたのも20回なので、百発百中で気絶している



「それにしても気絶するのが趣味なの?」

「なわけないでしょ⁉︎誰のせいでこうなってると思ってんだ‼︎」



自分が元凶なはずなのに他人事みたいに言って……



「まあなにはともあれお疲れ様。よく頑張ってくれたよ」



私は釜の中にあった物を7日かけて食べ切った



「地獄ってこういうことを言うんだろうなって思ったよ」

「本物の地獄はもっと臭いよ?」

「……マジ?」



そんな場所で生きていけるわけないじゃん……あ、死んだから行くのか



「とにかく約束‼︎ちゃんと守ってくれるよね?」

「私に出来る内容ならね」

「よし。じゃあ私がお願いするのはーー」



♢ ♢ ♢



「お疲れじゃったの」

「本当だよ。すっごい疲れたんだから‼︎」



またもや私はナトちゃんの所に来ていた



「それでなんの能力を貰ったんじゃ?」

「ふっふっふっ……それはね……新しいのは貰ってないんだ」

「ほう?」

「代わりに今の能力の有効時間を伸ばしてもらったの!」

「触れる能力、乗っ取りの能力、話せる能力のか?」

「その通り!しかも触れる能力は、前は1つの物に触れたらそれ以外は触れなかったけど、今回の強化で時間内なら何にでも触ることができるようになったの‼︎」



今まで時間が足りないことが多かったし、これはかなり大きな強化だと思う



「本当は最初、『人の意識を弄る能力』って物にして、湊の脳内弄って私の存在を消したりしたかったんだけど、無理って言われて」

「当たり前じゃろ」

「それで譲歩して『未来を見据えることが出来る能力』って物で未来を見て色々湊に仕掛けていこうって思ったんだけど、これも無理って却下されて」

「それも当たり前じゃろ。そんなの付与出来るほど、今のリビティーナに力はない」

「てことはナトちゃんなら出来るってこと?」

「やらんぞ」

「ケチ‼︎」

「ケチじゃと?わざわざ幽霊にしてやって7年間も期間を与えた挙句に能力まで付与するっていう恩恵をあげた私をケチ扱いとは……○されたいのか?」

「ひっ‼︎ご、ごめんなさい‼︎」



あまりナトちゃんを怒らせるものじゃない……もう死んでるから○されても意味ないけど



「ま、まあとにかく、それが認められなかったから良いの思いつかなくてそれにしてもらったの。全部時間は2倍に伸びたから1分になった‼︎インターバルはそのまま5分で‼︎」

「下手なやつもらうよりかはそれでいいじゃろ」



これほどの強化を貰えたし、苦労した甲斐はあった。今も口から微かに臭いがするけど……



「それだけじゃなくてもう一つあるの‼︎」

「もう一つ?」

「深夜帯なら私の話し相手になってくれるって‼︎」

「あー、そういえば元々はそういう話じゃったの」



リーナ曰く、神様は7時間寝れば1年は寝なくて済むらしい。ただリーナは眠りに関しても神様の時よりも弱くなっていて、週1ペースで7時間の眠りにつくらしい



その日以外なら、仕込みの手伝いをしつつ話し相手になってくれる。そう約束してくれたのだ



「良かったの。結果的に元の悩みじゃった夜中の話し相手と、能力強化。湊の街の危機を救った。一石三鳥じゃな」

「そうだね!よし!これで能力バンバン使って湊に彼女作らせるぞー‼︎」

「……出来ればいいのぉ」



♢ ♢ ♢



早速下界に戻ると、湊と由布子さんが2人でドラマを見ていた。流れているのは由布子さんが書いた作品。ドラマ化され、その1話を一緒に観る約束をしていたのを覚えてる



「……さすがに今私が介入するのはアレかな」



私は空気が読める女。今は私が能力を使わずとも良い雰囲気がある。それをわざわざ壊したりなんてしない



だからドラマが終わるまでは大人しくしてよっと



♢ ♢ ♢



「ど、どうでした?」

「うん。面白かったね」



ドラマ第1話の放送が終了。CMが流れていた時以外は、映像に夢中だった2人に会話は無かった



「まだ1話だからなんとも言えないけど、原作に忠実だったと思うし、キャラのイメージにもあってる。何回も原作を読んでても面白いなって思った」

「よ、良かったです」

「逆に由布子さんはどうでした?原作者としては」

「わ、私ですか?」

「はい。やっぱり第3者が見てるのと書いた本人が見てるのでは見え方は違うと思いますし」

「そ、そうですね……話の中で残して欲しい内容は残ってましたし、キャラのイメージは概ね合ってたかなってお、思います。ただ……」

「ただ?」

「……い、一応ドラマの最終回はどの辺りにするか聞いたんです。1話でこのペースだと、かなり駆け足にす、ストーリーが進行するので、端折られる場所が多そう……です」

「あー……確かに言われてみれば……」



強化された能力を早速試したいけど今は2人の空気がいい感じすぎる……

乗っ取りの効果は今使うわけにはいかない……



私は賢い頭を使って他の2つの能力で何か出来ないか考えた



「声を出すのはさすがにリスキーすぎるし……あっ‼︎」



2人をさらに密着させる方法を思いついてしまった……さすが私!賢い!



早速私は進化した触れる能力で、ブレーカーを落とした



「きゃっ‼︎な、なんですか⁉︎」

「停電か?ちょっとブレーカー見てくるよ」



湊は机に置いていた携帯を手を伸ばしながら探し始めた



「ふふふ。残念!」



だが、私の指先が光る能力を使って、携帯の位置を正確に把握し、触る能力でテーブル下の手の届かない位置に置いた



「あれ……ここに置いたと思うんだけどな……由布子さん。携帯持ってませんか?」

「け、携帯ですか?わ、私も机の上に置いてたと思うんですけど……」

「本当ですか?……なさそうなんだよなぁ」

「机の下とかに落としたとか?」

「んー……いや無さそうかなぁ。仕方ない。とりあえず由布子さんは危ないのでそのまま待っててください」

「は、はい」



あれ?思ってた展開と違うぞ?



真っ暗になったことで、由布子さんは心細くなって湊に抱きつくっていうのを想定してたのに、由布子さんが平然としてる

もしかして……怖いの大丈夫な人?



「えーっと確かここらへんだったはず……あ、あった」



湊はブレーカーを上げ、部屋の電気が復旧した



「あ、け、携帯ありましたよ」

「お。2つ揃ってそんな奥に落ちてたんですね。そりゃあ気づかないわけだ」

「そ、それじゃあも、もう夜も遅いので今日はし、失礼しますね」

「うん。また来週も観る?」

「は、はい‼︎」

「じゃあまた今日と同じ時間で。おやすみなさい」

「お、おやすみなさい」



由布子さんは自分の家に戻っていった



ドラマについて話してた2人の会話は、私が停電を起こしたことで途切れ、そして復旧後はすぐ解散……結果的に私が邪魔した形になった



「……あれ?もしかして私ってアシスト下手?」

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